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- 2020年04月13日 15:05
「結核を減らせない」ベトナムがなぜかコロナウイルス対策の成功国に祀り上げられてしまう
単に社会主義国が強力な行動抑制を国民に強制した結果、特定の疾患だけが減って封じ込めに成功するというのは、民主主義国のそれとは比較にならないと思うんですよね。「結核を減らせない」は言い過ぎだ、という人もいるかもしれませんが、ベトナムの長年にわたる適当な治療と劣悪な社会環境のお陰もあって、元の数字が蔓延しすぎているんですよ。
【新型コロナウイルス】ベトナムはなぜ封じ込めに成功し、日本はドタバタしてしまうのか #BLOGOS
https://blogos.com/outline/440074/
木村正人さんの記事でも好意的にベトナムの手法を取り上げ、コロナウイルス対策が奏功していることを報じています。実際、コロナウイルスの感染者数も、死者も、ベトナムでは少ないのは間違いなく、同じく行動制限を強烈に敷いてクラスター対策を進めていたシンガポールも結局は都市封鎖の方向へエスカレーションしなければならなかったことを考えると、確かに相対的にベトナムの手法は理想的であったとも言えます。
ベトナム 新型コロナウイルスとの闘いに成功している国
https://vietnam.vnanet.vn/japanese/%E3%83%98%E3%82%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0-%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%97%98%E3%81%84%E3%81%AB%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%9B%BD/440326.html
一方で、ベトナムはもっと恐ろしい感染症である結核のハイリスク国で、しかも対策に失敗し、例によって台湾がベトナムの結核対応に協力を施しているうえ、悪いことに標準治療薬が効かない多剤耐性結核の罹患率が高くなっているため根絶が大変むつかしい状況に陥っているのもまた事実です。
感染症予防の「新南向政策」、ベトナムの結核予防を台湾が支援
https://www.taiwanembassy.org/jp_ja/post/64637.html
対策が進んできている一方、2018年の10万人当たり結核患者数は182.0人と日本の約7倍というハイアベレージです。これがどのくらい問題なのかというと、いま新型コロナウイルスの感染率が最も高いのは、インド洋の観光地モーリシャスであり、人口およそ127万人に対して判明している感染者が319人、死者が9人で、人口10万人あたり25.1人となっています。
そのような状況で、社会主義国が外出禁止を強く打ち出し、コロナ対策に成功したと言われても、日本にはおそらく何の参考にもならず、ベトナムとしても結果として誇れる状況にはないのは自明です。ベトナムはそれでもかなり衛生環境が速いペースで改善に向かっている国のひとつですから、その点では期待したいところですが、現時点では感染症対策という点では大きな問題を抱える国のひとつだと言えると思います。
この手のアフターコロナどころではない問題については、現在進行中のコロナウイルスだけに注目するのではなく、きちんとしたスケール(物差しのほう)を持ち、いろんな脅威のリスクを計算しながら対処したほうがいいんじゃないかと思うんですよね。
麻疹も結核も、そしてインフルエンザも立派な感染症であり、不幸にして人の命を奪う病気であることを忘れないようにしたいです。
山本一郎既刊!『ズレずに生き抜く』(文藝春秋・刊)https://books.rakuten.co.jp/rb/15879273/

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木村正人さんの記事でも好意的にベトナムの手法を取り上げ、コロナウイルス対策が奏功していることを報じています。実際、コロナウイルスの感染者数も、死者も、ベトナムでは少ないのは間違いなく、同じく行動制限を強烈に敷いてクラスター対策を進めていたシンガポールも結局は都市封鎖の方向へエスカレーションしなければならなかったことを考えると、確かに相対的にベトナムの手法は理想的であったとも言えます。
ベトナム 新型コロナウイルスとの闘いに成功している国
https://vietnam.vnanet.vn/japanese/%E3%83%98%E3%82%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0-%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%97%98%E3%81%84%E3%81%AB%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%9B%BD/440326.html
一方で、ベトナムはもっと恐ろしい感染症である結核のハイリスク国で、しかも対策に失敗し、例によって台湾がベトナムの結核対応に協力を施しているうえ、悪いことに標準治療薬が効かない多剤耐性結核の罹患率が高くなっているため根絶が大変むつかしい状況に陥っているのもまた事実です。
感染症予防の「新南向政策」、ベトナムの結核予防を台湾が支援
https://www.taiwanembassy.org/jp_ja/post/64637.html
対策が進んできている一方、2018年の10万人当たり結核患者数は182.0人と日本の約7倍というハイアベレージです。これがどのくらい問題なのかというと、いま新型コロナウイルスの感染率が最も高いのは、インド洋の観光地モーリシャスであり、人口およそ127万人に対して判明している感染者が319人、死者が9人で、人口10万人あたり25.1人となっています。
そのような状況で、社会主義国が外出禁止を強く打ち出し、コロナ対策に成功したと言われても、日本にはおそらく何の参考にもならず、ベトナムとしても結果として誇れる状況にはないのは自明です。ベトナムはそれでもかなり衛生環境が速いペースで改善に向かっている国のひとつですから、その点では期待したいところですが、現時点では感染症対策という点では大きな問題を抱える国のひとつだと言えると思います。
この手のアフターコロナどころではない問題については、現在進行中のコロナウイルスだけに注目するのではなく、きちんとしたスケール(物差しのほう)を持ち、いろんな脅威のリスクを計算しながら対処したほうがいいんじゃないかと思うんですよね。
麻疹も結核も、そしてインフルエンザも立派な感染症であり、不幸にして人の命を奪う病気であることを忘れないようにしたいです。
山本一郎既刊!『ズレずに生き抜く』(文藝春秋・刊)https://books.rakuten.co.jp/rb/15879273/
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