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統治機構そのものに問題がある日本

8月15日、終戦記念日のNHKスペシャル「終戦 なぜ早く決められなかったのか?」を見た。少なくとも終戦の3ヶ月以上前には「ソ連参戦」の情報をつかんでいた軍部が、自分たちのシナリオに都合の悪い情報を隠蔽し、1945年6月には米国との和平交渉も可能だったにもかかわらず、その機会を逸したという内容だったが、実に興味深かった。

そして、日本という国はいまだにきちんと67年前のあの戦争の総括を終えていない事実に気がつかされた。 あの悲惨な太平洋戦争をあそこまで長引かせてしまったのは、時の陸軍大臣や海軍大臣、財務大臣などの官僚であったことが分かり、しかも彼らがきちんとセクショナリズムを超えて、国家レベルの思考回路を持ち、責任を負う行動を取れれば、ひょっとしたら沖縄や広島、長崎を救えたかもしれない。

番組では、開戦の責任を中心に追及した連合軍の戦争裁判では、これら終戦を遅らせてしまった軍部官僚たちの責任は問われなかったと締めくくっている。

では、現在の日本政府はどうなのか。私は、過去の歴史をきちんと総括して、2度と同じ過ちを繰り返さないという姿勢が、いまなお依然として日本政府には欠けているとしか思えない。福島第一原発の事故にしても、67年経ったいまなお戦争責任に対する周辺諸国の反日感情を抑えられていない現実がある。NHKスペシャルでも指摘されていたが、誰一人責任を取らない日本の官僚システムなど、日本の統治機構そのものが問題なのかもしれない。

そして、こうした体質は国家の財政危機に対しても色濃く反映されている。ロイターのコラム「高橋是清なき2012年の日本、誰が債務膨張を止めるのか(田巻一彦氏)」は、戦前、軍部の巨額軍事費要求を止めてきた高橋是清が「2・26事件」で暗殺されたときから戦争への扉が開かれた。現在の日本は、軍部の存在がないにもかかわらず莫大な債務が膨張をし続けている。コラムでは、際限のない債務膨張を止める人物がいないいま、最終的にはマーケットが警鐘を鳴らすはずだと警告している。

現在の日本の財政赤字は、GDP比で240%に届くのも時間の問題になっている。太平洋戦争の末期でも200%程度だったことを考えると、現在の日本の政治や官僚機構では、いずれ際限のない債務膨張を誰も止められずに放置し、そして最悪の結果をもたらしてしまう可能性が高いような気がしてならない。

あの過ちを2度と繰り返さないためにも、債務膨張に歯止めをかける人物が現れる必要がある。そのためには、太平洋戦争に加担してしまった過去があるメディアも変わる必要があるはずだ。現在の大手メディアもまた、官僚体質から脱却できずにその統治能力(コーポレイトガバナンス)に問題があるような気がしてならない。

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