リーマンショックや東日本大震災の際など、株価が大暴落した時に、キャッシュを残していた投資家の皆さんは、「ここから何を買うべきか?」やはり迷うところだと思います。こういう時の王道は、やはり普段「高値の花」で購入できない優等生企業(米国であればブルーチップ伝統銘柄、国内であれば、業績堅調なPBR高めのディフェンシブ銘柄など)を買うということになるのでしょうし、実際私もそうしました。
ただ、こういう時に本当に売り叩かれるのは、時価総額が低く、流動性も低い、地味な内需小型株であることも、小型株投資をしたことのある皆さんであれば、体験的に知っていることだと思います。こういった銘柄も、世の中が不景気になれば、当然業績は落ち込むわけですが、それ以上に株価は極端に落ち込むため、うまく業績が回復してくる小型株を見つけ、継続的に購入し続けるメンタルタフネスがあれば、株価が5倍、10倍(テンバガー)になるという僥倖に巡り合うことができるのも株式投資の醍醐味であるといえるでしょう。
このサイトでリーマンショック後に安値をつけてその後株価が10倍以上になった銘柄のビジネスが解説されています。住宅販売(桧家HD)、カラオケ(コシダカHD)、百円ショップ(セリア)、眼鏡屋(JIN)、自動車ディーラー(VTHD)と、いずれも私達にとって、とてもなじみのあるBtoCのローテクビジネスが中心です。
いずれの会社も決して成長業界に属しているとは言えませんが、ローコストオペレーションに磨きをかけ、それによって実現できる割安価格で顧客受けする商品・サービスを全国展開するなり、安値で同業買収をするなり、新規性のあるヒット商品を開発するなりして、リーマンショック時の業績の底(2008〜2009年度)から、驚異的に成長しています。
なかなかこういう旬の企業を見つけられないからこそ、株式投資は難しいわけですが、まさに「灯台下暗し」であることも事実です。だからこそ、日常生活の中の自分に身近なところで「商売のうまい会社」を敏感にチェックしておき、株価暴落時に余裕資金で勇気を持ってバルク買いする手法は、投資家として何としても取り入れたいところです。
「商売のうまい会社」を見つけるためには、結果指標である「①財務を分析する力」だけでは残念ながら足りず、結果を生み出す原因である「②ビジネスモデルを見抜く力」、それに、人が気がつかない段階で「何か」に気付ける「③現場を見て商売の工夫を感じとる察知力」を高めることが欠かせません。前回のエントリーで告知した8月24日に開催予定の私の会社分析セミナーでは、特に②と③にフォーカスを当てて、会社分析スキルを解説したいと思っています。
最後に伝説の投資家、ピーター・リンチの著書画像を見るにある有名な言葉を一つ記載しておきましょう。
「人気業界の人気企業は避けた方がよい。冷え切った成長性の乏しい業界でうまくやっている企業への投資は、往々にしてよい投資結果に結びつく。」
記事
- 2012年08月15日 07:48
灯台下暗し 〜 テンバガーBtoCビジネス
- cpainvestor
- 公認会計士兼バリュー投資家