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「常に死にたい」外国籍の父親からの性的虐待、母親からの暴力にさらされた子ども時代。性依存と自傷行為の繰り返し〜サリナの場合【生きづらさを感じる人々33】

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外国人と日本人との間に生まれた、外国にルーツがある子どもたちが増えている。ルーツによって見た目が周りの子どもと違っている場合、いじめや理不尽な扱いを受けることもある。また、子どもたち自身にとっては、外からどう見られているのかということが悩みだったりする。その一方で、そうした外部的な偏見ではなく、国籍に関係なく、家族内の関係に起因する悩みを持つ場合だってある。関東に住むサリナさん(23、仮名)も、家庭内の問題に翻弄された一人だ。

取材に応じたサリナさん 写真:渋井哲也

記憶にない、父親からの性的虐待

バングラディッシュ人の父と、日本人の母親のあいだに生まれたサリナさんは、父親のことはほとんど記憶にない。母親へのドメスティック・バイオレンス(D V)が原因で、サリナさんが幼い頃、父親は強制送還されたためだ。そんなにひどいD Vだったのだろうか。母親から聞いた話などをふまえ、サリナさんはこう話す。

「父親は母親の女性器に包丁を突きつけたり、兄と母親を水風呂に入れたりしていました。それに、殴られて、鼻が切れたり、フェンスに投げつけられたりして、血まみれだったのですが、病院には行かなかった、と母親から聞かされました」

「私は記憶にないのですが、生後2ヶ月ほどで性的虐待を受けたようです。3歳のころの自分は覚えているんですが、父親に対して、常に怯えていました。ただし、人前では、いい人ぶっていて、他人にお金を貸したりしていたようです」

母子寮へ入ってから、激しくなった母親からの暴力

サリナさんが受けた虐待は、父親だけではない。母親からも殴られている。養育能力が低く、母親自身にも障害があったことを児童相談所が知り、4歳のころから児童相談所に通所するようになった。

「最初の頃は、父親の暴力から逃げるために、都内のシェルターに逃げ込んでいたようです。その後は、関東圏内の母子寮で過ごしました。母子寮にいるときからも暴力があったと思います。兄は児童養護施設に行きました。私に向けた暴力がどんどんハードになっていったんです。最初は、親は、保護を断っていましたが、一時保護されるようになったんです。ただ、母も暴力をやめたかったんだと思います。苦しくてやっているんだろうな、って思っていました」

安定した子ども期を過ごしていないサリナさんだが、小学校の頃は、人間関係が「しんどい」と感じていた。そのため、自宅から一番近い学校ではなく、数キロ離れた学区外の諸学校へ通っていた。そこでも「いじめ」にあい、「くさい」「きもい」と言われていた。

「『くさい』と言われるには理由がありました。お風呂に入っていなかったんです。だから、『いつもフケばかりだね』と言われていました。1ヶ月に一回もお風呂に入っていませんでしたね。なぜ?って。母親と入ることになるのですが、それが怖かったんです。どつかれるんです。それに体の変化を罵られました。いまになって思えば、言葉による性的虐待です」

両親が正式に離婚したのは、サリナさんが小学4年のころだった。強制送還された父親と一緒に住んでいなかったため、すでに両親は離婚しているとばかり思っていた。

「(離婚したとは)母親が言いたくなかったのでしょう。離婚調停をしていたことを知りませんでした。思い起こせば、『夫を訴える』と弁護士に言っていたのを思い出します。でも、弁護士と会っていたのだから、面談して、私のことを保護してほしかったなと、今では思います。家に帰りたくなかったですからね」

小学生のころは陰キャラ。母親からなぐられ、「死にたい」と思う

小4の頃、サリナさんは毎晩母親に殴られていた。

「このころは、陰キャラでした。『死にたい』と思うようになったのもこのころです。でも、殴られることが、『気持ちいい』と思うようにもなりました。痛みが快楽と思うようになったんです。母親と話すときは敬語。服従をしている感じだった。『殴られるのが好きだろう』と言われたりもした」

小5のころは、学校への遅刻が多かった。学校になじめなかったこともある。体罰もあったという。

「先生がどなっている時間が苦手でした。廊下を引き摺られたりもしました。みんなが見ていましたが、その先生をみんなは『熱血教師』として慕っていたんです。その教師の体罰に反対する人たちは少数派でした」

写真AC

暴力は家庭だけでなく、学校でもあったということになる。サリナさんの心休まる「居場所」は、学校にも家庭にもない。

中学から自傷行為。頭痛薬を大量に飲むことも

中学の頃になると、被害妄想などが出始める。そして、自傷行為が始まる。精神科に通院するようになるが、このころは薬物療法はしていない。リストカットは、中学3年から高校3年生までが激しかった。

「はじめは、縫い針で腕をチクチクする程度でした。自傷は、中学生から高校生までがピークだったかな。中学生のときはOD(大量服薬、オーバードーズ)を、高校のときは根性やきもしましたけど」

ODといっても、母親が家に保管していた頭痛薬などを飲んでいたようだ。その後、情緒が不安定になり、幻視・幻覚といった統合失調症のような症状や、言葉による表現が難しくなる「全緘黙」となった。

「人間不信で、人が怖かったんです。だからしゃべらなかったのです」

中学時代から精神科に入院するが、頭部が出血するほどのかきむしり、硬いビニールを使ってのリストカット、ほかの患者のシャンプーを飲んだり、階段からのダイブなどの行為を繰り返していた。それだけ、衝動性が強い時期で、隔離されたこともあった。

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