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新型コロナウイルス「感染者がかかった37病院の実名リスト全公開」

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■なぜ病院名が全て公表されないのか

春の訪れと共に、一瞬「自粛解禁ムード」が漂うも一転、いま日本は新型コロナウイルスとの戦いにおいて重大な局面に立たされている。各地で感染者の増加が続き、そのなかに無症状の感染者もいることも考えると、もはや誰もがコロナウイルスと隣り合わせと言ってもおかしくないだろう。

病院で多重空の回廊
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/baona

ウイルスは一体どこからやってくるのか。各自治体が発表する感染者の行動歴や感染経路情報に感心が集まるのは当然のことだ。だが、それらを見てみるとある疑問がわきあがる。感染者が訪れたライブハウスやスポーツジムなどの施設名は公表されているのに、なぜ同様に濃厚接触の可能性がある「受診した病院」の名前は公表されていないのだろうか。

病院名が公表されない理由としてまず挙げられるのは「情報公開について国の統一基準がない」ということだろう。感染者の情報について何をどこまで公表するかは各自治体の判断にゆだねられている。つまり自治体によって公開内容が異なるのだ。

たとえば東京都の場合、ある患者は感染が確認されるまでに2つの医療機関を合計4回受診しているが、病院名は一切公表されていない。入院先についても非公表だ。

■個人情報の保護か、予防のための情報開示か

一方で、一部ではあるが医療機関名を公表しているのが新潟市である。感染者の入院先が市民病院や県立新発田病院の場合は病院名を公開しているのだ。また、名古屋市では自治体の発表資料には具体的な入院先の記載はないものの、病院が自主的に公表したケースも見受けられる。

これらは一例にすぎないが、自治体も医療機関も感染拡大防止という同じミッションを掲げているにもかかわらず、情報公開の方針に微妙な違いが存在するのだ。

感染者の行動歴の公開内容は自治体によってバラつきはあるものの、いずれも病院名の公表には慎重であると言える。その理由として挙げられるのは、「個人情報の保護」だ。踏み込んで言えば具体的な病院名を公表することで「感染者の特定」や「病院や地域の風評被害」「医療従事者やその家族への差別」が起きることを懸念しているのである。

実際に大阪府八尾市は、市民の「なぜ感染者の行動歴がすべて公開されないのか」という問い合わせに対し「感染拡大防止に必要な情報と、患者の個人情報保護の観点から精査し、必要な内容について公表しております」と回答している。

確かに個人情報の保護という観点から言うと、これらの対応は正しいと言えるだろう。感染を理由に個人が差別されるなど不利益をこうむるのはあってはならないことだ。また風評被害により病院が経営悪化、閉鎖に追い込まれでもしたら地域の医療崩壊にもなりかねない。自治体が公表に慎重になるのは理解できる。

■施設名の公表が、クラスターの封じ込めに

だが、感染拡大防止という観点から見ると、病院名の公表が控えられたままでいいかは疑問が残る。

病院ではないが、施設名の公表が評価された例として、クラスター(感染者集団)が発生した大阪市のライブハウスが挙げられる。大阪府はコロナウイルス感染が確認されてすぐ、ライブハウスの店名を公表し、各地に散ったイベント参加者に注意喚起を行った。その結果、感染が判明した2月29日から20日後、3月19日には吉村洋文府知事によってライブハウスにかかわる感染拡大の収束宣言が出されるに至った。感染拡大防止の鍵はクラスターの封じ込めだ。ライブハウスのクラスターからは約80名の感染者を出していたが、もし公表がなければ、その80名から各地でさらなるクラスターが発生し、爆発的な感染が起こっていたかもしれない。

店名公表にはライブハウス側の理解と協力があったという。吉村知事はテレビ番組でコロナ終息後も風評被害などのリスクが考えられるなか、社会のために決断したライブハウスの行動を評価し、今後もフォローをしていきたいと述べている。

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