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積水ハウス地面師事件 「会長は不正取引を知っていた」元不動産部長が実名証言 - 「週刊文春」編集部

 2017年6月、大手住宅メーカーの積水ハウスが、架空の土地取引で55億5千万円を騙し取られた地面師詐欺事件。当時、不動産部長だった黒田章氏が、ジャーナリスト大西康之氏の取材に応じ、事件の経緯を初めて語った。

【画像】地面師詐欺事件 衝撃の「調査報告書」

 黒田氏が部長を務めた不動産部とは取引相手の信用を調査し、契約の中身が適正かどうかをチェックする部署。同部の承認がないと不動産売買はできず、金融機関でいえば審査部にあたる。


事件の舞台となった五反田の土地

 黒田氏が語る。

「私は『この取引はおかしい』と言い続けていました。しかし阿部俊則社長(当時、現会長)や東京マンション事業本部長の三谷和司常務らは、取引相手のネガティブ情報を伏せ、最終的に私に捺印させた。にもかかわらず社長は責任を取るどころか、会長の座に今も居座っています。しかも現在の代表取締役は会長を筆頭に、土地の稟議書に判を押した4人です。このままの状況を放置してはいけないと考え、真実をお話ししたいと思いました」

 黒田氏の言う、取引相手のネガティブ情報とは何か。

 実は、取引前の2017年5月10日、積水ハウス本社の法務部宛に内容証明郵便が送られてきていた。差出人は、本物の地主名義。その内容は「自分は本件不動産の所有者だが、仮登記がなされて驚いている。売買契約はしていないから、仮登記は無効である」というものだった。その後、5月23日までに内容証明郵便は計4通届いた。だが法務部と東京マンション事業部はこれを怪文書の類だとみなし、黒田氏の不動産部には伝えなかった。この事実は調査報告書にも記されている。

 この内容証明郵便について、黒田氏は驚くべき新事実を明かした。

「阿部社長は、契約相手が偽の地主であることを示す内容証明付きの告発文の存在を、決済日の前から知っていました。その事実を不動産部には隠して、強引に取引を進めたのです」

 仮に阿部氏が詐欺の恐れがあることを知りながら取引を強行したのならば、取締役の善管注意義務違反、または特別背任に問われる可能性がある。

 この事件を巡っては、当時の和田勇会長が阿部氏の社長解任動議を出したが、可決されず、和田会長が辞任、阿部氏が会長に就任する人事が行われ、注目を集めた。

 積水ハウスに取材を申し込むと、広報部は次のように回答した。

「2017年6月1日時点では、阿部は内容証明郵便の存在を知らなかったことが判明しております。阿部が『詐欺の恐れがあることを知りながら売買契約をおこなった』という事実はありません。弊社は、阿部に取締役としての善管注意義務違反等はないものと判断いたしております」

 阿部社長(当時)が取引前に現地を視察するなど“社長案件”となった結果、巨額の損害が発生しており、黒田氏の実名証言に対し、どう説明するのか注目される。

 4月9日(木)発売の「週刊文春」では、一部上場企業の積水ハウスがなぜこうした詐欺に引っかかったのか、阿部氏はこの取引にどうかかわっていたのか、不正取引の詳細な経緯、内容証明郵便をめぐる阿部氏と黒田氏のやり取りなど、黒田氏のインタビューをもとに3ページにわたって報じている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年4月16日号)

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