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「頼ることは恥ずかしいことじゃない」 朝ドラ「エール」“藤堂先生”が放った5つの名言 - 平田 裕介

 ロングランヒットを記録した「さくら(独唱)」から17年。森山直太朗の代表作が新たなアレンジによって生まれ変わった「さくら(二〇一九)」は、『同期のサクラ』(日本テレビ系)の主題歌として昨年大きな反響を呼んだ。

【画像】丸メガネが似合う藤堂先生(森山直太朗)

「率先してチャレンジしていきたい」と語った俳優業で見せる存在感にも、注目が集まっている。現在放送中のNHK連続テレビ小説「エール」では、後に作曲家となる主人公を励まし音楽の道へと導く教師・藤堂清晴役を、説得力をもって演じている。

◆ ◆ ◆

*以下の記事では、NHK連続テレビ小説「エール」の詳しい内容について述べられていますのでご注意ください。

 スタートしてから、まだ2週間。

 あれほど前回の朝ドラ「スカーレット」にのめり込んだゆえに、そう簡単に「エール」へ気持ちを完全移行できないんじゃないか……。“バトンタッチした朝ドラあるある”ともいえる、そんな状態に陥るかと危惧していたものの、杞憂に終わらせてくれるキャラクターが現れた。それが主人公・古山裕一(窪田正孝/子供時代、石田星空)の小学校時代の担任、藤堂清晴(森山直太朗)である。


藤堂先生は、裕一に“エールを送る第一の人物”

「エール」の第1話(3月30日放送)こそ、裕一とヒロインの関内音(二階堂ふみ)が手を取り合って大噴火から逃げ惑う原始時代にはじまり、彼らが踊りまくるフラッシュモブ・ミュージカルあり、1964年東京オリンピック開会式に臨んでいくふたりというアガる画ありと、実に賑やかだった。それがスタートしてみるとやや一転、裕一を取り巻く過酷な状況にヒリヒリする展開だったのである。

 運動も武道もダメ、とことん気が弱くて緊張すると吃音になるがゆえに、いじめっ子の格好の標的にされてしまう裕一。また、幼少期の裕一を演じている石田星空くんが可愛いゆえに悲壮感が増してきてしかたがない。第1週のタイトルが「初めてのエール」なだけに、そうした裕一に“エールを送る第一の人物”が出てくるのだろうと観る者は予想したはず。

森山直太朗の妙演としか言いようのない演技と佇まい

 レコードや楽譜を彼に買い与える父親の古山三郎(唐沢寿明)が該当しそうだが、彼はなんとも呑気で頼りない。こちらが悶々としている間に第3話(4月1日放送)では、裕一は教師に平手打ちされ、吃音を気合いでなんとかしろと責められる。「ちょっとコレ、さすがにどうにかならないの……」と胃がキューッとなっているところに現れるのが藤堂先生。「言葉の詰まりは本人の気合いの問題じゃない!」と平手した教師を一喝、「僕と君、同じ顔をしているか? 歩く速さも違う。話し方も違う。違いを気にするな」と裕一を全肯定するので救われた。

 また、演じる森山直太朗がまさに妙演としか言いようのない演技と佇まいを見せてくれる。「劇中にも度々出てくるオルガンやハーモニカを奏でるように、スタッフや出演者の皆さんと一つ一つ感情を積み上げていけたらと思います」という出演にあたってのコメントの通り、“演じています!”みたいな圧を放つことなく、時に熱く、時に優しげに裕一を見守る姿を絶妙な塩梅で体現しているのだ。

 運動会の競走で思いっきりコケて立ち上がれない裕一の姿を目にしても言葉で叱咤激励せず、顧問を務めるハーモニカ部の演奏で奮い立たせ、ゴールの向こうで待ち構えて倒れ込む彼をキャッチする。初登場する第3話で裕一をここまでフォローしまくる藤堂先生に観ているコチラもハートを鷲掴みにされてしまうと共に、裕一に“エールを送る第一の人物”こそ彼なのだと確信してさらにこみ上げてきてしまった。

「人よりほんの少し努力するのがつらくなくて、ほんの少し簡単にできること」

 そして、トドメを刺されたのが第5話(4月3日放送)。裕一の秀でた音楽的才能に驚いた藤堂先生が、彼に向けて「人よりほんの少し努力するのがつらくなくて、ほんの少し簡単にできること、それがお前の得意なものだ。それが見つかれば、しがみつけ。必ず道は開く」と語る。三郎が裕一に向けて放った台詞「なんでもいい、夢中になるもの探せ。それがあれば生きていけっから」を補完するかのように、“夢中になれるもの”はなんたるかをわかりやすくビシッと伝える。平易な言葉を用いて、真理を説く。これぞ教師の鑑。この言葉には、裕一と一緒に背筋を正して「はい!」と返事しそうになった。

 しかも、裕一以外の生徒にもしっかりと目を向けているあたりもこれまた教師の鑑。第6話(4月6日放送)では、貧しさから借金を重ねて夜逃げする魚屋の息子・鉄男(込江大牙)に「頼ることは恥ずかしいことじゃない。自分の才能から逃げるな。一生後悔するぞ」と新聞記者の名刺を渡す。詩を編むのが大好きな鉄男に言葉を綴る才能があることを見抜いての人生フォロー。それでいて「先生は逃げたの?」という鉄男からの問いには、「俺はないものを追ったんだ」と気になってしかたがない意味深な答えを返す。これで、もう藤堂先生から完全に目が離せなくなってしまった。

2016年6月、アルバム「嗚呼」の発売記念イベントで、活動休止から復帰後初めて公の場に姿を見せた。

 第7話からは関内音(子供時代、清水香帆)の幼少期パートにシフトするようで、第2週「運命のかぐや姫」ではこれ以上の藤堂先生の出番はない様子。しかし。番組公式サイトの登場人物ページには“裕一が大人になってからも良き相談相手となり、音楽の道を応援する”と紹介されているし、「俺はないものを追ったんだ」の“追ったもの”が明らかにされていないので今後も登場するのは確かな気がするが、こっちは早くも“藤堂ロス”である。彼の再登場を待ちわびたい。

(平田 裕介)

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