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米雇用統計(20年3月)-雇用者数は前月比▲70.1万人。新型コロナウイルス対策の影響で娯楽関連の雇用が大幅に減少 - 経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:雇用者数は予想対比大幅に下振れ、失業率の上昇幅は75年1月以来の高さ

4月10日、米国労働省(BLS)は3月の雇用統計を公表した。非農業部門雇用者数は、前月対比で▲70.1万人の減少1(前月改定値:+27.5万人)と、+27.3万人から上方修正された前月から9年半ぶりに減少に転じたほか、市場予想の▲10.0万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を大幅に下回った(後掲図表2参照)。

失業率は4.4%(前月:3.5%、市場予想:3.8%)と前月から+0.9%ポイント上昇し、市場予想も上回った(後継図表6参照)。前月からの上昇幅は、1975年1月(+0.9%ポイント)以来の水準であった。労働参加率2は62.7%(前月:63.4%、市場予想:63.3%)と前月から▲0.7%ポイント低下、市場予想も下回った(後掲図表5参照)。

1 季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
2 労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。


2.結果の評価:大規模な事業・学校閉鎖前から雇用は大幅減少、4月のマイナス幅は拡大へ

3月の雇用増加数は、新型コロナウイルスの感染や感染対策の影響により、娯楽・宿泊が前月比▲45.9万人となるなど、雇用者数が大幅に減少する結果となった。もっとも、3月の調査週は3月8日~14日で、米国内で大規模な事業・学校閉鎖措置が実施される3月後半以前の調査のため、当月の雇用減少幅は新型コロナウイルスの影響を一部反映したに過ぎない。このため、来月発表される4月の雇用減少幅は大幅な拡大が不可避だろう。



一方、家計調査は前月から大幅な増加となったが、後述するように本来失業者にカウントされるべき人数の相当数が欠勤扱いとして失業者数にカウントされていない可能性が指摘されている。このため、本来の失業率は発表された水準より1%ポイント程度高いとみられる。

時間当たり賃金(全雇用者ベース)は、前月比が+0.4%(前月:+0.3%、市場予想:+0.2%)と、前月、市場予想を上回った。前年同月比も+3.1%(前月:+3.0%、市場予想:+3.0%)と、前月、市場予想を上回わった(図表1)。

このようにみると、3月は新型コロナウイルスの感染と感染対策などの影響から、労働市場が大幅な悪化に転じたことを確認する結果となった。もっとも、前述のように3月の統計は新型コロナウイルス感染拡大の影響が本格化する前の統計となっていることには注意が必要だ。失業保険新規申請件数は、雇用統計調査週後の2週間でおよそ+1,000万人の増加を示しており、4月はさらに雇用情勢の大幅な悪化を示そう。

3.事業所調査の詳細:雇用減少の3分の2が娯楽・宿泊に集中

事業所調査のうち、民間サービス部門は前月比▲65.9万人(前月:+18.5万人)と前月から大幅な減少に転じた(図表2)。



民間サービス部門の中では、娯楽・宿泊が前月比▲45.9万人(前月:+4.4万人)と大幅に落ち込み、雇用減少全体のおよそ3分の2を占めた。また、医療・社会扶助サービスが▲6.1万人(前月:+6.6万人)、一時派遣業が▲5.0万人(前月:▲0.4万人)となったことから、専門・ビジネスサービスが▲5.2万人(前月:+3.6万人)となった。さらに、小売業も▲4.6万人(前月:+0.1万人)と減少に転じた。

財生産部門は前月比▲5.4万人(前月:+5.7万人)と、こちらも前月から減少に転じた。建設業が▲2.9万人(前月:+4.1万人)となったほか、製造業も▲1.8万人(前月:+1.3万人)と減少した。

一方、政府部門は前月比+1.2万人(前月:+3.3万人)と前月からは伸びが鈍化したものの、増加を維持した。内訳をみると、州・地方政府が▲0.6万人(前月:+2.5万人)と前月から減少に転じたものの、連邦政府が+1.8万人(前月:+0.8万人)と前月から伸びが加速して全体を押し上げた。なお、連邦政府職員の増加のうち、+1.7万人は国勢調査関連の雇用が占める。 前月(2月)と前々月(1月)の雇用増加数(改定値)は、前月が+27.5万人(改定前:+27.3万人)と+0.2万人上方修正された一方、前々月が+21.4万人(改定前:+27.3万人)と、こちらは▲5.9万人下方修正された。この結果、2ヵ月合計の修正幅は▲5.7万人の下方修正となった(図表3)。

BLSの公表に先立って4月1日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増加数が前月比▲2.7万人(前月改定値:+17.9万人、市場予想:▲15.0万人)と、+18.3万人から下方修正された前月から大幅な減少に転じた一方、市場予想は上回った。この結果、雇用統計同様に3月は雇用増加数が減少に転じたものの、減少幅は雇用統計の▲70万人に比べて小幅に留まった。

3月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が28.62ドル(前月:28.51ドル)となり、前月から+11セント増加した。週当たり労働時間は34.2時間(前月:34.4時間)と前月から▲0.2時間減少し、11年1月以来の水準となった。この結果、週当たり賃金は978.80ドル(前月:980.74ドル)と、前月から減少した(図表4)。



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