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国会も緊急事態対応しないと現場が死ぬ

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今日にも緊急事態宣言が出される模様ですが、誰も議論しないけどとても大事なことが抜け落ちています。

厚労省を中心とした霞が関でも、緊急事態対応がずっと続いています。
厚労省の現場には、省内各部署や他省庁からも大量の職員が集められて、文字通り不眠不休の戦いが続いています。

この4月から、出向先から厚労省に戻され、コロナ対策に放り込まれている人間もいます。

もう限界で倒れそうという悲鳴も聞こえてきます。

感染が爆発的に増えるかどうか、本当に正念場ですし、国民に外出自粛や営業停止を強く要請する中で、国の行政としても対応すべきことがたくさんあります。

医療関係者も国民も影響を受けているあらゆる人が、緊急事態の国難の中で、国民の命と健康を守るために限界まで働いたり、不自由を強いられたり、様々なことをますます我慢することになります。

「感染の拡大を防ぐために、今は緊急事態として対応しないといけない。」

そういうことを一人ひとりが理解して、国民も含めて団結して、ことに当たろうとしているものと思います。

しかし・・・。

  一つだけ、緊急事態対応をとらない場所があります。

    この国の方針を決める一番重要な機関である国会です。

1.国会対応がコロナ対策の現場の動きを止めている

連日、大量の官僚が国会議員への「ご説明」に追われています。

もちろん、厚労省でも重大な政策や不祥事などが起これば、これに近いことは起こりますが、ここまで全方位に国会議員への「ご説明」が増えたことは、長く厚労省で国会対応をしていた僕の知る限りありません。完全に一省庁のキャパシティを超えています。

 コロナ対策を行っている官僚達は、不眠不休で戦っていますが、その労力をほとんど国会議員への「ご説明」にとられてしまいます。国民の代表である国会議員への説明はもちろん大切なことです。だからこそ後回しにできないのですが、いくら「ご説明」をしても、対策そのものは1ミリも進まないのです。

 検査体制がどうか、ワクチンや治療薬の開発を促進できないか、医療体制の確保がしっかりできるか、マスク等の物資が必要なところに届けられるか、休校や外出自粛に伴う必要な対応は何か、集団感染(クラスター)がどこで起こっているのか、都道府県等との連携はどうか、各省にお願いすることはないか、民間企業にお願いすることはなにか、国民に何を伝えればよいか、そういった国民生活と医療を守るために、やらなければならないことを彼らは山ほど抱えています。

2.いますぐ必要な国会改革:3つの緊急提言

4月3日の国会質疑で、厚労省の国会対応の負担がいかに重いかが明らかになりました。

今、国会が緊急事態対応をとらないことによって、何が起こっているのか、解決策はあるでしょうか。

(1)国会質問

国会の質疑は、ぶっつけ本番でやっているのではありません。裏では以下のような緻密な準備が行われて、初めて成り立っています。

① 前日夜まで:議員の質問通告
質問する国会議員が、事前に質問予定の内容を官僚に通告します。ぶっつけ本番で聞かれると、大臣も具体的なことを答えられないので、「状況をしっかり把握して、必要性を検討したい。」みたいな漠然とした答弁しかできなくなって全く議論が深まりません。政策を動かすための議論に事前通告は必要なのです。
※ どの国の国会でも党首討論などの自由討議を除けば、事前の質問通告をしますが、前日夜に通告するのは日本の国会だけです。日本の地方議会でも数日前の通告です。

② 前日夜~深夜・明け方:担当部署確定・答弁作成
通告を受けると、質問内容に応じた担当部署を決めて、若手が答弁メモを作成し、関係する部署や他省庁とも調整をしながら幹部の決裁をとっていきます。

③ 深夜・明け方:全ての答弁メモ+参考資料が完成したら、大量にコピーをして、大臣などが翌日使う答弁メモを一式用意。
※ 答弁メモ+参考資料を電子データにしてタブレット等に入れれば、深夜の無駄なコピー作業は不要です。OECD加盟国30カ国の全てでタブレット端末等を使用を許容しています。日本の地方議会も約4割の都道府県・政令市で使用しています。なぜか、日本の国会では使用が許されないのでしょうか。

④ 朝6時~7時:大臣レク
大臣が出勤してくるので、当日の国会質問の勉強会を行います。どのような質問が出る予定で答弁のポイントは何か、官僚から大臣に説明した上で答弁の方針を決めます。国会答弁は官僚が書いた紙をただ大臣が棒読みしているわけではありません。官僚の説明を聞いた大臣が、もう少し踏み込んで答えるべきなど議論をして方針を事前に決めています。大臣の指示で答弁を直すこともよくあります。ここに、答弁の事前準備の大きな意味があるのです。官僚が今まで通りで行きたいと思ってても、大臣が国会議員の指摘の方が正しいと思えば官僚のスタンスに変更の指示をします。だから、国会質問は政策を動かせるのです。

⑤ 9時~夕方:委員会本番
大臣等が答弁する最中も、急な質問などの場合に対応できるように担当の官僚が同席します。場合によっては、正確に答弁するために、耳うちをしたり、慌ててメモを書いて大臣等に渡したりします。

国会の答弁は、正式な議事録に残り政府の公式見解となるので、不正確なことを言うわけにはいきません。

コロナ対策本部の官僚たちは、今毎日こんなことを一日中やっています。

国会での審議は必要なことです。一つの委員会ならまだ何とか対応できるでしょう。でも、今は委員会が開けばどの委員会でもコロナに関する質問が出る(委員会は概ね省庁ごとにある)。通常は、厚労省への質問なら厚生労働委員会が中心であり、政府全体の重大案件であれば何でも議論する予算委員会で対応する。

国会改革緊急提言①
コロナに関する質問は原則厚生労働委員会と予算委員会に集約すべき。

(2)与野党各党に乱立するコロナ対策会議

 国会での議論だけでなく、各政党はそれぞれ別々にコロナ対策について議論する会議を設けています。この議論は議員間で行うというよりも、毎回厚労省を中心としたコロナ対応に当たっている官僚を呼んで説明を求めたり指摘を繰り返します。

① 政党ごとの会議
② 政府・与野党協議会
③ 野党合同ヒアリング

これらの3種類の会議(例えば、与党の会議1つと野党の会議2つ)が並行して頻繁に開催されています。(1)の国会での議論に加えて、概ね1日に3つくらい上記の会議が開催されているようです。多い日は、予算委員会、厚生労働委員会以外も含めた多数の委員会でコロナの質疑が行われる上に、政党の会議が5つも開催されます。

同じ日に、同じテーマで会議がいくつも開催されるので、あちこちに同じ説明をして回っている状況です。しかも、これらの会議も本番の対応だけではなく、事前の説明を多くの議員から求められます。いわゆる「議員レク」が山ほど発生している。事前の説明を聞いた上で、政党の会議で質問や議論をするために。

国会改革緊急提言②
政党ごとの会議はまとめるべき。少なくとも、与党で1つ、野党は合同ヒアリングに集約するなど。

(3)個別議員の問合せ

国会や政党ごとの会議で連日質問や議論がなされていますが、それだけはなく、個々の議員からの資料要求、問合せ・説明要求が毎日数十件届いています。

現状でも、完全にオーバーフローしていて、議員が設定する期限までに提出できない状況です。期限までに資料を持って行けないことを官僚を怒鳴り散らす議員もいるそうです。

国会改革緊急提言③
個別議員の問合せは、衆議院・参議院の調査室などに一元的に議員からの問合せ窓口を作って、まずはそこで受けるべき。

※ 衆議院・参議院の事務局には各省ごとに調査室という各行政分野のエキスパートの方がいて、平時から国会議員の指示に応じて調査をしている。どうしても調査室が分からないことは調査室から厚労省にまとめて確認をとればよい。

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