- 2020年04月05日 11:04
【パンデミック下の位置情報】
スマホを持って出かけると、テック企業は位置情報や購買履歴を把握することができますが、Googleなどは新型コロナウイルスの感染拡大の防止に役立てようと動き出しているという報道が相次いでいます。
先進事例は中国ですが、アリババなど中国企業も個人データの保護に神経を使っているほか、中国の当局どうしがライバル意識からコラボせずに混乱していてそううまくいっていないという報道もあります。
Googleの発表文
WSJはGoogle Offers User Location Data to Health Officials Tackling Coronavirus(グーグル、コロナ対策進める保健当局に位置情報を提供)の中で、米グーグルが新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、かつてない事態だとしてスマホアプリのGoogle Mapの利用者の位置情報をまとめて保健当局に提供すると報じています。
グーグルはWHO=世界保健機関や米CDC=疾病対策センターと相談のうえ131か国の利用者の履歴情報を2-3日の遅延で匿名にして公表するとしています。
会社は感染拡大の抑止に貢献したいと同時にプライバシーを侵害しているように受け取られたくないと説明しているそうです。
FTはChina, coronavirus and surveillance: the messy reality of personal data(中国とコロナと監視:個人データのぐちゃぐちゃな現実)の中で中国政府が新型コロナウイルス対策の名目で国営の通信会社に利用者の位置情報の提供を求めているものの、通信会社は基地局をもとにしているため2キロ四方程度にしか絞り込めず、GPSの位置情報を握っているのはアリババやテンセントなどの企業で、プライバシー侵害はいまどき難しく外国が思っているほど簡単には提供されていないと報じています。
確かにほかの国に比べれば中国はスマホを使った位置情報や顔データを追跡するツールを持っているものの、コロナ前から個人データ保護の議論が盛り上がっているほか、アリババなどはアメリカの株式市場に上場していて個人の行動データを保護していないように見られることに抵抗しているとしています。
さらに、中国国内で多くの当局がライバル意識を持っていて省や市の間で追跡アプリが競合していて事態は今らしていると指摘しています。
BloombergはU.K. Asks Phone Carriers for Data to Help Fly Brits Abroad Home(英国政府、外国滞在中の自国民を帰国されようと通信会社に協力を要請)の中で、新型コロナウイルスの感染拡大により外国にいてイギリスに帰国できない国民を帰国させるため、イギリス政府はBT GroupやVodafone Groupなど国内の4つの通信会社に対して、ローミングサービスの活用データの提供を求めて協議中だと伝えています。
ローミングデータを使えばイギリス人がどこに何人いるかを把握できるとしています。
イギリス外務省は3月23日に世界中の自国民に帰国を呼びかけましたが、フライトの相次ぐ減便を受けて日本円にして約1億円を用意したということです。
※Googleの日本に関するデータ
https://www.gstatic.com/covid19/mobility/2020-03-29_JP_Mobility_Report_en.pdf