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激増中「コロナ鬱」を避けるための5つの予防法

新型コロナウイルスの感染拡大により、全国の病院が大混雑している。それは内科だけではない。松崎病院(愛知県)の精神科医・鹿目将至氏は、「親交のある県内の精神科医の場合、3月下旬のある日に診察した患者68人中58人がコロナへの強い不安を述べたそうです。『コロナ鬱』といってもいい症状を訴える患者が急増しています」という――。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hisa nishiya

精神科を受診した68人の患者のうち、58人が「コロナ関連」

新型コロナウイルスの感染者数が増え続けている。自らのコロナ感染を疑う患者も、日々、病院に殺到している。とりわけ「内科」は大混乱だが、そうした混雑状況は他の診療科にも飛び火している。たとえば、精神科だ。

愛知県にある松崎病院の精神科医・鹿目将至(かのめまさゆき)氏はこう話す。

「私たち精神科もコロナと無関係ではありません。むしろ精神科だからこそ、直撃と言っていいほどコロナの影響を受けています」

鹿目医師と親交のある愛知県内の病院の精神科医は、2020年3月下旬、外来患者の「主訴」を独自に調査した。その結果、1日に診察した68人のうち、58人がコロナへの強い不安を述べたという。患者の8割以上が同一の心配事を語るというのは、東日本大震災を含めてこれまで一切なかったという。

「私自身は、そのように人数を数えたことはありませんが、私が勤務する病院でも状況は同じです。外来患者さんや入院患者さんを診察する中で、同じ医師として肌感覚で同様の印象を持ちます。入院中の患者さんでも、食堂にあるテレビでコロナの情報に逐一耳を傾け、怯えています。日に日にコロナ感染への不安を抱える患者さんが増えているのは間違いありません」

鹿目医師によれば、これらの患者はいわゆる「コロナうつ」というべき症状だという。通常、うつ状態の患者の主な症状は「気持ちの落ち込み」だが、「コロナうつ」はそれに加えて「不安と焦り」という特徴がある。今後の見通しが立たないことから、不安や焦りが強くなり、息苦しさや不眠といった症状が出る。

コロナに感染する前に、先にメンタルがやられてしまう

「コロナウイルスによる肺炎で有名人が亡くなった」
「全世界で死者がドンドン増えている」
「唯一の治療法は罹患しないこと」


松崎病院精神科医の鹿目将至さん

こうしたニュースを聞けば、だれもが不安を抱くだろう。精神科の患者はその不安度がより高い。「コロナが怖い」「コロナになったらどうしよう」という訴えの強さが「尋常ではない」(鹿目医師)というのだ。

実際、コロナの影響で会社をリストラされたことで「死にたい」と話す患者がおり、入院に至るケースもあるそうだ。コロナに感染する前に、先にメンタルがやられてしまうのだ。

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、この「コロナうつ」も日本の各地で増加していると思われる。そこで鹿目医師に予防法について聞いた。それは大きく5項目にわけられる。

(1)自分の症状を冷静に見つめ「これはコロナのせい」と自覚する

「『コロナが怖い』『感染したらどうしようかと不安になる、焦ってしまう』。そうした気持ちは誰もが感じることであり、決して『そう感じてしまう私はおかしい』と考えないほうがいい。不安や焦りが募れば、気持ちが自然と落ち込み、夜も眠れなくなるかもしれない。そのときは『きっとコロナによって自分はいつもよりも不安になっている』『敏感になっている』と認め、受け入れることが大切です」
「不安を認め、受け入れることはうつに対する基礎的な自己防衛術です。不安をひとりで抱え込まず、まずは自分の症状を認めて、自覚すること。それが治癒への第一歩になります」

(2)ニュースの追っかけをやめる

「コロナウイルスに関するニュースを意識的にシャットアウトしましょう。ネガティブな情報に触れ続けていると、自然とネガティブな気分に支配されてしまう。自分ではそのことに気がつきにくいのです」
「『いつも通りに行動し、気がつくとネガティブになっている』ならば、情報を選択し、ネガティブとポジティブの情報の量を調整しバランスをとることが大切です。『この情報番組はネガティブだな、今の会話もネガティブだな』。そう思ったら、意識的にポジティブなニュース、ポジティブな話題に触れましょう。例えば、音楽を聴く、好物を食べるなど、ポジティブな気持ちになれることを積極的に行うことが『コロナうつ』の予防になります」

なぜ、テレワークでコロナ鬱になってしまうのか

(3)規則正しい生活をして、できるだけ体を動かす

「外出の自粛やテレワークなどにより、多くの人は運動量が減っています。特に若い世代は会社や学校に行くという習慣がなくなり、日中はソファで眠って夕方に目を覚ますなどと生活が乱れがちです。自堕落な生活による健康被害は、『コロナうつ』よりも深刻になります。体力が失われ免疫力が低下すれば、コロナどころか風邪にもインフルエンザにもかかりやすい体になってしまいます。その上、うつにもなりやすくなってしまうのです」
「運動習慣のある人とない人とで比較すると、運動習慣のない人のほうが圧倒的にうつになりやすいことがわかっています。朝、太陽の光を浴び、日中は活動する。3食とも健康的な食事をし、間食は控える。夜はお風呂に入り清潔を保ち、ゆっくりと休む。この『当たり前』な生活こそが、コロナへの感染確率を下げると同時に、『コロナうつ』から(健康な)心を守ります」

(4)明るい未来を予測する

「コロナウイルスの感染拡大が深刻ですが、いつかは必ず収束します。『アフターコロナ』に、自分は何がしたいのか、どう生きていきたいのか、小さな頃に抱いた夢や希望はなんであったのか、改めて思い出してみるのもいいでしょう」
「悲観的になりすぎず、明るい未来を予測することも『コロナうつ』を予防し、乗り越える秘訣となります。世の中全体が悲観的になっている状況だからこそ、個人の夢や希望を持つことが、それに巻き込まれないためのポイントとなります」

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/DNY59

(5)感謝の気持ちをもつ

「コロナへの不安を述べる精神科の患者さんの中で、ごく少数ですが、非常に安定した心理状態を維持している方もいます。彼らの共通点は感謝の気持ちを外来で話していることです。『先生もこんな状況なのに診察してくれてありがとう』『先生が頑張るなら私も頑張るよ』『先生もコロナにならないように気をつけて』『また来月会えるのを楽しみにしているよ』。健常者に比べて、気分が不安定になるリスクが高いにもかかわらず、みな一様に元気なのです」
「精神的に安定しているから気持ちに余裕が生まれ、感謝の言葉を話す。もしくは感謝の気持ちを伝えることで気持ちに余裕が生まれる。おそらく両方の作用があるとみています」

以上が、鹿目医師のアドバイスである。

コロナ鬱を避けるため毎日言うべき「5文字」

コロナウイルスの脅威が世界を震撼させる中、誰もが不安な気持ちであることは間違いない。しかし、つらい状況だからこそ、見えてくるものもある。これまで「当たり前」と思っていた幸福に気づくのだ。

しかし、つらい状況だからこそ、見えてくるものもある。こんな状況だからこそ、「当たり前」が「ありがたい」のだ。

家族がいるから自分がいる、両親がいるから自分がいる、作ってくれる人がいるから物がある、物を売ってくれる人がいるから買うことができる、そんな「当たり前」にもう一度目を向け「ありがとう」と言ってみる。意外とこういうシンプルなことが、「コロナうつ」を防止する鍵なのではないだろうか。

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

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鳥居 りんこ(とりい・りんこ)
エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー
執筆、講演活動を軸に悩める母たちを応援している。著作としては「偏差値30からの中学受験シリーズ」(学研)、「ノープロブレム 答えのない子育て」(学研)、「主婦が仕事を探すということ」(東洋経済新報社 共著)などがある。最新刊は「鳥居りんこの親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ」(ダイヤモンド社)。ブログは「湘南オバちゃんクラブ」「Facebook 鳥居りんこ」。
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