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中国の“マスク外交”に警戒感「中国は放火犯と消防士だ」

始まりは中国からだった

 中国では新型コロナウイルスの感染源とされる湖北省武漢市の都市封鎖(ロックアウト)がほぼ解除され、中国各地での工場での生産も再開されるなど、警戒が緩みつつある。

 その一方で、中国政府はいまやパンデミック(感染の大流行)状態になっている欧米やアジア諸国にマスクや医療用品を送ったり、あるいは医師団を派遣するなど、いわゆる「マスク外交」を活発化させている。これについて、「新型コロナウイルス流行の初期対応に不手際があったとする批判をかわすためではないか」といった批判の声も国際社会から上がっている。

 AFP通信によると、中国政府はここ数週間で、フィリピンやパキスタンにマスクや新型コロナウイルスの検査キットを寄付。スリランカには新型ウイルス対策費として5億ドル(約550億円)を融資した。また、イランやイラクなどの友好国を中心に中国の医療チームを派遣している。

 特にイタリアには2グループの医療チームを送った。イタリアは昨年6月、G7のなかでは初めて、習近平国家主席の肝いりで始めた経済圏構想「一帯一路」構想に関する覚書を締結しただけに、中国とイタリアの連帯感の強さを演出した形だ。

 さらに中国を「兄弟」と表現するセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領と習氏の友好関係を誇示するように、ウイルス検査キットなどの医療用品を大量に寄付している。

 このようななか、貿易問題や中国駐在の米国記者の追放などで、中国との間で問題を抱えている米国は、中国の「マスク外交」に批判的だ。トランプ米大統領は、新型ウイルスについて、「中国ウイルス」という言葉を使い続けた。また、ポンペオ国務長官は記者会見で「わたしたちは『正確な情報が必要だ』と一貫して言っている」などと発言して、中国が初期の頃、コロナの感染拡大の情報を隠蔽したことが、その後の欧米などでのパンデミックにつながったと批判している。

 ドイツのハイデルベルク大学で中国の対外援助について研究するマリナ・ルディアック氏はAFP通信に対して、中国に新型コロナウイルス感染症の流行初期にそれを隠蔽しようとしたという批判をかわす意図があったと説明。「対応を遅らせた国々や備えが中国ほど万全でなかった国々」の救世主として振る舞い、新型ウイルスの流行をめぐるストーリーを書き換えようとしているとの分析を明らかにした。

 また、「アメリカ外交政策評議会」のマイケル・ソボリク研究員は3月発行の政治外交雑誌『ナショナル・レビュー』に中国に批判的な論文を寄稿した。内容は、中国は新型コロナウイルスのパンデミックを招きながら、「放火犯と消防士の両方の役割を果たしている」と痛烈なもので、欧米諸国では「中国の策略にだまされてはならない」との「中国警戒論」が強まっている状況だ。

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