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COVID-19各国の死亡者の推移を比較する

COVID-19の感染拡大はもっぱら感染者数で報道されますが、国によって検査方法や検査方針や検査実施数が大きく異なります。他方、死亡者数は、人命への影響を示す最も重要なデータであり、しかも感染者数よりもデータの信頼性が高いと考えられます。したがって、COVID-19の感染拡大の影響は、死亡者数で検証していくのが最も正しい方法だと思われます。

中国は、COVID-19の発生地と考えられる武漢市を1月23日午前10時に完全封鎖し、以降順次中国全体が今のヨーロッパ諸国のロックダウンのような状態になっていきました。ほぼ全土で外出が止められたので中国の工業生産の多くが停止し、宇宙から見えていた中国上空のスモッグが完全に消えてしまいました。中国のCOVID-19による死亡者が、累計で25人を超えたのは武漢封鎖の翌日の1月24日、すなわち春節休暇の初日となる旧暦大晦日でした(WHO統計では中国の累計死亡者数は23日17人・24日26人)。

COVID-19はきわめて短い日数で世界中に感染拡大しました。累計死亡者数が25人を超えた日を感染が本格化した「基準日」とみなすと、各国の現在の状況がどのような局面にあるかを比較することができます。

4月3日現在、中国は「基準日」から70日(10週間)が経過して累計死亡者数は3,326人となっています。ただ、10週経ってもまだ一桁台の死亡者は出続けています。

イタリアは、中国の37日後の3月1日に累計死亡者数が25人を超える29人となり、そこから33日が経過した5週目の現在の累計死亡者数は13,917人で中国をはるかに超えています。

韓国は、中国の42日後の3月3日に25人を超える28人となり、そこから28日(ちょうど4週)が経過した現在の累計死亡者数は163人です。韓国は大邱で大規模感染が発生しましたが、ロックダウンを行うことなく感染爆発を防いで、現在はほぼ一桁台の死亡者で推移しています。

スペインとアメリカとフランスは、中国の46日後の3月7日に同時に25人を超え、そこから24日が経過した4週目の現在、スペイン10,003人・アメリカ6,053人・フランス4,503人の累計死亡者数となっています。

イギリスと日本は、中国の52日後の3月18日に同時に25人を超え、そこから18日が経過した3週目の現在、イギリス2,921人に対し日本は63人にとどまっています。日本の死亡者は「基準日」以降もずっと一桁台で推移しています。

ドイツは、中国の56日後イタリアの17日後の3月20日に25人を超える43人となり、14日(2週間ちょうど)経過した現在1,017人となっています。

グラフで明らかなように、西欧諸国は、25人を超えた後「3日で倍増ライン」を上回る死亡者の激増を経験しています。COVID-19の潜伏期間は2-14日とされており、感染から発症し重症化して死亡するまでに1〜4週間、平均的には2週間程度が経過していると考えられます。原則外出禁止などの感染拡大防止策を初めてから、それが死亡者数増加に現れてくるのには2週間以上かかると推定することができます。

フランスとイタリアは、4週目に入ったころからようやく「3日で倍増ライン」を下回っています。スペイン・イギリス・ドイツはなお「3日で倍増ライン」を超える死亡者増加が続いています。アメリカはほぼ「3日で倍増ライン」に沿って死亡者が増加を続けています。

グラフに参考として入れてあるように、3日で倍増し続けると、25人は35日(5週)で81,452人に、42日で410,679人に、爆発的に増加します。

他方、中国はほぼ2週で「3日で倍増ライン」を下回る増加に抑え込み、韓国は10日で「7日で倍増ライン」を下回る増加に抑え込みできています。そして日本は、「基準日」以降18日間ほぼ「14日で倍増するライン」で推移しています。明らかに東アジアの国々と西欧の国々では死亡者の増加率にきわめて大きな差があります。西欧諸国はその理由探しに懸命になっていますが、確かな証拠はまだみつかっていません。

このグラフは、激増する死亡者の増加の変化を比較するために対数目盛にしてあります。しかし、人口規模の配慮はせず実数のままです。COVID-19による死亡者数は、国の人口規模との相関関係はあまりないようにみえます。それでも5週(35日)を超えるところまで「3日で倍増ライン」を下回らない可能性があるのはアメリカだけではないかという「予感」がします。実際、アメリカ政府は死亡者の数は20万人を超えるという予測を出しています。中国は全人口の4%しか占めない湖北省に封じ込めることに概ね成功しましたが、アメリカはほぼ全土に感染が拡大しつつあります。

最後に、日本の今後の推移をどう予想するかということです。明らかにここに挙げてある他の国々とは全く違う推移をしています。だからといってこのままいけるのではないかという確信は持てません。結果の数字を見ているだけでは、いわゆる「Re-Open(活動再開)」しても感染爆発を起こさない確信を持つことができません。そこが不安なままだと、経済活動は活発になりません。

「Re-Open(活動再開)」するには、ウイルスの居場所を監視し続けられるシステムが必要です。

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