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コロナで入院患者に面会禁止 認知症を悪化させる懸念も

見舞いは患者と家族の心の支え(写真/AFLO)

 現在多くの医療機関では、新型コロナウイルスの院内感染予防のために入院患者の受け入れや面会を禁止する措置が取られている。

 体を動かすことができない高齢者や終末期の入院患者は、電話やメールを使えず、家族との連絡も取れないため、“音信不通”状態になっているケースもある。そうなれば家族の心配は尽きない。

 3月上旬に認知症の母親(87)が骨折で入院した山口県在住のA氏(65)はこう話す。

「迷惑をかけていないか、下着はちゃんと着替えられているのか、気がかりはたくさんあるのに、直接会うことはできない。着替えや差し入れは病院受付で看護師さんに渡す。母の様子はナース室に電話して聞くことしかできません。看護師さんから聞いたのですが、私の顔を見られないので不安だったからか、母は夜通しずっとナースコールを押していたそうです……」

 家族の顔が見られないストレスは、認知症の患者の症状を悪化させる可能性もある。都内の総合病院の看護師はこう話す。

「面会禁止になってから、他人を家族と思い込んだり、“女房はどこだ”と騒ぎ出したりする患者さんもいました。長期にわたって家族と会えない状況は、患者さんにとって大変な精神的負担になっていると思います」

「認知症の人と家族の会」代表理事の鈴木森夫氏が指摘する。

「見舞いに行けない間、家族は『顔を忘れられるのではないか』、『症状が進行するのではないか』と不安に感じます。たとえ医師や看護師がついていてくれるとはいっても、患者のちょっとした変化にいち早く気づくことができるのは家族です」

 鈴木氏によれば、富山の総合病院では、認知症患者の女性が、夫と面会できない間に感染症に罹患し、重篤な状態に陥る事例もあったという。

「新型コロナによる面会制限は、いつまで続くのか先が見えない状況です。一律に面会をストップするのではなく、個別の患者の状況に配慮した面会措置を講じたりテレビ電話による面会システムを導入するなど国をあげて対策を考えるべき問題です」(鈴木氏)

※週刊ポスト2020年4月10日号

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