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消費税増税の間違い 4

「お金を刷れば増税は必要ない」という高橋さんの主張は面白い。面白いだけではなく、このような方法こそが現在の問題を解決の方向に導くものであり、政府が考える増税による解決は最悪のものだと言うことが分かる。最悪というのは必ず失敗すると言うことだ。

日銀がお金を刷ると言うことを提唱しているのだが、それは具体的には国債の日銀引受というものになるようだ。これは国債の発行分を誰かの資産で買ってもらうのではなく、日銀がお金を印刷することでその金を増やすというものだ。それは資産でも何でもないので、紙切れを刷ることになるので金の供給過剰でインフレが心配になる人もいるだろう。

高橋さんは、そのようなインフレの心配は増やすお金の量から言えばそれほどの心配はいらないと説明している。むしろこのことの目的は、お金が回ることによって経済の成長を促し、デフレを脱却することだという。その論理はとても明快で、仮説実験授業でよく使う原子論的論理に似ている。

原子論では、原子は無から作り出すことも出来ず、消滅させることも出来ないので、見かけは変わるかもしれないが存在し続け、形態がいろいろと変わって存在の流れを作る。日銀が印刷したお金も、まず政府が使うはずで、それは消滅することがない。回り回って動くことになる。それが経済に刺激を与える。高橋さんは次のように語っている。

「「増えたお金はどこに行くんですか?」と質問されるんだけど、それは分かるわけがない。天から降らしているわけだから、努力した人と運がいい人のところに行くとしか言いようがない。先ほどのたとえで言えば、目黒駅周辺にたまたまいた人と、そこに行った人にお金が入ってくる。」

先ほどのたとえというのは次のものだ。

「FRB(米連邦準備理事会)の議長であるベン・バーナンキがよく「ヘリコプターマネー」という話をしていたのですが、たとえば目黒駅近辺でお金がばらまかれると言われれば、みんな目黒駅に行きますよね。ばらまかれたお金が誰に行くかは分からないけれど、人が動くことで経済が動くわけです。それでみんなが右往左往してインフレになる、と言う考えが経済学ではあるんです。」

この話を見ると、抽象理論である学問が現実に役立つケースというのを感じる。お金をばらまくと、それが誰に行くかという具体性は抽象理論では分からない。だが、それが動く(回る)と言うことは分かる。この抽象論はある意味では絶対的真理であり、それが分かるからこそ、誰に行ってもいいから金をばらまくという発想が出てくる。誰かに行くことが現実的には重要だと考えるからだ。

これは、消費税を増税すれば、それが社会福祉の方に回って財政が立て直せるという主張に比べると、かなり現実的な期待が出来る主張ではないだろうか。消費税増税の方の真理性は全く信用できないのに、高橋さんの主張には合理性を感じ、信用できると思う。

この簡単な処方箋を財務省はいやがるという。その効果が理解できないのではなさそうだ。むしろ、効果があるので困るというのが財務省の見解だと高橋さんは語る。財政が本当に再建されると財務省は困るというのだ。財務省にとって望ましいのは、財政が再建されることではなく税率が上がることなのだ。増税をしたい財務省の本音を高橋さんは次のように語る。

「利権が増えるからですよ。一番簡単な例で言うと、たとえば法人税の税率を上げると、個別の業界が軽減措置を要求してきます。それに応じて、個別の業界に軽減措置を適用してあげるというのが、官僚の一番おいしいところになるわけです。たとえば今新聞業界は、新聞購読料の消費税率を軽減税率にするよう、要求しています。日本新聞協会が、11年7月に政府に要望書を提出したのです。もし、その要求を受けてあげれば、役人にとってメリットがあるわけです。」

この高橋さんの説明に神保さんが「新聞社が財務省の悪口を書かなくなると」と質問している。そして「そうするに決まってるでしょ?」と高橋さんが答えている。マスコミをコントロールするために軽減措置を利用するのだ。そうすれば新聞は財務省の悪口を書かなくなる。消費税増税が財務省の省益だと言うことの理由はそういうものなのだ。この答えに続けて高橋さんは次の点も指摘する。

「もちろん財務省には、増税をして増えたお金の差配をしたいという気持ちもありますけれど、個別の例外措置に応じることはもっと具体的なメリットがありますからね。天下り先を確保するとか。」

天下り先の確保という一番の省益が生まれる。このような財務省の省益については、高橋さんに指摘してもらわないと知らなかった人が多いのではないかと思う。増税を言い出した菅前総理と現野田総理が財務省の傀儡と呼ばれるのは、このような省益を守る方向でしか消費税増税が機能しないからだ。

今消費税増税をすることは時期的な間違いももちろんあるが、このような財務省のエゴをそのままにしておくことの弊害を放置する意味でも間違いなのだ。

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