- 2020年04月03日 17:04
「テレビ局のトップは放送休止の英断を」 番組制作の現場スタッフから漏れる本音
新型コロナウイルス感染者が相次ぎ、NHKや民放各局は放送延期や収録見送りなどの対応に追われている。
テレビ制作の現場からは「幹部クラスは在宅でも問題ないかもしれないが、現場はそういうわけにはいかない」、「番組制作を“やらない”という英断が必要」といった声が上がっている。
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タレントが番組収録をボイコット 報道担当者のストレスにも心配の声

「テレビ局が混乱しています」
そう話すのはNHKや民放局でバラエティ番組などを担当する制作会社の30代女性プロデューサーだ。
小池百合子都知事が「感染爆発の重大局面」として、週末の外出自粛を呼びかけた3月25日以降、各テレビ局内に漂う危機感が増したという。テレビ東京などは入館の際、サーモグラフィーなどによる体温チェックを導入。各局は在宅勤務の導入や会議を原則中止にするなど、対応に追われている。
「今までロケ中のマスクは必須でしたが、スタジオの場合は出演者の距離を2メートル以上空けるなど、収録方法が再検討されました。スタッフの人数は最低限。出演者の中からは大勢の人が集まる収録をボイコットする人が出るなど、大きな影響が出ています」
女性スタッフは「報道・情報番組の担当者はメンタルが心配」と話す。「ニュース担当者は毎日、新しい情報を更新しないといけませんが、自身も感染に注意しないといけない。新型コロナに関する報道は2ヶ月以上続いていて、スタッフのストレスもたまっているはず」と危惧する。
「トップが放送休止などの判断をしないと休めない…」
TBSは2日、ドラマやバラエティ番組のロケ・スタジオ収録を4〜19日の間、見合わせることを発表。テレビ東京も同日、生放送以外の番組収録を3日から原則として中止すると発表した。NHKは大河ドラマ「麒麟がくる」、連続テレビ小説「エール」の収録を当面見合わせるとしている。
前出の女性スタッフは「自分たちのような下請けの制作会社の社員も在宅勤務できる部分はしていますが、出社しないと番組を制作できないのは事実。感染拡大を防ぐためには“やらない”という英断も必要だし、いま決断すべき」と力を込める。「トップが放送休止などの判断をしないと、現場の人間は休めません。本当は私も在宅勤務をしたいのですが…」
「会議などはアプリで代替できる」と冷静な声も

一方、「影響はまだ感じない」という声も上がっている。30代の男性ディレクターは「予定していたロケや収録、オンエアのキャンセルが立て続き、見通しの立たない状況に不安な空気は漂っている」としながらも、「会議などはネットを使って代替できる」と冷静だ。
民放局でバラエティ番組などを制作する別の30代男性ディレクターは、「とりあえずロケは控えようという雰囲気になっているし、いつも局内でやっている作業を制作会社内でこじんまりとやるようにはなっている。しかし、個人的に大打撃を受けているという感覚はない」と話した。
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