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尖閣での武力行使を得策ではないと考える中国

尖閣で「決戦」避ける=中国指導部が一致−香港誌 (時事通信)

【香港時事】香港誌・亜洲週刊の最新号は、中国指導部がこのほど、尖閣諸島の領有権問題について、どうしてもやむを得ない事態に至らない限り武力による「決戦」は絶対に避けるべきだとの認識で一致したと報じた。

指導部は河北省の避暑地・北戴河で尖閣問題を協議。中国経済の発展を妨げないようにするという原則を確認した上で、日本側との「闘争」は続けるが、焦り過ぎず、経済的手段により日本をけん制するとの方針を決めた。この方針は既に中国外務省内部で伝達されたという。

また、同誌によると、これに関連して、中国外務省報道局長や駐仏大使などを歴任した同省外交政策諮問委員の呉建民氏は「世界には多くの矛盾があるが、軍事的解決は強権政治であり、21世紀の今は受け入れられないだろう」と語った。


この時事通信の記事の中で引用されている『亜洲週刊』はリベラルなのですが反日傾向の強い雑誌です。原文は以下のURLです。

中日鬥而不破避免亮劍 (亜洲週刊)


内容は時事の記事の通りで、経済発展という中国政府が掲げる原則からの逸脱を戒め、尖閣諸島問題では武力衝突は極力回避することを唱えています。あまりに性急な事態の打開は得策ではなく、経済的手段を用いて日本をコントロールすべき、という点を強調していますね。

さらに『亜洲週刊』では数人の専門家の見解を紹介していますが、どれも武力行使の愚を説き、経済的アプローチを推奨するものです。時事の記事中でも紹介されている呉建民 氏が「世界上有很多矛盾、很多利益衝突、解決起來無非是軍事解決或政治解決。軍事解決就是強權政治。人類進入了二十一世紀、再搞強權政治、大概是不可接受的(世界には多くの矛盾があるが、軍事的解決は強権政治であり、21世紀の今は受け入れられないだろう)」と述べたのに始まり、海軍出身の軍事専門家・宋暁軍 氏、ジャーナリストの宋強 氏も尖閣諸島において「危機」レベルや「戦時」レベルへのエスカレーションが中国にとって望ましいものではないと示唆しています。

『亜洲週刊』は軍事的にはしばしば「あれれ?」というような記事が掲載されるので、今回の記事もある程度は割り引いて受け取る必要があるかもしれません。ただ、中国共産党寄りの雑誌がこうした論調の記事を出した、ということはおさえておきたいですね。もっとも、『亜洲週刊』のような雑誌風情では中国の姿勢を推し測ることなんぞできるかー! という事も言えますが、中国のメディアの論調は表面的には強硬的でも、細部を見ると尖閣諸島問題において中国が決して有利な立場にはないという事実認識を持っているところは少なくありません。

例えば、8月11日付の『環球時報』の社説を読んでみます。

社评:谨防日本从俄韩受气往钓鱼岛撒 (環球時報)


それによると、「中国应在领土问题上支持俄韩立场、共同对付日本(中国は領土問題でロシアと韓国の立場を支持し、共同で日本に対処すべきだ)」と述べ、ロシア、韓国と連携して対日領土問題に取り組むべきだとしています。

一方で、「就反对俄韩领导人登南千岛群岛和独岛(ロシアと韓国の指導者が北方領土や竹島へ上陸するのは反対する)」という点は中国の苦しい立場を表していますね。尖閣諸島が北方領土や竹島と異なり、日本の実効支配にあるという現状を『環球時報』は冷静に認めているのです。加えて、「中国还应争取美国对钓鱼岛问题的中立(アメリカを中立にさせておくことが必要)」だと主張しています。これは、当ブログでさんざん指摘した「日本の実効支配」、「日米同盟」という日本の有利な状況を支える二つの柱を『環球時報』も重要視していることの証左ではないでしょうか。こうした現状を踏まえ、「中国很快拿回对钓鱼岛的实际控制不现实(中国が魚釣島の実効支配をすぐさま取り返すことは非現実的だ)」とまで述べています。


『環球時報』は中国共産党の機関誌である『人民日報』の傘下にあり、中国政府の見解を反映する新聞です。かつて「日本は中国海軍の南西諸島通過に慣れるべきだ」(参照)という記事を発したことでもうかがえる通り、対日問題では実に強硬です。『亜洲週刊』だけならまだしも、『環球時報』も尖閣諸島で中国から武力をけしかけるという手段の拙さを報じているのは興味深いですね。


【参考記事】


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