記事

「迅速な現金給付」を妨げているものは何か?

新型コロナの影響で世界中が疲弊しています。日本国内でも飲食、観光産業を中心に大打撃を受けています。国民の生活も先行きが不透明になり、これからさらに厳しい状況を迎えることになるのは明白です。

そんな中で、一刻も早い現金給付を求める声が日に日に大きくなっています。国民一人当たり「一律10万円以上」の支給を求めている方も多数いらっしぃます。世界中で現金支給がスタートする中で、なぜまだ日本政府は実施しないの?安倍総理は一体何をやっているのだ?と不思議でならない方も多いことでしょう。

その理由は何か?一言でいうと、「国会の悪しき慣行」です。

コロナの被害がいよいよ本格化してくるとの認識は、2月末頃から、霞が関・永田町界隈では共有されていました。(総理の一斉休校要請は2月27日)その時期既に、「迅速に現金給付など経済対策を行うべき」、「そのための裏付けとなる補正予算審議をスタートすべき」との話が、一部与党議員の中では進んでいました。しかしながら、これを阻んだのが「国会の悪しき慣行」です。

国会では、例年2月頭から3月末にかけて、来年度(4月から始まる)予算審議を行うことが、慣例となっています。そのため、国会の慣例に従うと、補正予算審議を早くスタートさせるためには、来年度予算をまずは成立させなければなりません。

しかし、この来年度予算審議は、野党議員にとっては、NHKでテレビ中継される予算委員会で直接総理に何でも質問できる「晴れの舞台」であり、この質問時間を1分でも削ることを、野党側は決して認めないため、予算審議のスケジュールを短縮化することは極めて困難です。(いずれにしても、質問時間中に、予算のことはほとんど質問しませんが・・・)

ここで皆さんにご理解頂きたいのは、日本の国会における「与党」と「野党」の関係は、「予算や法律の中身」については、圧倒的に与党に主導権がある一方で、「日程」については基本的に野党に主導権があるということです。基本的に野党が同意してくれないと、国会の日程は決まりません。これを専門用語で「国対政治」と言ったりします。

結果、野党側の主張に基づき、今年の2月3月も、(コロナ問題が甚大化する中にも関わらず)例年通りのスケジュールで、来年度予算を審議。結局、これまた例年通り、3月27日(3月末)に、令和2年度予算が成立しました。

その後、やっと政府与党において、本格的にコロナ対策(補正予算)の議論がスタート。来週には、経済対策(補正予算)を閣議決定して、国会に補正予算案を提出。補正予算が成立するのは、4月末と言われています。この補正予算が成立しないことには、予算的裏付けがないため、現金給付も含めた経済対策の大部分は、少なくともそれまではスタートできません。

でも、これって変じゃないですか?緊急事態なのに、「国会の都合(野党の都合?)」で、いつも通りのスケジュールで、次の年の予算を審議して、我々の生活にとって重要な経済対策の時期が遅れるなんて・・・。

そして、ここで、改めて言いたいのは野党は何をやっているんだ、といことです。今頃になってこんなニュースが飛び込んできました。

国民1人10万円以上の現金給付 野党が緊急対策を提案
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200402-00000078-asahi-pol

こんなことを、今更メディアの前でアピールする余裕があるならば、本予算の審議時間の効率化に応じ、もっと前に補正予算審議をスタートすべきだったのではないでしょうか。政治的な事柄については、私も極力発言を控えてきましたが、さすがにこれには堪忍袋の緒が切れました。

何故、未曾有の国難のこの時期に、政局優先で、このようなパフォーマンスをして足を引っ張ろうとするんでしょうか?私には理解できません。

今こそ与野党が一丸となってこの難局を乗り越えるべきなのではないでしょうか。「元国会議員の端くれ」として、一刻も早く日本国民が安心できる経済対策が実行されることを切に願います。

あわせて読みたい

「新型コロナウイルス」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。