- 2020年04月03日 09:30
麻生太郎財務大臣が現金給付をこれほど嫌う理由「現金給付は失敗だった。同じ失敗したくない」の謎
麻生太郎財務大臣「現金給付は国民にウケなかった」
エイプリルフールの4月1日は、日本にとってウソのような政府発表が続いた日だった。しかし、どれも現実なので驚かないでほしい。
まず安倍首相は1世帯に2枚の布マスクを配布することを決定し、その方針を発表した。1世帯にマスク2枚である。
配ればいいとは思うが、またなぜこのタイミングで配布するのか、またなぜ効果が薄いと指摘される布マスクなのか。謎である。
これについての賛否両論は他でもされているので、ここでは触れない。
実はその影に隠れて、あまり報道されていないことがある。
むしろ、こちらの方が重要ではないか、と思う。麻生太郎財務大臣が現金給付を嫌う理由が判明したのである。
出典:麻生氏「同じ失敗したくない」 現金給付、一律では実施せず 時事通信 4月1日麻生太郎財務相は1日の参院決算委員会で、リーマン・ショック後の2009年に実施した一律の現金給付に触れ、「二度と同じ失敗はしたくない」と述べた。
麻生氏は当時、首相だった。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が策定する緊急経済対策には一律の現金給付を盛り込まない考えを示したものだ。
共産党の大門実紀史氏への答弁。
リーマン後の「定額給付金」では、全国民に1万2000円(若年者と高齢者は2万円)を配布した。
これについて、麻生氏は「何に使ったか誰も覚えていない。(国民に)受けなかった」と振り返った。
その上で、緊急経済対策の現金給付は「必要なところにまとめて(給付する)という方が、より効果がある」と語り、収入が減少した個人や世帯などに絞る考えを強調した。
お分かりいただけただろうか。
麻生財務大臣は「何に使ったか誰も覚えていない。(国民に)受けなかった」という。
過去に失敗した政策はやらない、という謎
記事にもある通り、リーマンショック後の「定額給付金」では、全国民に1万2000円(若年者と高齢者は2万円)を配布している。
確かに記憶にないくらいの少ない現金給付であった。当然、その効果は限定的だったということは間違いない。
だから、麻生財務大臣は「現金給付策は失敗」と総括しているのである。なかなか謎の論理展開なので理解に苦しむ。
政府からいくらかでも現金給付を受けたら盛大に喜び、これは大成功だ、素晴らしい政策だ、と語り継がなかった国民にも責任があるのだろうか。彼が首相時代におこなった政策を賛美しておけば、現金給付は導入されたのだろうか。
いずれにしても「リーマンショック級」だと、何かと比較される当時でも、わずか1~2万円程度しか配布していないのである。
忘れて当然かもしれない。
今回はリーマンショックを超える規模の経済危機になることも確定的であり、すでに生活福祉資金の特例貸付などの窓口には相談が相次いでいる。
手持ちの現金が少なく、生活困窮する人々が出始めている。まずは当時の規模を超える現金給付をして対応してはどうだろうか。
すでに世界各国は現金給付を決め、各戸に工夫しながら配布したり、配布方法を検討している。
国によっては日本が驚くべき金額を配布してもいる。
スペインでは休業補償として、原則賃金の100%を支払う。
アジアでも韓国が約8万5千円、香港は約14万円である。
これくらいの金額を配布すれば、人々はリーマンショック時のように、簡単に忘れないのではないか。
共同通信社が3月26~28日に実施した全国緊急電話世論調査によると、望ましい緊急経済対策は「消費税率を引き下げる」が43・4%であり、現金給付が32・6%であった。継続的に現金給付を望む声は大きい。
過去の現金給付は失敗だったかもしれないが、それは誰も注目しないほど金額が小さすぎたこと、にも起因する。
それをもって全ての人に現金給付をしない理由、根拠としては希薄ではないか。
先日も前澤友作 前(株)ZOZO社長が「国民全員に一律で現金給付をして、富裕層からはあとで徴税すればいい」と合理的な意見を出している。
麻生財務大臣には過去に固執せず、ぜひ大胆な政策転換、施政方針の転換を図っていただきたい。
※Yahoo!ニュースからの転載