新型コロナウイルスの感染拡大で、アマゾンの役割が大きくなっています。ネット通販事業はもちろんそうですが、テレワークの広がりでクラウドサービス事業も。
一方、物流倉庫などで働く従業員らが労働条件の改善を求めてストや抗議の意味を込めた一時的な退場(walkout)を実施したそうです。
FTは、Amazon auditions to be ‘the new Red Cross’ in Covid-19 crisis(アマゾンはコロナ危機のもとで21世紀の赤十字か)の中で、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でアマゾンは最高の物流会社として評価されるか、従業員の健康を守れなかった会社として記憶されるかの瀬戸際にあると伝えています。
米テキサスの物流倉庫ではソーシャルディスティンスを確保して作業するため従業員どうしの間隔を広げ、さらに昼の休憩を5分延長し、通勤中に当局から外出の理由を聞かれた時に示す「人々の安全のためにアマゾンで重要な仕事をしている」などと書かれた手紙を従業員に配布したということです。
アマゾンは全米の倉庫をスムーズに運営するには27万人が必要で、新たに10万人の採用を発表したほか、ベゾスCEOは3月にネット通販の取り扱いを医薬品や生活物資に限ることを決め、あたかも21世紀の赤十字の役割を担っているようだとしています。
一方、これまでにアマゾンの従業員が13の州で20人以上が感染。会社は感染が確認された従業員には14日間、有給で休暇が取れるとしていますが、体調不良では休むインセンティブにならずベゾスCEO自身が従業員あての手紙でマスクの確保を急いでいるものの確保できていないと認めているいということです。
市場関係者は、これまで利用していなかった高齢者層も食品や日用品をアマゾンで買うようになって需要が急増していることから、労働環境を改善すればかつてない成功が待っていると分析しています。
WSJは、アマゾンでは今、クリスマス前の繁忙期並みの忙しさですが、違うのは十分な準備ができずネット通販事業にストレスがかかっている一方で、在宅者の急増でテレワークや配信サービスのためにアマゾンのクラウド事業AWSはうれしい悲鳴をあげていると伝えています。
ベゾスCEOは、コロナ危機対応のみに専念していて、対立してきたトランプ大統領も緊急物資のタイムリーな配達を称賛したそうです。
Washington Postは、コロナ危機で多くの市民がアマゾンや代理で買い物をしてくれる事業を提供するInstacartなどへの依存を強めていることから、これを交渉力にしてくフリーランスの人たちが有給の休みやマスクや消毒液を求めてストを起こしていると報じています。
フリーランスを取り巻く厳しい環境について、大統領を目指すサンダース上院議員とバイデン前副大統領はツイートで環境の改善を求めたということです。