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焦点:トランプ氏再選に正念場、「経済優先」か「感染阻止」か


[ワシントン 28日 ロイター] - トランプ米大統領は昨年、ペンシルベニア州ピッツバーグの東方65キロに位置するポッタータウンシップを訪問し、石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルが巨額を投じる大規模ビル建設現場で、再選に向けた自信をとうとうと語った。トランプ氏は、建設プロジェクトは国内最大級だとほめめちぎって見せた。同氏にとって、プロジェクトは好調な米経済の、完璧といえる実例だった。

しかし、新型コロナウイルスはシェルをビル建設休止に追い込んだ。建設現場に今、人影はほとんどない。工事に携わっていた何千人もの労働者は今や失業中で、過去2週間に失業保険の給付申請をした全米約360万人の一端に加わっている。

労働者を感染させないよう守り続けようとすることと、できるだけ早く経済活動を再開させることの間にある葛藤は、トランプ氏が取り組まねばならない紙一重の判断の難しさを物語る。くだんのトランプ氏は公衆衛生の専門家の助言に耳を貸さず、米経済の活動を早期再開させる考えをぶち上げた。

大統領選まで7カ月というタイミングで、トランプ氏は米国を深刻な景気後退の淵から救おうとする一方で、流行拡大を続けるコロナ危機の抑止に決然と動いて見せるというかじ取りを迫られている。

共和党陣営からは、経済への制約を緩めてほしいとの圧力が日増しに強くなっている。共和党側は民主党陣営に比べ、新型コロナへの警戒感がほぼ一環して薄い。  ロイター/イプソスが3月18─24日に実施した世論調査によると、新型コロナを「自分や家族に重大な脅威」と思う民主党員は76%だったのに対し、共和党員では63%だった。

シェルの建設現場で働いていた多くの労働者は毎月の家計が自転車操業で、今も働きに出たくてしかたがない。しかし、トランプ氏が4月12日の復活祭までの経済活動を示唆していたことに、懸念を示す労働者もいる。

配管を包む作業を担当していた組合加入労働者のジョナサン・セイラーズさん(34)は「もし、連絡が来て月曜日に仕事に戻れと言われても行かない。自分や他の作業員の安全が確保されたと思えるまでは戻らない」と話した。

<狂ったシナリオ>

新型コロナ以前は、株式市場の上昇と好調な雇用を考えるなら、自分の再選が必要だとの訴えが、トランプ氏のメッセージの中核にあった。トランプ氏は、たとえ有権者が自分のことを好きでなくても、自分なら彼らの家計を助けられるというふうに豪語していた。

しかし、今やこうした主張はかき消された。

トランプ氏の選挙陣営は、トランプ氏が国民の健康と安全を守ることと、景気を回復させることの両方に集中的に取り組んでいると話す。

陣営の広報責任者ティム・マートー氏は「米国は長期間、経済活動を完全に止めるようにはできておらず、そうなれば長期間におよぶ多くの問題が起きるというという大統領の主張は正しい」と援護する。

一方、共和党の世論調査員、クリス・ウィルソン氏は、新型コロナ危機は実際のところトランプ氏にとって1つのチャンスだが、正しく対処する必要があると指摘。「おおむね無傷で切り抜けられれば、トランプ氏は有権者から大きな信頼を得ると思う」と述べた。

ロイター/イプソスの調査によると、トランプ氏の支持率は新型コロナ危機以降、すでに4%上昇して44%。しかし、上昇率は国家の危機に直面する大統領としてはそこそこだ。ギャラップの調査によると、ジョージ・W・ブッシュ大統領は2001年の米中枢同時テロの直後数日で、支持率が39ポイント急伸し90%をつけた。

トランプ氏は新型コロナの脅威を軽視していたが、だんだん真剣に取り合うようになり、テレビに出演しては外出しないよう国民に警告するようになったことも、同氏の支持率を押し上げた。

選挙戦略の専門家らは、トランプ氏がもし、こうしたメッセージを翻すと、有権者の支持を失う恐れがあるとみる。とりわけ新型コロナによる死者数が増え続けた場合、そうなる懸念があるという。

16年の大統領選に出馬したルビオ上院議員の元側近、アレックス・コナント氏は「危機の初期の段階では普通、現職大統領に追い風が吹く。トランプ氏がここから恩恵を受けているのは明らかだ」と指摘。「数日たち、数週間、数カ月とたつにつれて、国民が新型コロナとの戦いに米国は負けつつあると考えれば、大統領の支持率は下がる恐れがある」とした。

前出のシェルによると、建設現場の再開日程は未定。

一方で、この現場に数百人もの作業員を送り込んでいたスチームパイプ取り付け工組合の責任者ケン・ブロードベント氏は、彼らは今、生活費用の支払いに苦労していると指摘。「これがいつまで続くか分からない。長引けば長引くほど、打撃は大きくなる」と訴えた。

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