[ブリュッセル 1日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は1日、新型コロナウイルス感染拡大を受け、域内の企業に対し、従業員を解雇する代わりに労働時間を短縮するよう促す支援制度を提案した。
ドイツの制度をモデルにしており、労働時間の短縮で減った給与の一部を公的機関が補填する。EUは財源確保のため、加盟国の保証を受けて1000億ユーロを借り入れる可能性がある。
同案に対しては、新型コロナ対応の経済対策にユーロ共同債の発行を求めているイタリア、スペイン、フランスなどが賛同する可能性がある。
欧州委のフォンデアライエン委員長は短時間労働制度は「イタリア、スペインなど大きな打撃を受けている国々を支援する狙いがある」と説明。「企業は現在、利益が出ていなくても従業員に給与を支払い続けている。EUがこれらの企業を支援する」と述べ、「新型ウイルス感染拡大のような一時的な外的ショックで仕事がなくなったとしても、解雇すべきではない」と強調した。
同制度の原資については詳細は明らかにしなかった。2日に公表される見通し。
ただ、EUの高官は、支援の規模は1000億ユーロに達する可能性があると述べ、「加盟国の保証の下でEUが資金を借り入れる。全加盟国が同制度を活用でき、労働者への圧力を緩和できるようする必要がある」と語った。
ドイツでは、景気悪化を背景に所定の労働時間が削減された労働者の給与の一部を政府が補填し、解雇を防いでいる。そうすることで雇用と国民の購買力が維持され、その後の景気回復が容易で迅速になると見込まれる。
*内容を追加しました。