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全土封鎖中のフランス ホテル従業員や教師ら市民の声を現場からリポート

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新型コロナウイルス感染拡大を巡り、東京都の小池百合子知事は「ロックダウン(都市封鎖)」という強い措置を回避するために、週末の外出自粛など感染拡大防止への協力を住民に呼び掛けている。

筆者が暮らすフランスでは、3月16日にマクロン大統領がテレビ演説で「我々はウイルスとの戦争状態にある」と宣言。翌日17日から外出禁止措置を開始した。4月15日までフランス全土封鎖措置が続く予定だ。

ロックダウン最中のフランスから、現地の様子をお伝えする――。

Getty Images

外出禁止に違反すると最大で44万円の罰金

3月31日、フランスでの新型コロナウイルス感染者数は5万2128人、病院で死亡した患者数は3523人に達した。

フランスの新型コロナウイルス感染者を示すグラフ=仏政府ホームページより抜粋

フランスでは、医療崩壊を防ぎ国民の命を守るため外出禁止令が出されてから、2週間以上が経つ。

現在、外出が許可されているのは例えば以下の条件だ。

・在宅勤務が不可能な職種の通勤
・通院
・生活必需品の購入
・自宅から1㎞範囲内での運動や、ペットの散歩(1日1回、1時間まで)

地域によってはさらに厳しく、南部の町サナリー=シュル=メールでは自宅から10m以上の外出を禁止、同じく南部のニースなどでは夜間外出禁止令が出されているという。

また、国民には外出時に出発時刻を明記した外出証明書の所持が義務付けられ、これに違反する場合は135ユーロ(約1万6000円)の罰金が科される。さらに、30日間以内に4回違反を繰り返した場合、最大3700ユーロ(約44万円)の罰金と6カ月以内の禁錮刑となる。

外出禁止令が出されてから約22万5000人以上が違反をしているようだが、全体的には「#Restez chez vous(家にいてください)」を合言葉に、市民が連帯し「社会的距離」をとって生活を送っている。

下記、筆者が暮らすパリ郊外や、パリの街の様子をご紹介したい。

交通

パリの主要空港2つのうちのひとつ、オルリー空港は4月1日より一時閉鎖。日本便が飛ぶシャルル=ド=ゴール空港は運行(4月下旬まで、日本への直通便は運休)。パリの地下鉄も約50駅が閉鎖している。鉄道は医療従事者など通勤の必要がある人のために運行しているが、駅では警察が不要不急の外出をする人を監視している。

外出禁止が発表された3月16日のパリの様子=Leopoldo Puzielli 撮影

買物

現在、生活必需品を販売する商店(パン屋、八百屋、肉屋など)や、スーパーなどは営業しているが、店舗の大きさにより入店の人数制限を設けている場合が多い。また、入店やレジを待つ列では、約1m間隔をあけて並ぶ必要がある。

支払いの際は、店員との接触を減らすため、カード払いのみ対応の店が多い。筆者も買い物に行く際は、端末にカードをかざし非接触で決済ができる「タッチ決済」の使用を店員に求められる。

入場制限が設けられ、1m間隔をあけて列をなす住人=筆者撮影

余暇

ラテン系のフランス人にとって、社交は必要不可欠だ。一部の地域ではFacebookを通して繋がった近所の人々が、窓越しにアペロ(夕食前に、お酒を飲み軽食を食べる習慣)の開催や、バルコニーでの音楽パーティーの参加を呼びかけている。

また、玩具販売店では、子供のいる家庭などから、ボードゲームの配達の注文が殺到しているという。

ホテル従業員、教師…市民の反応は

突然の外出禁止は、市民に経済面でどのような影響を与えたのだろうか。主に、下記の措置が打ち出された。

・政府は失業者の増加を抑えるため、企業に解雇をしないように呼びかけ。新型コロナウイルスの影響で仕事を続けられない従業員は、部分的失業として一時的休業の状態になり、給料(税込み)の84%が補償される。その後、外出禁止期間が終わったら、職場に戻る。

・学校が閉鎖のため、子供の面倒を見ないといけない親を病欠扱いにし、社会保障金庫から給与補償が出る。

・個人事業主、売り上げが70%以上低下した小規模の商店などには、3月分として最大1500ユーロ(約17万8000円)が一律補償される。

・外出禁止期間に働く、医療従事者や大型スーパーの店員などにはボーナスが支給される。

パリのホテルで働くジェレミーさんは、現在「部分的失業者」として、家族と家でゆっくり過ごしているという。

「普段は深夜まで仕事をしているので、子供たちや妻とこんなに一緒に時間を過ごすのは初めてです。外出期間中の給与の大半が受け取れ、また職場復帰ができるので、精神的に不安はありません。一歩立ち止まって、将来のキャリアや自分の人生について考えたり、読書をする時間もできました」

また、パリ郊外のアパートにシングルマザーとして、2歳と4歳の息子たちと暮らしているフランス語教師のエレーヌ・マスポリさんは、新型コロナウイルスの流行以降も、仕事を続けながら子育てをしているという。

パリ郊外に暮らす語学教師のエレーヌ・マスポリさん=本人提供

「私は幸いなことに、ベビーシッターさんが子供たちの面倒を見てくれるので、オンラインに切り替えて生徒にフランス語を教えています。でも、仕事と子育てをすべて1人で両立するシングルマザーの場合、リモートワークをしながら外出禁止期間を過ごすことは、負担が重すぎて不可能だと思います」

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