新型コロナウイルスによる肺炎のため、29日に70歳で死去した志村けんさん。「アイーン」「だっふんだ」などのギャグ、「バカ殿さま」「ひとみ婆さん」といったネタは今後も伝説として残るだろう。
代表的なギャグの一つ「だいじょうぶだぁ」は、冠番組のタイトルとしても使われたことでも知られる。志村さんの感染が判明した直後、福島県観光物産交流協会がTwitterで回復を祈りつつ、このギャグが福島の方言がゆかりとされることを紹介し話題となった。

「福島訛りを広めてくれた」と県観光物産交流協会
志村さんは3月17日に極度の倦怠感を感じて自宅で療養し、発熱や呼吸困難などの症状が出たため20日に入院。23日に新型コロナへの感染が判明した。
25日に志村さんの感染が相次いで報じられると、県観光物産交流協会は「福島訛りを全国に面白おかしく広めてくれた志村さん。」と記した次のようなツイートをした。
志村けんさんの「だいじょぶだぁ」は、志村さんが福島県喜多方市に遊びに来た時に、地元の人に言われた「あがっせ、あがっせ、だいじょぶだぁ」が起源だそうです。福島訛りを全国に面白おかしく広めてくれた志村さん。
— 福島県観光物産交流協会 (@fukushimatweet) March 25, 2020
なおっぺ、なおっぺ、だいじょぶだぁ#だいじょぶだぁ #志村けん頑張れ pic.twitter.com/VWgwHCbtlo
「だいじょうぶだぁ」は福島県民との温かなやり取りがヒント?
「あがっせ」は福島の訛りで「どうぞ召し上がれ」という意味で、「だいじょうぶ」を「だいじょうぶだぁ」と発音するなど語尾を伸ばすことも多い。一連のやり取りからは、志村さんが福島の人に何かを勧められた心温かな様子が伝わる。
このツイートでは「なおっぺ、なおっぺ、だいじょぶだぁ」と、回復への期待を示し、これまでに2万回近いリツイートがされるなど、共感の輪が広がった。
遠縁が福島県喜多方市に住んでいたこともあり、志村さんはたびたび県内を訪れていたという。複数の県民によると、志村さんがテレビ番組のロケで郡山市を訪れた際に土産物屋で餅を食べ、店員から「 (代金は)だいじょうぶだぁ」と言われたことがきっかけという説もあるという。

「原発事故の福島を明るくしてくれた志村さん」
全国からあがった志村さんの病状回復を願う声も虚しく、30日午前に志村さんの死去が伝えられた。これを受け、県観光物産交流協会は志村さんの死を悼んでさらにツイートした。
志村けんさんの突然の訃報に接し、心から哀悼の意を表します。元気な姿をまた拝見できることを願っていただけに誠に残念でなりません。御冥福をお祈りいたします。
志村さんご本人に言ってほしかったですが、少しでも早く、みんながはっきりと「もうだいじょぶだぁ」と言える状況になればと思います。
県観光物産交流協会の担当者は取材に対し、「志村さんを失った喪失感は大きすぎるが、そのギャグや福島とのつながりは永遠に残る」と話し、「東日本大震災や原発事故で今も先が見えない人は少なくない。そんな福島を志村さんとのつながりが明るくしてくれました」と感謝を述べた。