緊迫度合いが一段と増してきた首都圏。
そして、週の始まりは、数日前に「感染」が公表されたばかりの超有名コメディアンの悲報から始まった。
他国に比べれば、この日本では一連の新型コロナ禍で亡くなられた方々の数は本日時点で「50名強」と、決して多いとは言えない数に留まっている。
だが、1人でも2人でも、尊い命であることに変わりはないし、ましてや、つい数日前まで最前線で活躍されていた方の命が一瞬で奪われていく、ということの恐ろしさは、まだ感染拡大が”序の口”に過ぎない今のタイミングだからこそより心に突き刺さるのも確かなわけで、もはや笑いごとでも他人事でもない目の前にある脅威から自分たちの身をどう守るのか、ということに思考を集中すべき段階に入っている、ということを改めて思い知らされることになった。
今は、世代を超えて親しまれた故人のネタをささやかな酒の肴にしつつ、在りし日を偲んで悼む、などという試みすらままならない状況ではあるが、いつかこの嵐が去った時、最後まで世の中を動かすインパクトを与えて去っていった「志村けん」という人物を、国民総出で見送れるときが来てくれることを、自分は願ってやまない*1。
「フェイクニュース」への怒りを込めて。
そんな話の流れの中で、より悪質で、愉快でないことに触れなければならないのは大変残念なのだが、先週末くらいから、「今週中にも東京ロックダウン」みたいなノリの「フェイクニュース」が、いろんなところから流れ込んでくるようになった。
よくよく聞いてみると、「どこどこの政治家に近い××××(メディア名)の関係者から聞いた」とか、「霞が関の○○省で働いている人の友人の友達から聞いた」等々、大体突っ込みどころ満載の話なので、自分自身は歯牙にもかけていなかった*2のだが、まさに年度末、四半期末佳境でピリピリしている人が多い状況だけに、それを鵜呑みにしてバタバタとWeb会議をおっぱじめたり、(よりによって動くな、と言われている週末に)人を集めたりした会社もあったようである。
さすがにそういった「噂」が出ていること自体を捨て置けないと思ったのか、安倍総理も、菅官房長官も、いつになく迅速な対応でピシャリと憶測を封じて見せたのだが、そもそもこういう根拠のない話がなぜ出てくるのか、そして、なぜそれを真に受けて伝播させてしまう人がいるのか・・・。
そもそも、この日本において、強制力を持って移動を封じ込める、という意味での「ロックダウン」*3を行うのは、法的には不可能だし、物理的にも極めて困難である。
そして、このブログでもたびたび書いてきた通り、過剰なインパクトを与える割にはそれに比した効果は期待できないのが、この種の「一律の行動制限」なのであって、どれだけ「自粛」を求めても、なお「満員電車」が走り続けるような無秩序状態に陥らない限り極力切られるべきカードではない、と自分は思っているし*4、良識ある人ならこの程度のことは誰にでも理解できることである。
にもかかわらず、なぜ、それをあたかも「既成事実」であるかのように吹聴し、拡散する輩がいるのか。
都知事自ら「夜の繁華街」への出入り抑制を訴えるのは大いに結構なことだと思うのだけれど、それに加えて、「誤った噂をまことしやかに伝播したものは、2週間メールもSNSも禁止!」というルールも作ってほしいと思う、今日この頃である。