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フジテレビで韓流が多いのは既得権を死守した末路

高岡蒼甫がフジテレビで韓流が多いことを批判して、最大手の芸能事務所、スターダストを辞めることになってことをきっかけに、「フジテレビ=韓流押し」批判がすごい勢いになっている。2ちゃんねるでのスレッドの立った数では、酒井法子の事件や尖閣諸島を超え、福島原発を超えて歴代1位になってしまった。

では、なぜフジテレビで韓流が多いのか。あるいは、多いように見えるのか。その理由を3種類のデータから紐解いていきます。

まず、フジテレビがテレビ業界でどのような存在なのか。
日本テレビTBSフジテレビテレビ朝日
売上高2580億5800万円2111億5000万円3282億6400万円2106億7000万円
営業利益271億3700万円29億7800万円222億4100万円66億6600万円

2011年度の単体での各テレビ局の決算です。決算をみると、フジテレビがテレビ業界内でも圧倒的なトップだということが、よくわかります。2位の日本テレビの売上高で1.3倍、4位のテレビ朝日の実に1.5倍。文字通りテレビ局の王者、それがフジテレビなのです。

フジテレビが圧倒的に強い理由はいくつかあります。ひとつは、いわゆる「月9」と言われるドラマなど、広告費が最も取れる若い女性向けの番組で高視聴率が取れること。もうひとつは、商売の巧さです。「踊る大捜査線」など、地上波ドラマの延長線に映画をつくってしまう抜け目のなさ。「お台場冒険王」と称する自社イベントを1日中、情報番組やバラエティをつかってタダで宣伝してしまうしたたかさ。いまのテレビの商売の基本を確立したのが、フジテレビなのです。節電を呼びかけながら、自分たちはちゃっかりと「27時間テレビ」なんてやってしまう、テレビの節操のなさも併せて、なのですが。

圧倒的な売上高とテレビ業界をリードする商売のやり方で、フジテレビはテレビ業界内でも畏敬の眼差しで見られてます。いわば、最も商売の原理で動くテレビ局なのです。

テレビの王者・フジテレビといえども、昨今のテレビ広告の落ち込みとは無縁ではありません。番組制作費を抑えながら、視聴率をほどほどに取る。経費削減のために、韓流ドラマは非常に魅力的な選択肢です。とにかく圧倒的に安い。韓流ドラマで放映権料は1本あたり、せいぜい数十万円ではないか。

韓流がコストパフォーマンスが良いというのは、ネットの動画配信を見ると、よりはっきりわかります。たとえば、GyaOのドラマを見てみると、韓流だらけ。かなり小さい市場規模のネット配信の世界ではコンテンツに費用はかけられない。安いものを揃えるしかない。2ちゃんねるでよく言われがちな「孫社長が在日だから韓流押し」という理由ではない。単純に安いのです。

では、なぜ安くてそれなりに見られるコンテンツというと韓流ドラマになってしまったのか。そもそも日本国内には、他に何かないのか−。

その理由を知るために、2つ目のデータを見てみます。フジテレビが属する地上波テレビが、日本の映像コンテンツ業界でどのような位置にあるのかです。

地上波テレビ番組映画ソフトビデオソフト
2兆9457億円6832億円3128億円

総務省の出している平成22年度版情報通信白書からの数字です。映画ソフトやビデオソフトの多くがハリウッドなどの海外作品やテレビ番組のパッケージ化であることを考えると、純粋に国産の映像作品市場では圧倒的だということがわかります。日本の映像作品市場はおカネという「水」が、テレビ局という「頂点」から映画会社やアニメや番組の製作会社という「川下」に流れていく、滝のような構造なのです。

日本の映像コンテンツの世界は、地上波番組以外にない。市場規模だけをみると、そう言ってしまえるほどの存在感です。それゆえ、地上波テレビ局が国内でなにか安価な映像作品を求めたいと思っても、テレビ以外の他者が存在しないという状態なのです。だから、経済原理を突き詰めると国外に求めざるを得ず、韓流となってしまう。

地上波テレビ番組以外になってしまったのは、意外でもなんでもありません。実は必然ともいえる流れの末路なのです。それは、テレビ局が電波という既得権を必死で守り、国内の他の映像産業が育つ余地を潰してきたから。

なぜデジタル放送になって電波が再編されても、地上波テレビ放送への新規参入を受け付けないのか。映画会社、ゲーム会社やネット企業が参入してもよかったはず。

日本国内では官民一体となって、テレビ局の既得権を守ってきた。だが海外では違う。たとえばアメリカでは「フィンシンルール」と呼ばれる法律が存在した。アメリカの代表的テレビ局、いわゆる3大ネットワークはゴールデンタイムの一定割合を外部の制作会社に解放しなくてはいけないというもの。法律でも地上波放送局の支配を制限しようとしてきたのだ。解放枠は主にハリウッドの映画スタジオが担ってきた。アメリカの映画産業が世界でどのような位置を占めているかは、もはや説明の必要もないほど。この法律は歴史的使命を終えたとして、97年に廃止されました。

そして韓国は映像コンテンツ産業を輸出産業に育てるべく、政府が人材育成などに税金を投入し全面的に支援。日本や中国、東南アジアでの韓流コンテンツの隆盛に至ったのです。

そして、最後のデータ。
日本テレビTBSフジテレビテレビ朝日
平均年収1262万円1357万円1452万円1213万円

アニメや番組製作会社との待遇の格差は、3倍以上だろう。有価証券報告書にある「平均年収」なので、実際はもっと多いはず。しかもテレビ局は労働組合も強いので、解雇になる心配もない。これまで地上波テレビでは倒産もリストラも一度もないのだ。わたしの知っている電通のある幹部は「テレビ局の社員は現代の貴族」とまでいうほどだ。

3つのデータはテレビ局が既得権を守るために、他の産業が育つ可能性を摘んできたことを浮き彫りにする。その憤りは、自分でもっと内幕交えて、本一冊書けてしまうんじゃないかと思うほど。韓流がテレビに溢れているのは、テレビ局の既得権と日本の映像コンテンツ産業そのものが「抱き合い心中」になってしまった姿そのものだ。

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