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新型コロナ危機の長期化で経営危機に怯えるあの企業この企業

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新型コロナ拡大で経営危機に陥る飲食店の悲痛な声

新型コロナ問題が世界中を震撼させています。各国で都市のロックダウンが相次ぎ、我が国ではオリンピックがまさかの延期に。現時点では決定的な治療薬もなく終息の糸口が見えない世界的な疫病危機にあると言えます。

今後の感染の広がりの動向も気になるところではありますが、個人的な仕事柄でもっとも気になるのは経済への影響です。既に多くの中小企業は、新型コロナ危機とも言えそうな深刻な経営危機にあります。

Getty Images

業種で言えば特に打撃が大きいのは、中小零細企業が多い旅行代理、輸送、小売、イベント関連業者、さらには外食産業全般等。外食産業の中でも、滞留時間が長時間となることで濃厚接触になりやすく、持ち帰り需要を発掘しにくい居酒屋等夜の営業を中心とした店は、既に危機的な状況にあります。

私が懇意にしている都心部で30席ほどの居酒屋を運営する経営者は、「日に日に客足が減っている状況。現在宴会はほぼゼロ。来店客は通常の3分の1以下です。これが4月一杯まで続いたら完全にお手上げです」と青息吐息の状態なのです。

中小零細企業の手元資金は1か月程度が平均的とされ、ちょっとした資金繰りの悪化で簡単にジ・エンドを向かえてしまいます。ましてや日々食い扶持を稼いで食いつないでいるような、規模の小さい個人経営の飲食店などはひとたまりもありません。

そうなってくると、このような予期せぬ有事到来時の頼みの綱は、金融機関からの緊急融資です。政府は、災害発生時同様の日本政策金融公庫の無利子・無担保特別貸付と信用保証協会保証枠の別枠新設を用意した、と緊急経済支援に動き出しました。

しかし、先の居酒屋経営者に言わせると、「政府系金融機関は商工会議所に加盟していないと手続きや提出書類が煩雑。一方の緊急融資保証枠は役所に認定書を申請し、それを受けて取引銀行経由で保証協会の保証の審査を経て融資に至る二度手間、三度手間なもの。どちらも急を要する零細事業者には敷居が高く、手続きでガタガタしているうちに手遅れになってしまう」と悩ましい様子です。

緊急時に毎度毎度問題視されるお役所仕事のかったるさがネックのようですが、この機会に取引銀行の簡易なAI要件審査で融資実行し、保証協会事後承諾制にする等、フィンテックの時代にふさわしい政府主導の迅速かつ的確な緊急対応措置を用意してもらいたいものです。

創業来最大のピンチを迎える「いきなり!ステーキ」

BLOGOS編集部

一方、大手企業はどうなのかといえば、企業規模に関係なく売上ダウンに直結するこの手の有事が資金繰りを圧迫する事情は同じこと。大半の大手企業は、中小企業・零細企業よりは内部留保に余裕があり半年~1年ぐらいはなんとかなるでしょうが、既に問題を抱えて内部留保を吐き出し気味な企業は、騒ぎが長引けば息の根を止められかねない状況にあると言えます。

本稿でこれまでに取り上げてきた先をはじめ、事態の長期化如何ではいよいよ決定的な危機に陥りかねない企業名が具体的に何社か思い浮かんでまいります。

例えば外食系でその筆頭は、ペッパーフードサービス。美味しいステーキを立ち食いで安価にというコンセプトの「いきなり!ステーキ」で、2013年の開店以来一時期、一世を風靡しました。しかし、490店にまで達した大量出店によるカニバリズムと、相次ぐ同業他社進出による競争激化、さらには値上げによる客離れもあって、新型コロナが騒ぎになる前の2019年12月決算で2年連続となる24億円の赤字に。昨年11月段階で44店舗の閉店を公表したものの、それでは追いつかないと2月に74店舗への閉店増化を公表したばかりです。

ここに追い打ちをかけた新型コロナ危機。その場で焼いて食べるからこその人気だったステーキ屋に持ち帰り需要はなく、売上がマイナスの一途であろうことは想像に難くないところです。売上下降線に加え、大量閉店コストのコスト増化局面での有事発生。これまでも食中毒事件や社員の不祥事で経営危機に陥っては、一瀬邦夫社長のバイタリティとアイデアで復活を遂げてきた同社ですが、今回ばかりはあまりのタイミングの悪さと終息が見えない敵との戦いであり、創業来最大のピンチにあると言えるでしょう。

外食産業では他にも、同じく持ち帰り需要の発掘が難しい中華ソバの幸楽苑ホールディングス。業績不振に加え昨秋台風19号の工場被災により約240店舗が休業。今回のコロナがさらなる追い打ちとなり、苦しい対応を迫られています。

ライザップは赤字子会社群に加え本業スポーツジムへの甚大な影響でジリ貧か

共同通信社

外食以外で気になるのは、個人指導トレーニングジム等経営のRIZAP(以下ライザップ)です。ライザップは、2年ほど前に42歳の若い瀬戸健社長の積極的M&Aによる事業多角化戦略が大失敗。カルビーから招いた企業経営のプロである松本晃CEO(2018年当時)をして、「壊れたおもちゃ箱」と言わしめられた90社弱のお荷物グループ企業群の売却整理・立て直しが急務となります。

しかし、これらのお荷物企業整理の先行きが見えぬ間にお目付け役の松本氏には逃げられ、その煽りで思うようにはかどらない立て直し作業の中、これを阻むかのように立ちふさがった今回の新型コロナ危機の影響は甚大です。

同社で唯一好調と言われた本業も、スポーツジムにおけるマンツーマンによる濃厚接触を嫌って新規会員獲得がままならず業績はジリ貧状態に。本業の約5倍規模のグループ企業群は大半が赤字企業であり、コロナ騒動が長引けばグループ全体が致命的な地盤沈下に陥りうる状況にあるのです。

「来年度も赤字なら、私はここにいないでしょう」と、昨年5月の決算会見で大見えを切った瀬戸社長でしたが、このピンチにいかなる舵取りをみせられるのか。若社長の前途多難を感じさせるに十分すぎる状況であると思います。

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