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韓国「性詐取事件」を生んだ魔のチャットルーム「博士の部屋」 - 山本美織

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潜入ルポを行った『国民日報』(『国民日報』HPより)

 女性を脅して撮影させた残虐な性的動画などを数十万人がSNSで共有していた「性搾取事件」が韓国で発覚し、社会を揺るがす大問題となっている。

 秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」内に作られた複数のチャットルームで、未成年を含む女性を「奴隷」と呼んでリアルタイムで性暴行する動画などを共有。女性をモノのように扱うだけではなく、名前や住所、電話番号などの個人情報まで晒していた。

 それだけでも悪質だが、利用者は26万人(重複も含む)にも上ると見られ、韓国民の怒りが爆発している。

 この事件は、各チャットルームの名前から「n番の部屋事件」「博士の部屋事件」と呼ばれており、韓国警察はこれまでに関係者計124人を検挙。韓国民は主犯への厳罰や利用者の身元公開などを要望し、法律の改正や大統領が厳罰の意思を表明する事態にまで発展している。

もっとも悪質な「博士の部屋」

 チャットルームの中でもっとも悪質性が高い「博士の部屋」を運営していたチョ・ジュビン容疑者(24)が、3月19日に児童・青少年保護に関する法律違反、強制わいせつなど7つの罪で拘束された。

 チョ容疑者が運営するチャットルームの参加者は1万人以上いると見られ、 数十億ウォンに上る資金の流れが確認されたという。被害者は未成年16人を含む74人にも上る。

「博士の部屋」とはいったい何なのか。

 チョ容疑者は「博士」と名乗り、入室を希望する会員からビットコインなどの暗号通貨で「入場料」を受け取っていた。入場料は画像・内容のレベルに応じて20万ウォン(約1万8000円)から150万ウォン(約13万5000円)。レベルごとに部屋が分かれていた。

 被害者の女性は、SNSで集めていた。

 2019年11月にこの事件を最初に報道した韓国紙『ハンギョレ』によると、未成年の女性などに300万ウォン(約27万円)~600万ウォン(約54万円)で、「オンラインデートのアルバイトをしないか」などと高額のアルバイトを持ち掛け、契約書などの名目で個人情報を入手していた。

 最初は顔を映さない画像などを送らせるが、徐々に要求をエスカレートさせ、「裸の状態でパンツを頭にかぶせ逆立ちをさせる」「膣内に虫やはさみを挿入させる」など、猟奇的な画像を強要。拒否した場合は「周囲にバラす」などと脅迫し、殺害予告までしていた。

「博士」は「この子たちはお金を稼ぐために奴隷になった」などと嘯き、「自分の奴隷」ということを誇示するため、女性らの体にナイフで「博士」「奴隷」などと刻ませていたという。

 何より悪質なのは、被害者を脅迫し、こうした動画を彼女たち自ら撮るように仕向けたことだ。さらに、他の女性を勧誘することを強要し、中には知人を引き込んでしまった被害者もいる。

 見ている側の会員は「従業員」と呼ばれ、彼らにも“負の連帯”が課せられていた。「博士」は、ある公務員の会員から被害者の個人情報を入手するなどしていたという。こうして、直接面識のない人々を巧みに“共犯者”に仕立てていった。

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