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ロックダウンという外来語の弊害について

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「ロックダウン」というカタカナ言葉が人を惑わせている。この様子を見ると、一昔前まで「日本の社会科学者は横文字を縦にしているだけ」と揶揄する人が多かったことを思い出す。欧米人が使っている言葉を、カタカナ日本語にして、それを解説するだけでメシを食っている学者がいる、という話である。

 今回の「ロックダウン」もそれと似ている。一昔前に、大学でカタカナ日本語が羅列されているだけの内容の授業を受けた人たちがジャーナリストになり、今、マスメディアに入り込んで、このような事態を引き起こしているのだとしたら、社会科学者にも責任がある。

 「ロックダウンとは何か」、「ロックダウンの定義は何か」、「ロックダウンはいつ発生するのか」、「ロックダウンになると我が町の橋は封鎖されるのか」といった、要領を得ない議論が噴出している。

 「マルクスにおけるアウフヘーベンと何だかわかるか?・・・え、お前、ダメだ、そんな理解じゃ!だいたい、そんな簡単にマルクスが分かったような顔で喋るな!」

 といった一昔前の「学術的」与太話と大差がない

 最近、新型コロナのせいで、理科系の学者が書いた文章をいくつか読んでみたが、理論疫学の分野の学術論文などでは、lockdownという概念を使うようだ。

感染症数理モデルを作る時に仮説的に「city lockdown」の概念を使ったりする。たとえば、有名になったイギリスのインペリアル・カレッジのレポートでは、「social distancing of the entire population, case isolation, household quarantine and school and university closure」という「4つの介入措置」を上回る次元の措置として日常的な就業も止める「a complete lockdown」という概念が使われている。

https://www.imperial.ac.uk/media/imperial-college/medicine/sph/ide/gida-fellowships/Imperial-College-COVID19-NPI-modelling-16-03-2020.pdf#search=%27imperial+college+report%27

だがこれは一般論としての抽象的な用語法の域を出ていない。


 アメリカで新型コロナウィルスの感染が爆発的に拡大し始めた2週間ほど前、サンフランシスコ市長が「shelter in place」という概念で、外出禁止措置を説明した。このときはアメリカのマスコミが、「ニューヨークもshelter in place措置をとるか?」といった質いを投げかけ始めた。

これに対してクオモNY州知事は、「買い物にも散歩にもジョギングにも行けるのに、核戦争が起こったようなときに使うshelter in placeという概念を使うのは人を惑わすだけだ、道路が封鎖される等のデマ情報を流すのはやめろ」、と説明したうえで、「stay at home」(家にいてください)というメッセージでくくりながら、「就業者の50%の自宅待機を求める」「全員の自宅待機を求める」といった具体的な要請内容を毎日の説明で段階的に付け加えていくやり方をとった。

 こうしたやりとりをへて、世界のメディアは各国の異なる状況を一般的な総称でくくる便利な概念として、「lockdown」を学者にならって使い始めるようになっている。

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