
アメリカでは会話をする時や列に並ぶ時に、人と人との距離を6フィート(1.8メートル)以上取るよう推奨している。
例えばウォルマートやクローガーなどのスーパーマーケットでは入店待ちやレジ待ちの行列で前の人から6フィート間隔で並ぶようにラインを引いたりしている。
1.8メートル以上開けられないレジ係りとお客の間には、アクリル板の仕切りを設置して非接近戦略をとっているのだ。
非接触・非接近のソーシャル・ディスタンシングは宅配サービスにも応用されており、オンデマンド買物代行&宅配サービスのインスタカートは注文品を手渡しせず置き配での宅配オプションを全米で展開している。
レストランからのデリバリーサービスを手掛けるウーバーイーツやドアダッシュ、ポストメイツでも宅配員と接触・面会せずにすむドロップオフ・サービスを展開中だ。
ソーシャル・ディスタンシングのノーコンタクトやコンタクトレスは様々な場面に広がっておりITにも影響を及ぼしている。
ウォルマートは27日、ウォルマート独自のモバイル決済システム「ウォルマートペイ(Walmart Pay)」やカーブサイド・ピックアップ、宅配サービスで非接触・非接近で買い物ができるようにすることを発表した。
ウォルマートペイは同社のスマートフォン・アプリにクレジットカードなどの情報を事前に登録しておき、レジのQRコードを読み取ることで決済を行うアプリ機能。アップルiOSやグーグル・アンドロイドでの利用が可能となっている。
登録できるのは、主要なクレジットカードやデビットカードの他、プリペイドカードとなるギフトカードにも対応している。
ウォルマートペイの使い方は、レジでウォルマートのアプリを開き、ウォルマートペイを選択、カメラを起動してレジのスクリーンにあるQRコードを読み込ませPOSレジと同期させる。商品バーコードをスキャンしていき買い物を終了する。
ウォルマートペイでは支払いオプションやレジ袋の数などをタッチスクリーン上で操作することになるのだが、これらがコンタクトレスで行えるようになる。
ウォルマートのカーブサイド・ピックアップでは専用パーキングスペースで生鮮品などの注文品を受け取るとスタッフが差し出す端末にサインをする必要があった。
こちらも非接触・非接近でサインを不要にしたのだ。同様に宅配サービスでも面会しないですむ置き配のオプションも展開する。
新型コロナウイルスが収束した後も端末に触らないで買い物ができるような工夫がIT機器に広がっていく。
トップ画像:ウォルマートのカーブサイド・ピックアップでは注文品を受け取った後、確認のサインが必要だった。スタッフが差し出した端末のスクリーン上に指で署名するのだが、非接触・非接近のソーシャル・ディスタンシングでこれが不要となる。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ホールフーズ・マーケットの一部店舗ではサンドイッチなどのデリカ注文でタブレット端末が使われています。マクドナルドでは注文用に大型の端末が導入されています。後藤が以前から「こういった端末はいずれ撤去され、スマートフォン・アプリに置き換わる」と指摘しています。
なぜかというと、お客が接触して操作しなければならないからです。誰が触ったか分からないところを(スクリーンとはいえ)タッチすることに抵抗を示す方は少なからずいます。自分しか触ることができないスマートフォンに操作をさせたほうがコストの面でも都合がいいのです。衛生面・コスト面でタブレット等の備え付け端末の操作からアプリ操作に切り替えたほうがウィン・ウィンということです。
新型コロナウイルスのパンデミックで、このトレンドは加速されます。このトレンドに素早く反応したのがウォルマート。ウォルマートペイでは決済時に支払いオプションを非接触で行えるようにするのです。
日本でいえば券売機・販売機もいずれオワコン。利用者は外部のモノ(端末やボタン)に触れる必要なく、操作は自分のスマホ(もしくはアップルウォッチなどのウェアラブル)のみという世界になります。