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マスコミの予想が外れる3つの理由

オリンピックのメダル予測、ビジネス誌の未来予測、マネー誌のお薦め銘柄…。マスコミの予測は、とにかくよく外れる。なぜ、ここまで外れることが多いのか。自分がメディアにいたことがあるだけに、自分の経験をもとに、いくつかパターン化してみた。

取材相手が大事



記者は正々堂々、さっそうと取材をしている。どんな権力がある人や有名人にも、毅然と話を聞く−。などどということは、全くない。実際の取材現場はかなり泥臭い。取材対象に話をしてもらえなくては、記事が書けない。つまり、気に入られなくてはならない。

政治記者を例える言葉に「男・芸者」というのがある。文字通り、芸者のように、政治家という旦那さんに気にいられるように、手を尽くす。新聞社やテレビ局の主催イベントを融通するなど、当たり前なのだ。じつは、自分自身、全く親しくもない政治家から「娘が行きたがっているんだけど、コンサートのチケット売り切れてて、何とかしてよ」などと頼まれたことがある。くだらないし、重要人物でも何でもないので、断ったけど。頼めば何とかしてくれるのが当たり前と本気で思っているのだ。取材相手と取材者の関係が閉じている記者クラブでは、この傾向がものすごく強い。

ということで、記者は大切な、大切な取材相手の気を損ねることはできない。例えば、メダル予測であれば「この前のおたくの予想、俺、勝てないらしいねえ…」などと嫌みのひとつも言われかねない。本当は最も大切な情報を伝える読者や視聴者より、取材相手の方を見てしまうのだ。

面白さを演出



マスコミの情報というのは、すべて一応「売りもの」だ。新聞、雑誌だと売上部数があるし、テレビなら視聴率。売りものである以上、買ってもらわないといけない。

ということで、何が何でも、話を面白くしないといけない。

見出しは小さな出来事も、膨らませる。本当に小さいことなら、取り上げるまでもないと思われるからだ。平和なニッポンも、マスコミの見出しの世界だけは大忙し。「家電販売大戦争」とか「通信業界三国志」とか、いつも戦争だらけなのだ。見出しだけではなく、記事全体が「面白さ」を演出することを意識してつくられていることは、忘れてはいけない。

ふつうに頑張って成功した人が、家がたまたま貧乏だったとする。それだけで「貧困をバネに頑張った」ことになってしまう。ドラマは0から+100まで登るよりも、-100から+100に駆け上がる方が振れ幅が2倍になるだけに、面白く感じてしまうのだ。

「面白さ」の演出ということでは、ライブドア事件が最たるものだっただろう。もう、とにかく、何でもアリになってしまう。「闇社会とつながり、金の亡者で、超高級売春クラブに入り浸っている」ことにされていたホリエモンが、いまや普通にテレビや新聞・雑誌に出まくっているのだ。

そもそも実はド素人



記者が何かの分野の専門家だと思ったら、大間違い。じつはどこかから聞きかじりの知識を、それっぽく話してかっこつけている場合が多い。何しろ昨日まで自動車の企画をやっていたら、明日から政治の特集で、その翌月は健康法の紹介を担当などということは、当たり前なのだ。

ということで、どうしても、その筋の専門家に話を聞いて、そのまま鵜呑みにすることが多い。とはいえ、専門家も実はいろんな思惑がある。不動産や株の評論家であれば不動産会社や証券会社との関係とか、いろいろ。そういう「大人の関係」を理解しないまま、そのまま書いてしまう。

ビジネス誌の定番企画に「資産価値の下がらないマンション特集」というのがある。以前、このブログでも書いたけど、数年前に有名ビジネス誌で選ばれた「資産価値の下がらないマンションの第一位」(編集部ではなく「専門家が選ぶ」という形にはしてあったのだが…)。そのマンションが発売されてから、すぐに大量の売れ残りが出ることが確定するほどの販売不振。新築を3割引きで売り出してもさばけず、最後は結局、かなりの部分が賃貸に回されていた。この同じ雑誌は最近もiPhone特集で「内蔵のハードディスクが…」などと書いてしまっていたのだが…。専門性が高いと思われているビジネス誌ですら、そう。あとは推して知るべし、だ。

新聞や雑誌で自分が働いている専門分野だと、すぐに違和感を持つ人も多いと思う。それが、そうではない分野だと、なぜかマスコミが報じているんだから、正しいんだろうと信じてしまう人が多いのだ。


ということで、結論。

いろんなことが過渡期で、動きまくっている、現代。自分の頭で考え、判断することが大事だな、と。もちろん、このブログの内容も含めて。

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