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初のコミケ開催中止の波紋

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 新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、5月のゴールデンウィークに予定されていた、第98回コミックマーケット(C98)の中止が発表されました。既に様々な同人誌即売会が中止・延期となってきましたが、4日間で70万人以上が訪れる世界最大級の同人誌即売会となったコミケも遂に中止となりました。リリースの中では現状で延期する予定もないとしており、コミケの45年に及ぶ歴史の中で、開催日時・場所が決まっている状況で中止されるのは初めてのことになります。

元々イレギュラーな開催だったC98

 元々、コミケは年3回開催されていましたが、1984年以降に夏冬の年2回開催という現在のスタイルが定着しました。それ以降の例外は、バブル景気と展示会場不足で会場が確保出来なかった1988年の冬コミと、その代替として1989年の3月に開催された通称「春コミ」(C35)。そして、開催日と会場が決まっていたものの、会場の幕張メッセから開催を拒否されたため、晴海の国際見本市会場に急遽変更の上で開催された1991年の夏コミ(C40)があります。

 そして、今年5月に開催が予定されていたC98もイレギュラーな開催でした。東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、2020年夏は会場の東京ビッグサイトがメディアセンターとして利用されるため、本来は8月に開催されていたであろうC98は開催が危ぶまれていましたが、コミケ関係者の奔走により2020年ゴールデンウィークに行うことが2017年12月に発表されました。しかし、開催時期を変更して開催に漕ぎ着けたC98も結局は中止となったことは、コミケ準備会のリリースにもあるように苦渋の決断であったことは想像に難くありません。

今後の影響

 コミケ開催中止に伴い、どのような影響が予想されるでしょうか。まず、参加者への影響です。コミケは学生・社会人のサークル参加者もいれば、専業漫画家も多く参加しています。同人誌の販売が大きな収益源になっている作家も少なくないので、経済的な影響も懸念されます。このため、同人誌をイベント外で委託販売する同人誌委託書店への委託の役割が増すとみられ、実際に同人誌委託書店の中には新型コロナウイルス関連で中止されたイベント参加者向けの営業活動を活発化しているところもでています。

 しかし、それでも即売会での売上が大きいという作家も少なくありません。また、委託書店に委託するためには審査があり、これをパスしなければいけないというハードルもあります。なにより、経済的事情以上に、これまでも様々な同人誌即売会が中止になってきた中で、最大の発表の場を奪われる訳ですから、長期に渡って表現活動が阻まれる事態になっています。そして、これがいつまで続くのか、見通しが立っていません。

 また、多くの企業も影響を受けます。同人誌の印刷に特化した印刷所は中小規模の所が多く、最大の需要が見込めるコミケが開催されない場合、経営に大きな打撃となることは想像に難くありません。また、企業ブースの出展社も計画していたPR活動や物販も出来なくなっています。既にコミケ以外にもアニメやマンガ関連のイベントも数多く中止になっており、発表の機会を逃したコンテンツもあるでしょう。

 そして、コミケそのものにも影響があります。東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う工事のため、東京ビッグサイトで最大の会場面積を誇る東ホールが使えなくないことから、2019年の夏コミ(C96)では参加サークル数が減少し、企業ブースも減るため広告収入が減少しています。減収の反面、4日間開催と2会場制になることからコストが増大したため、カタログを購入しない一般参加者にも入場リストバンド購入をしてもらう事実上の入場有料化に踏み切ったばかりでした。

 こうした逆風の中での中止は、コミケに少なくない損害を与えると予想されます。コミケでは以前からイベント保険に加入していますが、感染症を理由にした中止・自粛はイベント保険の免責対象であることがイベント保険では一般的とされています。今回の中止も免責されるとみられ、コミケは中止に伴う損失を被ることになります。それも減収の状況下、収入源であるリストバンドの購入も無い状態での中止となると、苦しい状況にあると考えられます。

 公表されたリリースの中では、コミケ準備会は会場費の返金に関して会場側と交渉を重ねているようで、これらの結果を踏まえた上でサークル参加費の扱いを調整中としています。また、カタログについては既に印刷・製本工程に入っているとのことで、コミックマーケットの継続に対する支援・協力という意味でカタログ購入を求めています。裏を返せば、それだけ切実な問題と言えるのかもしれません。

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