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ベストセラーの系譜に見る本の弱体化 -iPad発売と、出版の今後-

順位/年1990年2001年2007年2008年2009年
1愛される理由チーズはどこへ消えた女性の品格ハリーポッターと死の秘宝1Q84(1・2)
2真夜中は別の顔(上・下)ハリーポッターと賢者の石ホームレス中学生夢をかなえるゾウ読めそうで読めない間違いやすい漢字
3「NO」と言える日本奇跡の法鈍感力B型自分の説明書ドラクエ 星空の守り人
4ドラクエ ガイドブック(上・下)金持ち父さん貧乏父さん日本人のしきたり0型自分の説明書新・人間革命(20)
5明日があるなら(上・下)新・人間革命(9・10)新・人間革命(17)A型自分の説明書日本人の知らない日本語
6「1988年日本崩壊」エドガー・ケイシーの大予告話を聞かない男、地図が読めない女田中宥久子の造顔マッサージホームレス中学生バンド1本でやせる!巻くだけダイエット
7文学部唯野教授十二番目の天使ハローバイバイ・関暁夫の都市伝説女性の品格 装いから生き方まで私服だらけの中居正広増刊号
8恋愛論プラトニック・セックスポケモン 公式全国大図鑑親の品格告白
9うたかた(上・下)仕事ができる人 できない人ポケモン 公式ぜんこく図鑑AB型自分の説明書脳にいいことだけをやりなさい!
1041歳寿命説バトル・ロワイアル恋空 (上・下)脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」体温を上げると健康になる!
11それでも「NO」と言える日本光に向かって100の花束国家の品格新・人間革命(18・19)オバマ演説集 対訳生声CD付き
12日はまた沈む新しい歴史教科書赤い糸 (上・下)流星の絆世界一の美女になるダイエット
13国際情報JUSTNOW声に出して読みたい日本語君空悩む力欲情の作法
14アメリカインディアンの教えTheBlueDayBook一瞬の風になれ (1・2・3)おつまみ横丁 すぐにおいしい酒の肴185勇気の法 熱血火の如くあれ
15川の流れのように模倣犯(上・下)もしもキミが。おひとりさまの老後ポケモン 公式完全クリアガイド
16孔子なぜか「仕事がうまくいく人」の習慣ポケモン パーフェクトクリアBook余命1ヶ月の花嫁しがみつかない行き方「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール
17TVピープルプロジェクトXリーダーたちの言葉いつまでもデブと思うなよ崖の上のポニョポケモン 公式完全クリアガイド
18六十歳からの生き方「みにくいあひるの子」だった私生物と無生物のあいだ1分骨盤ダイエットポケモン 公式完全ガイドブック
19さらば桑田真澄、さらばプロ野球竹中教授のみんなの経済学世界の日本人ジョーク集生命の法 真実の人生を生き切るにはポケモン ぼうけんマップ&ポケモンずかん
20自分をもっと深く掘れ!なぜ生きる「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55上地雄輔物語ポケモン 公式完全ガイドブック

TOHAN調べのベストセラートップ20を見てみることにした。どんな本が売れるのかという変遷を知ることができる。そして毎年の売れ筋に変化があるとすれば、それは本の世界が置かれている現実を最もはっきりと表していると思うからだ。

1990年と直近の4年間のランキングを見てみることにする。なぜ、1990年のランキングをあえて入れてみたのか。それは、本がテレビのように利用者から無料のコンテンツではなく、有料のコンテンツだからだ。90年と言えば、まだ日本経済は今ほど停滞していない。国の経済も、自分の給料も、自然に上がり続けるという右肩上がりの神話が生きていた時代だ。ところが90年代後半以降、もはや国も給料も上がることはないという希望なき時代には、おカネの使い方に極めてシビアになってしまう。つまり課金コンテンツをめぐる1990年と現在の大きな違いは、おカネを使うということの意味が大きく異なるということだ。

ランキングのなかで赤い字にした本を、勝手に「ご利益提供型コンテンツ」と名づけてみる。おカネを払う、その対価として「痩せる」、「儲かる」、「出世する」。おカネを払うことの「ご利益」が明確なものだ。実際に「ご利益」はないことがほとんどなのだが、買う際に「ご利益がありそう」と思わせることが大事。おカネを使わせることへの、最もわかりやすい動機付けになるもの、一言で言えば、自己啓発系と美容・健康系だ。1990年にはランキングのなかでひとつだった「ご利益型」が、直近の数年だと、常に4冊近くが占めている。

青い字で示したのは「他メディア補完型コンテンツ」。つまり、タレント本、ゲーム本、ケータイ小説のように、本以外の他のメディアで話題となったものの情報をさらに深く提供するというもの。本が他媒体の補完として機能している。きつい言い方をすれば、他メディアの小判鮫としての性格も持っている。青字にはしなかったが、広い意味では宗教本も含まれるだろう。

「ご利益提供型」と「他メディア補完型」の隆盛。露骨におカネを払うことの「ご利益」をうたうか、他メディアに寄り添わないと本が売れないというのであれば、それは本の世界そのものの弱体化をあらわしている。10年以上に渡って縮み続け、いまだに下げとまらない出版界。下がり続けているだけではなく、売り上げを構成している中身の劣化も、実はかなり進んでいる。

一方で、1Q84の村上春樹や東野圭吾のようなベストセラー作家も当然ランクインしている。だが、彼らは本当にトップに立つ、超一流。他メディアに寄りかからなくても、ご利益をうたわなくても、おカネを払ってもらえるのは半端な作家ではなく超一流だけという、厳しい現実だ。

ベストセラーを俯瞰することで見えてくるもの。それは、おカネを払ってもらうということのハードルがどんどん高くなっているという現実だ。そのハードルの高さを前に「ご利益」をうたうか、他の大きなメディアに寄り添うか。本の世界がもはや単独では生き残りづらくなっているという、売り上げという「量」だけではなく、「質」の劣化までを浮き彫りにしている。

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