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新型コロナで注目のオンライン診療 なぜ普及しないのか

イタリアでは医療機関が大混乱(写真/AFLO)

 新型コロナの拡大で病院の待合室での感染リスクの高まりや往診ができなくなるといった問題が顕在化している。そうした状況で光明となり得るのが、「オンライン(遠隔)診療」だ。

 患者は自宅にいながらパソコンやスマホのビデオ通話機能を利用して病院の医師の診察や診断を受ける。薬の処方箋も郵送などで受け取れる。医療費は事前に登録したクレジットカードで支払うのが一般的だ。

 日本では1997年に一部解禁され、2018年に厚労省がガイドラインを作成して遠隔診療が保険適用されたことで導入が進んできた。

 専用アプリや機材を開発して参入するIT企業は多く、NTTドコモは今年から徳島県と提携し、精密な4Kカメラで撮影した患者の患部を最新の5G通信(大量のデータを超高速で送受信できる)を使って専門医がリアルタイムで観察しながら診断する僻地向けの遠隔医療の実証実験をスタートさせている。

◆普及しないオンライン診療

 日本遠隔医療学会常務理事の長谷川高志氏がこう語る。

「新型コロナの院内感染が怖くて病院には行きたくないという人が増えている今だからこそ、オンライン診療の有用性は高いと考えています。ただし、日本では適用条件が限定されているため、普及がそれほど進んでこなかった実情があります」

 厚労省の調査によると、オンライン診療を実施している医療機関は病院で約24%、診療所は約16%。患者が希望しても、かかりつけ医が対応していなければかなわない。オンライン診療を実施する病院をネットなどで探してかかりつけ医を変える方法も、これまではハードルが高かった。

「ガイドラインでは、初診は病院で診察を受けなければならない。さらに診察開始から6か月通院した後に、症状が慢性期に入って安定したと医師が判断して初めて、保険適用でのオンライン診療が可能になった。薬も対面診療の時の処方と同じであれば遠隔で出せますが、薬の種類や分量が変更されるときは一度病院に行って診察を受けなければならなかったのです」

 こうした厳しい規制が、新型コロナ問題で少しずつ変わろうとしている。

◆電話診察とFAX処方箋

 厚労省は「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」(2月25日付)に次の文言を盛り込んだ。

〈風邪症状がない高齢者や基礎疾患を有する者等に対する継続的な医療・投薬等については、感染防止の観点から、電話による診療等により処方箋を発行するなど、極力、医療機関を受診しなくてもよい体制をあらかじめ構築する〉

 慢性疾患を持つ患者が「オンライン診療」「電話診療」でかかりつけ医師の診察を受けたあと、医師が患者の希望する薬局などに処方箋をFAX等で送信し、薬局は患者と相談の上、家族に薬を取りに来てもらったり、郵便などで送ったりする――こうした手続きによる診察や調薬に保険が適用される特例措置が設けられたのだ。

 一定の制約はあるものの、従来のオンライン診療の条件を満たしていなくても、主治医が「これまでと同じ慢性疾患の治療薬の処方が可能」と判断すれば即、実施できるようになった。

 この特例措置の決定をきっかけに、オンライン診療をやっていなかった地域の拠点医療機関など多くの病院が次々に臨時の「電話診療」に応じることを発表している。

 ただし、オンライン診療を受けられる病気の種類に制約がある。慢性疾患の中で「糖尿病」「喘息」「慢性胃炎」などは保険適用が可能だが、「痛風」「花粉症」「便秘」などは原則としてオンライン診療では保険対象外となり、医療費は全額自己負担しなければならない。保険適用の治療を求める場合、疾患によってはやはり「通院」が求められるのだ。

※週刊ポスト2020年4月3日号

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