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コロナ感染ピーク時には患者選別も ICUは重症若者優先か

イタリアでは医療機関が大混乱(写真/AFLO)

 厚生労働省が3月6日に都道府県の衛生担当部署に通知した「新型コロナウイルスの患者数が大幅に増えたときに備えた医療提供体制等の検討について」と題する文書が注目されている。

 文書は西浦博・北海道大学医学研究院教授の研究チームの報告書をもとに、感染のピークとその時の患者数などの計算式が記載され、各都道府県に「必要な医療体制の確保」を要請したものだ。

 それによると、感染ピークは感染経路が追跡できないほど拡大した時点から「概ね3か月後」に到来する。全都道府県のピークが重なったと仮定すると、1日あたりの受診者数は全国で約42万人、入院が必要な患者数は約22万人、重症患者は約7400人に達する計算になる。

“最悪のケース”とはいえ、現在とはケタ違いの数の感染者が発生すると想定されているのだ。まず、42万人の受診者が殺到すれば、全国の病院の外来はパンクする。

 そして集中治療室(ICU)への入院が必要な重症患者の治療も難しくなる。ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師(内科)はこう説明する。

「たとえ患者数が厚労省文書の推計より少なくても、医療需給が逼迫する可能性はある。とくに日本のICUの数は10万人あたり5床程度と欧米の水準より少なく、全国で6000~7000床程度。しかも、ICUの維持には高額なコストがかかるため、どの病院もほぼ満床の状態で余裕はない」

 厚労省の文書にある重症患者7400人どころか、数百人でも一度に受け入れるのは厳しい状況だ。そうなると、“患者の選別”という難しい問題も出てくる。

「たとえば90歳で寝たきりの患者が新型コロナによる肺炎を悪化させたケースでは回復が難しく、一般病床での看取りを選ぶことが増えていくと考えられる。それに対して、若く健康な人が重症化したケースでは回復の可能性が高く、人工呼吸器をつけてICUで手を尽くす方向になるでしょう。

 難しいのはその間の世代。ICUに余裕があれば積極的に治療できるが、空きがなければ十分な治療が難しくなってしまう」(同前)

 そうした検査難民、入院難民、重症難民をなくすには、新型コロナ対応を水際作戦から慢性期の治療重視へと切り替えるなどの政策判断が必要になる。

※週刊ポスト2020年4月3日号

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