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【読書感想】ニートの歩き方

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ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法

内容紹介

「ニート」でも「無職」でも「ひきこもり」でも、会社を辞めても仕事してなくても、

幸せに生きることはできる。


こんなに文明や技術が発達した世の中、インターネットさえあれば、

昔ながらの固定した生き方に縛られる必要なんてない。


日本一有名なニートが語る、お金がなくても無理なく楽しく暮らすための生き方と考え方。


会社や国やこれまでの常識が信じられなくなった今を生き抜くための「ニート」なヒントが満載です!


著者について

pha(ファ)

1978年生まれ。京都大学総合人間学部に入学するも、オンボロ学生寮に入ったことで足を踏み外す。

大学を6年かけて卒業し、社内ニート的なサラリーマンを3年くらい続けたあと、2007年にTwitterとプログラミングに出会ったのをきっかけに会社を辞め、それからは定職に就かずにふらふら過ごしている。

ブログ(http://d.hatena.ne.jp/pha/)は月間5万~10万のページビューを持つ。パソコンやネットが好きな人が集まって暮らすシェアハウス「ギークハウスプロジェクト」発起人。Twitter Bot 作成スクリプト「EasyBotter」作者。

できるだけ働かずに生きていきたいです。 http://pha22.net/



phaさんのブログをはじめて読んだとき、率直に言うと、「京都大学を出て、ニートになるなんて、もったいないよなあ」と思ったんですよね。

でも、この本を読んでみると、ニートを貫くというか、ニートとして理論武装するには、頭が良くないとダメなんだろうなあ、なんて感心もしたのです。

phaさんは「だるい」「やりたくないことをやらない」ために、いろんなことを考え抜いて、かたや僕は、考えるのがめんどくさいから、とりあえずみんなから後ろ指をさされないために働いている。


僕も他人と深く付き合うことが苦手で(って言うと、どうしてこんな仕事ができるんだ、と言われるんですが、「役割」が決まっている状況だと、けっこう適応できるものなんですよね)、毎朝仕事に行くのもかなり辛いです。

エネルギッシュに「これが天職です!」と頑張っている人たちと一緒に働いていると、僕って、何なのだろうなあ、なんて溜息ばかり。

とはいえ、こういうのって、「みんなそうなのかもしれないな」とも思いますし、結局のところ、「最低限」はなんとか15年間くらいこなせているのです。

 ただ、最初に言っておきたいのは、この本に載っているのは「働かなくてもアフィリエイトで月収50万円!」みたいな景気の良い話ではない。そんなうまい話はやっぱりあんまりない。基本的には「一般的な生き方のレールから外れても、ものすごいダメ人間でも、なんとかギリギリ死なない」というくらいのところを想定している。

 実際僕の生き方にしたって、時間だけは腐るほどあって毎日ゴロゴロと寝て暮らしているけれど、お金はあんまりないし、将来のことも全く考えていない。僕はそもそも興味がないのでかまわないけど、ニートだと結婚したり子供を育てたり家を買ったり車を買ったりすることは諦めないといけないだろう。高級な飲食店で飲み食いしたり高級な店で買い物したりするのも難しいし、ヨーロッパやアフリカに旅行したりもできないだろう。

 しかも、僕はたまたまうまくいっているほうだけど、他の人がみんな僕と同じように生きられるわけでもない。多分、大多数の人は僕の送っている生活よりも普通に働いていたほうが幸せで安心な生活だと感じるんじゃないだろうか。


ここでphaさんが書かれているような「ニートな生き方」を、僕が自分の人生の方向性を決める前に知っていたら、僕も仲間になりたかったなあ、と思います。

その一方で、本当にそうしていたら、いまでさえなかなか自分でコントロールできていない「何者にもなれない自分」への苛立ちとか焦りみたいなものは、もっと激しく僕を苦しめていたに違いありません。

なんのかんの言っても、「でも仕事しているし」「結婚して、子供もいるし」っていうのは、僕にとっての大きな自分自身へのエクスキューズでもあるので。

「働いたら負けだと思っている」なんていう極端な言葉ばかりが採り上げられがちな「ニート像」なのですが、phaさんは「向き不向きがあるというか、万人向けの生き方じゃないんだよ」と、けっこう客観的に、そのメリット、デメリットをみているのです。


ところで、これを読みながら、「phaさんは、ニートなのか?」と僕はずっと考えていたのです。

「定職」はないし、学校に通っているわけでもないけれど、それなりの収入はあるのだから。

「ニート」というより、「最低限のお金を自分で稼いで、つつましく暮らすことに幸せを感じている人」なのではないかなあ、と。

「清貧」なんていうと、なんだかちょっとお説教臭くなりますが、人間が幸せになるのには、そんなにたくさんのお金は必要ないのかもしれません。


 ちょこちょこと小銭稼ぎはしているけど基本的にはあまり働かないようにしているので、大体毎年の年収は80万円くらいだ。あんまりお金に余裕はないけど、もともとそんなに普段からお金を使わないほうだし。まあなんとかやっていけている。

 シェアハウスの管理人をすることで家賃を安く済ませ、食事は自炊中心。服にはこだわりがないのでほとんど買わないし、買うときはユニクロなどが多い。服は人からもらったりもよくする。生活用品は百均で大体揃う。本は図書館で借りるかブックオフで買う。ゲームは友達に借りる。音楽はレンタルCD屋で借りる。たまに旅行をするときは格安バスか青春18きっぷを使って、泊まるときはネットの知り合いの家に泊めてもらう。暇なときは考えごとをしながら家の近所を散歩したり、家であまり上手じゃないギターを練習したりしていれば退屈しない。

 人と遊ぶときも、家で飲み会をやったりオフ会をやったりすることが多いのでお金はあまりかからない。誰かの家やシェアハウスで肉を焼いたり鍋を囲んだりしながら、発泡酒や安いワインを飲んでいればそれでわりと幸せだ。

 もともとあまり物欲がないせいか今の生活に不満はない。本と音楽とネットとゲームと、あとたっぷりの時間があればお金がなくても大体楽しく過ごせる。


phaさんは「ギークハウス」での生活について、「古いゲームを買ってきたり、誰かが買ってきた本を回し読みしたり、インターネットをしたり」で、けっこう楽しく暮らしていると仰っておられます。

たしかに、今の世の中、テレビゲームという娯楽だけで考えても、「最新のハードやソフト」にこだわらなければ、面白いゲームが、ものすごく安く買えるんですよね。

どんな人気ゲームでも、発売されて1年も経てば半額くらいで買えるところがあるし、5年前の名作であれば、ワゴンセールで投げ売りされていることも少なくありません。

「流行を追う」ことを諦めるだけでも、けっこう安く暮らすことはできるのです。

「ニート」=「働いていない人」というイメージだけで全否定するのではなく、「もっとお金がかからない暮らし方」を考えるという意味でも、この本はけっこう参考になります。


こういう生き方が許容される社会であってほしい、と僕も思います。

「働かないで楽しく暮らせるなんて、うらやましいよねえ」って言いたくなる一方で、僕などは、やっぱり「働けるのなら、働く」ことを選ぶだろうけど。

それでも、「働けなくなったとき」「働きたくなくなったとき」には、こういう生き方も選べるのであれば(いやまあ、いますぐにだって、やろうと思えば、できなくもないんだけどさ)、少し心に余裕ができるのではないかと。


でも、こうやって暮らすことの難しさも、僕は考えずにはいられないのです。

この本のなかには、中島らもさんの話がけっこう紹介されています。

 中島らもが28歳くらいのときに会社をふらっと辞めて、郊外の一軒家で奥さんと子供二人と暮らしていたときに、その家に無職とかフーテンの居候がむちゃくちゃたくさんいて「ヘルハウス(地獄の家)」と呼ばれていたことがあるらしい。あまりに居候が多くて汲み取り式便所が溢れた話がよくエッセイに出てくるし、『バンド・オブ・ザ・ナイト』(講談社文庫)という長編小説はその頃の出来事をもとにしたものだ。

 中島らもの死後に出た追悼のムックに、らもの友達とらもの奥さんとらもの子供二人が喋っている座談会が載っていたんだけど、そこで面白かったのが、子ども二人がそのヘルハウス時代の頃を思い出しながら「小さい頃は家に居候の人が多くてどこまでが家族でどこからが家族じゃないのか分からなかったよね」と話していたことだ。家族って閉じた感じがして僕はあまり好きじゃなくて、ヘルハウスのようにいろんな人の出入りが多い空間のほうが風通しがよくて好きだ。これからはそんな家のかたちが少しずつ増えていけばいいなと思う。


僕も、らもさんの大ファンで、本人が書かれたもの、あるいはらもさんの周囲の人が書いたものはほとんど読んでいるのですが、どんなに捨てようとしても、というか、捨てようとすればするほど「人間の煩悩」や「『なんでもあり』のストレス」って大きくなるのかもしれないな、という気がしてなりません。


『らも―中島らもとの三十五年』という、中島らもの奥様、美代子さんが書いた本があります。

この本では、中島らもが、美代子さんに行った、さまざまな「酷いこと」や「女性関係」もかなり赤裸々に語られています。

その一方で、美代子さん自身の「男性関係」も語られていて、僕もある種の「異様さ」を感じずにはいられませんでした。

「バンド・オブ・ザ・ナイト」時代の中島家では、「乱交」「スワッピング」なんてことも珍しくなかったようです。


 この本のなかに、そんな「セックスにこだわらない」はずのらもさんについて、長年の親友の鈴木創士さんのこんな話が紹介されています。

 あるとき、創が、らもの後輩のコピーライター、ミキ君を諭していた。


「おまえ、中島と仲良くしたかったらな、いくら中島に勧められても、絶対ミー(美代子さん)と寝たらダメだよ」


 私は、創ともミキ君とも、寝たことがない。

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