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10年間の歩み

<ちょっとだけ告知> 4月1日に小著「国益ゲーム」が発刊されます。トランプ大統領は「制裁」で脅すのが好きな人物だ、と思っている方が多いでしょう。しかし、使っているツールは元々連邦法の中にあったものです。元来からああいう発想はアメリカの通商政策の中にあって、トランプ大統領はそれをフルに駆使しているだけと見た方が良いでしょう。そんな話を書き連ねています。一部かなりテクニカルですが、出来るだけ、法律とか条約とかを直接引用しないようにしています。

 COVID-19対応で、熊谷千葉市長の対応が称賛の対象になっていますね。最近、私は地方財政について勉強しているのですが、その過程で千葉市の財政再建の進展にとても注目していました。同じく財政状況が目覚ましく改善している静岡県の浜松市と併せて、辛くも厳しい財政再建を進めて来ておられます。地方議会における予算審議が概ね終わったタイミングですので、ここで思いを纏めて書き残しておきたいと思います。

 こういう財政健全化を見る時に使う指標として、実質公債費比率(毎年のフローの借金)、将来負担比率(ストックの借金)があります(注:カッコ内の指標の説明は極めて雑で正確ではありません。あくまでも大まかなイメージです。正確な説明はこちら。)。

 千葉市の10年前は悲惨でした。

【平成20年度決算(前市長の最終年)】
実質公債費比率 20.1
将来負担比率 309.6

 この数字の意味合いを説明し始めると長くなるので避けますが、それまでの放漫財政によってかなり悲惨な数字です。このボロボロの状況で熊谷市長は平成21年に就任します。

【平成30年度決算】
実質公債費比率 13.8
将来負担比率 145.5

 まだ「とても良い数字」とまでは言えませんが、熊谷市政10年間で劇的な改善を見せています。この状態まで持って来るのに、血の滲むような努力をした事を窺わせます。千葉市役所で働く知人によると、「うちの市長、(良い意味で)超ケチ」だとの事です。

 同じく財政が劇的に改善している静岡県浜松市の数字も見てみたいと思います。市長は平成19年就任の鈴木康友市長です。

【平成20年度決算】
実質公債費比率 12.8
将来負担比率 89.9

【平成30年度決算】
実質公債費比率 6.5
将来負担比率 0

 将来負担比率がゼロの政令指定都市は浜松市だけです。この数字にはいつも驚かされます(なお、これは浜松市に借金が無いという事ではありません。ただ、すべて償還のための手当てが付いているので付け回しになっていないという事を意味しています。)。

 熊谷市長も、鈴木市長も似たような事を言っておられます。私なりに纏めると、財政再建を進める事で市財政にゆとりが出来て機動的な対応が可能になっているという事です。「何をどうやったら、ここまでやれるんだろう?」と、とても注目しています。

 そんな中、都道府県レベルでのこの2つの指標の比較表を作ってみました(以下の記述はこの表を見ないと理解できません。)。あくまでも機械的に過去10年における都道府県の財政健全化比率の歩みです。「増減率」とは、平成20年度の指数からどの程度増減しているかを「機械的に」算出しただけでして、具体的には(平成30年度の指数)÷(平成20年度の指数)×100という計算です。

色を付けているのは以下のような基準です。
赤: 指数が悪化している(増減度が100以上)
黄: 指数があまり改善していない(増減度が90以上100未満)
青: 指数が劇的に改善している(増減度が50以下)

 ここで挙げた「増減率」は、「財政健全化比率の指標が良いか悪いか」ではありません。そもそも、実務を見ていると、実質公債費比率が低いから財政がゆとりがあるというわけでもなさそうです。これ以外の他の事情によって、指標はそこそこ良いんだけど財政が苦しいという自治体はあります。私がここで掲げているのは「この10年でどの程度指標が改善したのか。」という10年間の歩みです。

 各都道府県が、この10年で2つの指標をどう改善して来たのかを横に並べて比較してみると、色々な事が見えてきます。将来負担比率がこの10年で増加したのは、新潟、京都、(我が)福岡だけなんですね。福岡県民として、さすがに「うっ...」となりました。あと、将来負担比率が300%を超えている北海道、新潟、兵庫は本当に大丈夫なのだろうかと心配になります。今は実質公債費率が25%、将来負担比率が400%を超えると、「ヤバい」と見なされて総務省からあれこれとお叱りが飛んできます。なお、私はこの基準値が少し高いのではないかと思っていて、実質公債費比率20%、将来負担比率320%くらいへの引き下げをした方が良いと思っています(そうすると、北海道、新潟、兵庫は引っ掛かります。)。

 各都道府県単体で見るよりも、こうやって並べて見てみると色々なものが見えてきます。

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