Fed’s Bold Action : Unlimited QE , And Lending Facilities To Support Corporate Credit.
米連公開市場委員会(FOMC)は3月23日、緊急会合で量的緩和の規模拡大を決定した。15日の緊急会合時は今後数ヵ月で7,000億ドル(米国債5,000億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)2,000億ドル)としたが、今回は市場機能の円滑化の他、金融政策の効果が市場環境と経済に幅広く行き渡るよう「必要な規模(the amounts needed)」へ変更した。いわば、無制限の量的緩和へ舵を切った格好だ。今週は米国債を3,750億ドル、MBSを2,500億ドル取得する。
また、資産買入の対象に政府機関保証付きの商業不動産ローン担保証券(CMBS)を追加した。
チャート:Fedの保有資産動向

その他、金融危機時に導入した貸出制度の再開に加え、信用供与を企業などへ広げるべく新たな市場支援の枠組みを決定した。米財務省の為替安定化基金(ESF)は、一連の貸出制度や市場支援制度に向け300億ドル出資し、最大3,000億ドル相当の流動性供給を支援する。
1)ターム物資産担保証券貸出制度(TALF)の再開
・学生ローンや自動車ローン、クレジットカード・ローン、中小企業庁(SBA)保証付き中小企業向けローンを裏付けとした資産担保証券(ABS)を担保に貸出を実施。
・対象はAAA格付け、ドル建てで、新規に組成される、または最近組成された償還まで3年以下のABS。
・現時点で貸出総額は1,000億ドル(2009年3月開始当時は2,000億ドル)、9月30日まで実施へ。
・米財務省のESFが特別目的会社に100億ドル出資。
・金融危機時に実施済み。
2)プライマリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティ(PMCCF)
・投資適格級(BBB-/Baa3まで、最低2社からの格付けが必要)で、償還まで4年以下の社債を発行体から直接買い入れを通じ、つなぎ融資を行う。
・対象は米国に本社を置き、米国内で操業する企業。
・対象企業による配当支払い、自社株買いは禁止。
・9月30日まで実施へ。
・米財務省のESFがPMCCFのための特別目的会社に100億ドル出資。
3)セカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティ(SMCCF)
・投資適格級(BBB-/Baa3まで、最低2社からの格付けが必要)の社債、並びに同等の上場投資信託(ETF)を市場を通じて買い入れ。
・9月30日まで実施へ。
・米財務省のESFがPMCCFのための特別目的会社に100億ドル出資。
1)のFedは、今回の声明で「最大3,000億ドル」の資金供給を実施すると説明した。TALFが1,000億ドルを占めるため、2)と3)で2,000億ドルと想定される。
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その他、18日に再導入を決定した貸出制度”マネー・マーケット・ミューチュアル・ファンド・リクイディティ・ファシリティ(MMLF)”の担保対象に地方債の一種であるVRDN、預金証書を追加。再導入発表時は米国債、政府機関債、高格付け(A1、F1、P1)の資産担保証券(ABS)とコマーシャル・ペーパー(CP)だった。
17日に再導入を決定した市場支援制度”コマーシャル・ペーパー・ファンディング・ファシリティ(CPFF)”に、高格付けで非課税のCPを追加。17日発表当初、貸出金利は3ヵ月物翌日物金利スワップ(OIS)に200bp上乗せした水準だったが、今回、A1等に対しては110bp上乗せへ引き下げた。2021年3月17日まで実施する。
さらに、Fedはまもなく中小企業向けの貸出制度”メイン・ストリート・レンディング・プログラム”を発表する方針を表明した。メイン・ストリートとは、ウォール・ストリートに対し、一般企業を指す。詳述を避けたが、理由としては①未だ内容を策定中、②景気支援策を含め議会の対応を見極め中――である公算が大きい。声明文では「公共と民間にわたり、雇用と所得の喪失を抑制するため、そして混乱収束局面での迅速な回復を支えるため、積極的な行動が望まれる」と明記していた。現段階では連邦準備法13条3項目を法的根拠にESFを通じた信用供与しか行えず、米議会の行動が待たれる。