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「まるで戦争」 新型コロナに厳戒態勢のベトナム現地報告

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いち早く隔離措置がとられたソンロイ村の検問所で、食料や日用品を外部から受け取る村民。村は3月4日に解放された(2月29日撮影)

感染者の隔離施設となった病院を出て、巡回に向かう医師と看護師(3月9日、ホーチミン市)

閑散としたノイバイ国際空港の国際線到着ゲート(2月29日、ハノイ市)

ハノイの旧市街地区にあるドン・スアン市場で働く人々(2月28日、ハノイ市)

休校措置が続いていた学校で、高校3年生のみが登校を再開。検温や体調検査が行われた(3月2日、ダナン市。その後、感染再発のため改めて休校措置がとられた)

サイゴン駅で鉄道を降車した人々も検温が義務付けられた(3月11日、ホーチミン市)

16番目の感染者出現から3週間が過ぎ、一時は終息に向かうと思われたが、3月6日に17番目の感染者が出て、再発を恐れた国民らがスーパーに溢れた。トイレットペーパー、インスタント食品、ミネラルウォーターが次々と売り場から消えた(3月8日、ホーチミン市)

 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、世界中に「入国・入域制限」措置が広がっている。先立つ2月下旬、フォトジャーナリストの村山康文氏は、感染拡大前から予定していたベトナム取材を中止すべきかどうか迷った挙句、取材目的を「ベトナムの新型コロナ対策」に切り替え、入念な感染対策をした上で現地入りを敢行した。ベトナム取材をライフワークとし、50回を超える渡航歴をもつ村山氏が、緊迫のベトナムで目にしたものとは──。

【写真】世界初のSARS制圧国・ベトナムの防疫体制を見た

 * * *
「お前は中国人か? 韓国人か? 食事が不味くなるから目の前からすぐに消えてくれ!」

 2月28日、ベトナム・ハノイの旧市街地区にあるドン・スアン市場。衣料品販売店の前に陣取り昼食をとっていた50代くらいの中年女性が、撮影中の私に近づいてそんな暴言を浴びせてきた。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染を恐れるあまりの発言だった──。

 私は、中国・武漢発の新型コロナウイルスが流行の兆しを見せ始める前から、別の取材をする予定でベトナム渡航を決めていた。しかし、2月以降は日本や韓国でも感染者数が増え始め、ベトナムでも感染者が出て、2月13日には北部の村全体(ヴィンフック省ビンスエン郡ソンロイ村の1万600人が隔離)が封鎖される事態となった。

 本来ならベトナム入りを断念せざるを得ない状況だが、私にはどうしても今回の渡航を諦めきれない事情があった。もとより、20年に及ぶフォトジャーナリストとしての活動歴で50回の渡航を重ねるなど、私にとって「ベトナム」は主要な取材テーマだ。2003年のSARS、2004~2006年の鳥インフルエンザの感染拡大時にも、私はベトナム入りして感染症についての現地取材を経験している。

 実はベトナムは、2003年のSARS感染拡大時、世界で初めて「制圧宣言」を出した国である。当時、それが可能になったのは、陰圧室など感染症対策の先進医療設備を整えたからではなく、患者の早期入院・隔離に加え、病室の換気を徹底して行うなど、地道な院内感染対策に注力したからだといわれている。今回の新型コロナウイルスにおいても、ベトナム政府や国民がどんな対応をするかは、日本の新型コロナ対策を検討するうえでも参考になることがきっとあるはずだ。

 渡航を予定していた2月下旬時点では、外務省の海外安全情報もまだ出ていなかった。状況の推移によるが、今なら入国できるかもしれない──覚悟を決めた私は、取材の目的を新型コロナウイルス関連に切り替え、2月27日に日本を出発、ベトナム入りを果たした(15日間の滞在を経て、3月12日に帰国。その後ベトナム政府は3月22日から全ての国・地域からの入国を停止した)。

 感染症に関する取材では、自分が感染しないよう防護策を徹底することはもちろん、ウイルスを持ち込まないことが大前提である。ベトナム入国に際しては、過去の感染症取材経験をもとに、個人として考えられる限りの防護策を講じた。病院などの隔離施設での取材に備え、日本からはマスクにゴーグル、全身を覆う防護服を現地通訳の分と合わせて2人分持参。ベトナム入国時の検疫はもちろんだが、移動中のマスク着用、アルコール消毒や体温チェックもこまめに行い、体調管理に気を付けながらの取材となった。

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