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中国の患者はすでに5千人程度に激減。回復率90%。――最新患者数から見える「アジアの健闘」

新型コロナ肺炎関連エントリーは、最近けっこう上げてきた。というのも、メディアが取り上げるのは「今日は兵庫で○人感染」「北海道で○人死亡」「日本国内患者(累計)1000人突破」といった、割とどうでもいい情報が多く、「今どのくらい患者がいるのか」「感染率や回復率はどうか」といった肝心の情報がわかりにくいからだ。

他国からの感染を防ぐ上でもっとも重要なのは感染率だ。その国の人口に対してどの程度の割合でコロナウイルスに感染しているかが、その国からの渡航を防ぐべきかどうかの判断に直結するからだ。

その国の現在の感染者数や、ましてや累計感染者数などは、あまり意味がない。

その意味で感染率を計算し、本ブログで公開してきた。直近では3/13とか。

今日もまたあれをやってもいいのだが、実はもうそれもあまり意味がなくなってきている。なぜなら世界規模で感染が拡大したからだ。つまりざっくり言えば、「あらゆる国からの渡航を制限すべき」段階まで進んでいる。特段の強い理由が無い限り、渡航者の14日隔離などを求めるべき事態だ。実際、日本だけでなく各国でも同様の対応が進みつつある。

当然、来訪者を制限するだけでなく、こちらから出ていくのも(特に強い理由がない限りは)止めるべきだ。政府レベルでなく個人としてできることとしては、海外渡航の自粛、そしてイベント自粛や多数が集まる場所への出入り取りやめ、といった対応だ。

どの企業でもBCPの観点からテレワークや出張取りやめなどが進んでいると思う。ウチももちろん出張禁止。時差出勤・テレワーク奨励。なんせ編集なんて、業務だけ考えるならそもそも毎日出社する必要性薄かったりするし。社内の編集システムだってvpn1本通しとけば使えるし。効率が上がるのでむしろ助かるまである。あとおまけに、なんだかやたらとteams使ったテレ会議が増えた。

話を戻す。

北海道で封じ込めに成功するなど、日本は現在国内での感染は比較的コントロールできており、新規の感染者では「渡航先でウイルスに感染して日本に持ち帰った」例が目立つ。渡航先がウイルス感染率の低い国だと油断してはならない。トランジットの空港や機内など、各国からの旅行者でウイルス蔓延と考えておいたほうがいいからだ。

そうした前提の元で、今日は感染者と回復者の数字を追ってみる。使うデータは英語版wikipediaの「2019-20コロナウイルスパンデミック」ページ。これを用いるのは、累計と回復者が一目瞭然で計算しやすいからだ。これまでよく使ったジョンズ・ホプキンス大学のデータでは、米国回復者が州単位だったりして集計が手間なので。

2020/3/累計患者数上位国家の現在患者数を計算する
(累計患者数から死者と回復者を引く)

中国
現在患者数5120人/死者3270人/回復7万2703人(累計8万1093人)

イタリア
現在患者数4万6638人/死者5476人/回復7024人(累計5万9138人)

米国
現在患者数3万5418人/死者473人/回復175人(累計3万5418人)

スペイン
現在患者数2万4421人/死者1772人/回復2575人(累計2万8768人)

ドイツ
現在患者数2万4513人/死者94人/回復266人(累計2万4873人)

イラン
現在患者数1万2040人/死者1685人/回復7913人(累計2万1638人)

フランス
現在患者数1万3144人/死者674人/回復2200人(累計1万6018人)

韓国
現在患者数5684人/死者111人/回復3166人(累計8961人)

スイス
現在患者数7132人/死者98人/回復15人(累計7245人)

英国
現在患者数5280人/死者282人/回復140人(累計5702人)
――以上が上位10か国だ。以下20位まで、オランダ、オーストリア、ベルギー、ノルウェー、スウェーデン、オーストラリア、ポルトガル、ブラジル、デンマーク、カナダと続く。日本は25位だ。

見てわかるように、中国は封じ込めに成功している。累計8万人の患者数は世界一だが、現在の患者数はわずか5000人程度でしかない。人口比で感染率を求めれば、すでに日本以下だ。そりゃ中国が日本からの渡航制限するわけだよな。

中国では、コロナウイルスに感染した人の回復率は90%にも達する。これからわかるとおり、コロナ肺炎を過度に恐れる必要はない。「適度に恐れる」べきだ。ただ人口が多いだけに、気を抜いて再流行し始めると怖いが。

イタリアは死亡率が極めて高い。ただでさえ医療リソースが貧弱な上に、医療崩壊を起こしたからだ。総合的な死者数を減らすには、その国の実態に合った検査・治療態勢が重要なことは、ここからもわかる。

問題は米国だ。回復者の桁違いの少なさからもわかるように、ちょうど今、流行が始まった段階だ。それでいてこの患者数。かなりの速度で感染が拡大していることがわかる。感染者の半数はニューヨーク州であって、現地ではついに出勤禁止令まで出ている。ここ1、2週間の封じ込めが勝負だろう。思い切った措置は評価すべきだが、医療保険制度が貧弱な国だけに、医者に行かずに感染拡大といったケースが考えられるのが心配だ。

全体に、欧米は当初、「コロナは東アジアの病気」という油断が、政府と国民、双方にあったのではないか。中国渡航禁止を出すのが早くとも、予防措置を国民が取れなければ(取らなければ)、蟻の一穴だ。

日本も計算してみた。現在患者数825人/死者41人/回復235人(累計1101人)

メディアは「日本の感染者数が千人突破!」とか報道するが、単なる煽りレベルの記事であって意味がない。上記中国の例を見てもわかるように、累計患者数は恐怖を煽るだけで対策に無関係だ。累計なんかより現在の患者数と回復人数を報道しろよと。それでこそ正しい感染率がわかるじゃん。煽動で馬鹿(カモ)を釣るというのは、カルト宗教やマルチ商法のやり方だ。

中国やイタリアを見てわかるように、どの国も流行初期には対応が混乱する。その後に適切な措置に修正できるか、国、そして個々の国民が防疫に積極的になるかが、明暗を分けつつある。

上手に対応できたのは、もっぱらアジアの国々だ。初期に全国一斉休校措置/イベント自粛を促し、重症者の治療に注力した日本は、かなりうまくやっているほうだ。政府の対応措置は、シンガポールなどと同様、「怖い」感情に任せた過剰対応とか世論に配慮した過小対応ではなく、論理的で正しいものだった。

もちろんこれからも国内で患者累計が増えていくのは間違いないが、予防措置に徹してピークさえなだらかにできたら、いずれ回復者のほうが新規罹患者より増えて、患者数自体は減っていく。個々人もうまく協力していきたいものだ。

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