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新型コロナが中小零細企業に与える教訓 - 玉木潤一郎(経営者)

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いまだ収束が見えない新型コロナウイルス問題。世界経済へ及ぼす影響は大きく、2020年3月下旬現在において世界中の株式市場で株価は暴落している。

新型ウイルス肺炎による致死率に関しては専門家に論を譲るが、私たち中小零細企業にとっては、経済崩壊による「死」がより身近である。

例えば筆者が経営している、宴会が中心の大型居酒屋では売り上げが軒並み例年の55~60%にまで縮小している。また、県に支援を求めたことで話題になった奈良県の宿泊業は、昨年対比10%(90%減)程度にまで落ち込んでいると報道された。騒動の収束が見えない今、国の中小企業への支援策にも注目が集まる。

本稿では、実際の経営現場では今後どういう方策が必要か、そして今回の騒動で学んだことは何なのかを考察してみたい。

■出勤しなくても業績維持できる環境を

真っ先に社員をリモートワークに切り替えた電通を先頭に、時差出勤やクラウドを活用した時短勤務、テレワークなどを大企業が続々と導入している。

会社に行かなければ進まない仕事というのは、オフィスワーカーにおいて実は多くない。WEB会議が広く実用化された現在では、会議メンバーが顔を合わせる必要すら無い。

働き方改革が叫ばれて久しいが、むしろこれを機に中小企業でも一気に働き方の多様性を認めていくべきだろう。

問題は現場のオペレーターたちである。筆者の会社で言えば、飲食店や介護施設のスタッフ、建築現場の作業員など。こういう仕事はリモートワークなどできないので、そこで働く者たちの負担は大きい。

また、特に今回大きな負担がかかっている医療関係者や保育士などは、いざ有事の際には個を犠牲にしなければならない場面もあるだろう。

これは災害の際の消防隊員や警察官も同様であるが、公務員の場合には国土の一部での災害であれば他府県からの応援で人手を賄える。しかし今回のように全国規模でしかも民間施設の職員となるとそうもいかない。

医療施設や保育所が有事の際に重要な役割を果たすことが今回で再認識されたことを踏まえ、今後は国が主導してでも、医療関係者や保育士の人員配置と、現場オペレーターの待遇が改善されるような施策が必要であろう。

その他の民間企業の現場オペレーターに関して、経営的な運用としては”休める体制ができるのを待たずに休ませる”という点に尽きる。これには働き方改革の活用が適切で、有給の取得や時短を普段から達成していくことが必要だ。

言うほど簡単なことではないが、真の先進国となるためにも企業側と働く側、お互いの姿勢が問われる。

■運転資金の確保

さて、株価の暴落は上場企業のみならず中小企業にも大打撃である。というのも預金金利がゼロの現在では、資金を銀行におかず何らかの形で運用している企業が多いはずだ。

運用にあたって適切なポートフォリオを組むのは当然であるが、リスク型の投資に回すのは余剰資金だけに限るべきだ。

これは中小企業の場合特に言えることで、短期の資金ショートで倒産する可能性のある規模の会社は、数か月の運転資金は元本保証で流動性が高い運用をすべきである。

さらには普段から販管費の変動費割合を多く設定しておくべきである。景気低迷時には固定資産は資金化し難い。手許金の薄い中小零細においては賃貸物件やリースを活用して、解約すれば手許金の支出が止まるようにしておくべきである。

■企業の備蓄品について

東日本震災であれほどの教訓を得たにもかかわらず、今回の騒動ではトイレットペーパーの買付け騒ぎが起きた。結局デマだったものの、今後有事の際には例えば石油や食料の不足が風評となれば、どういう事態になるか想像に難くない。

これは中小企業のみならず一般家庭でも同様であるが、特に消耗品類の備蓄は平時から管理すべきだ。とりあえず節約して使えばしばらくは保つ、という余裕を皆が持てば凄惨な買付け騒動は避けられるだろう。

2019年の大型台風を前に、ホームセンターやガソリンスタンドに列をなした愚を繰り返してはいけない。車が動けば停電時にスマホの電源も得られるし照明代わりにもなるのだから、普段からガソリンはメーター半分程度で給油する習慣をつけるべきだ。

そして、できうれば企業は備蓄した消耗品を、有事の際には医療福祉施設や地域の一般家庭に供出するような存在でありたい。奪い合いよりも譲り合ってこそ、真の先進国と呼べるのではないだろうか。

玉木潤一郎 経営者 株式会社SweetsInvestment 代表取締役

【プロフィール】
建築、小売店、飲食業、介護施設、不動産など異業種で4社の代表取締役を兼任。
一般社団法人起業家育成協会を発足し、若手経営者を対象に事業多角化研究会を主宰する。起業から収益化までの実践と、地方の中小企業の再生・事業多角化の実践をテーマに、地方自治体や各種団体からの依頼でセミナー・コンサルティングの実績多数。

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