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【読書感想】これでもいいのだ

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これでもいいのだ (単行本)
  • 作者:ジェーン・スー
  • 発売日: 2020/01/08
  • メディア: 単行本
Kindle版もあります。

これでもいいのだ
  • 作者:ジェーン・スー
  • 発売日: 2020/01/09
  • メディア: Kindle版

内容紹介
思ってた未来とは違うけど、これはこれで、いい感じ。疲れた心にじんわりしみこむエッセイ66篇。

私だってモデルサイズ「/女子アナ」が勝利するとき/私の私による私のためのオバさん宣言/コンプレックスと欲のバランス/初々しい、男たちのダイエット/ありもの恨み/選択的おひとり様マザー「/一生モノ」とは言うけれど/勉強しておけばよかったほか。

――私たち、これでもいいのだ!

 ジェーン・スーさんのエッセイを読んでいて思うのは、男である僕は、この本の読者として想定されていないのではないか、ということなんですよね。

 もちろん、ジェーンさんは男性をあからさまに排除しているわけではないのだけれど、同世代(30~40代くらい)の女性がメインターゲットであるように感じるのです。

 それはそれで、僕にとっては、「同世代の女性というのは、こんなことを考えているものなのか……」と勉強にはなるのですが。

 ただ、ここに描かれているのは、東京で暮らしていて、「世間」にあまり縛られないで生きている人たちのことなのだろうな、という気もします。
 
 ジェーンさんが女友達と餃子を食べに行ったときの話。

 あっという間に焼き餃子が運ばれてきたので、飛び散る肉汁をものともせずにかぶりつく。お互い黒っぽい服を着ていて良かったね。天才だね!

 嗚呼、「幸福」を「口福」と書くグルメな連中を許したことはなかったけれど、これを口福と言わずしてなんと言おう。完全に屈服だ。いや、屈福だ。汝の名は、餃子。

 すべてがうまく行く夜。つまり、Tonight is the night. ゆっくりと、精神と口が満たされていく。

「はい、ライス二つ」

 頭を上げると、私と同じくらい恰幅の良い女性店員が、両手にライスを持って立っていた。彼女は迷いなく、大ライスを私の前に、小ライスを女友達の前に置いた。

 わかる。わかりますよ。私たち二人の容姿から推測した、あなたの判断を誰が責められよう。しかし店員さん、あなたも今日まで生きてきて、その恰幅の良さで、幾度かの煩わしい勘違いをされてきたでしょう。大きな体ならいつも元気なはずだろうか、大きな体ならよく食べるはずだとか、大きな体なら常に明るいはずだとか。大きな体なら……。

 大きい私は大ライス。

 華奢な彼女は小ライス。

 その決めつけを、世間では偏見と呼ぶ。偏見は差別を助長する。理屈の上では、決して許してはならぬ行為だ。

「小ライスは私です」と言えば済んだ話だって? おっしゃる通り。けれど、彼女はあっという間に我々の元から立ち去ってしまったのだ。熱々のうちに運ばれねばならぬ。次の皿が彼女を待っていたから。そこに悪意の欠片もないのは、明白だった。

 私は心から、偏見のない社会の実現を望む。しかし、すべてをいちいち冷静に訂正する気力が、常に満ちているとは限らない。そんな自信はまるでない。

 かといって、その程度のことを気に病むのは馬鹿馬鹿しいと、したり顔で流すのも違うような気がする。ライスだったから笑えるが、この手の思い込みが、命取りになることもあるだろう。たとえば人種だったら? 性別だったら?

 僕はこれを読んで、ものすごくモヤモヤしてしまったのです。

 自分が同じ目にあったら、確かに不快だとは思います。

 スタイルとか見かけについて男よりもあれこれ言われることが多い(であろう)女性であれば、なおさら気になるのかもしれません。

 その一方で、こういうことを無くすために、店の人は、毎回「大ライスはどちらですか?」と確認するべきなのか。熟練した店員さんなら、それぞれの注文内容をちゃんと記憶していて、その通りに配膳するのかもしれませんが、それをすべての飲食店に求めるのは酷というものでしょう。

 これはさすがに過敏なのでは……というのと、「でもそれが『不快』なのもわかる……」という気持ちが入り混じってしまうのです。

 こういうのを放っておけば、人種や性別についての先入観からくる差別も「そんなの気にしすぎ!」と抑圧されるようになる、と考えるべきなのか、あまり細かいことまで、いちいち確認しなければならない社会は、かえって息苦しく、コストが高くなりすぎる、と判断するのか。

 単なる間違いや勘違いではなくて、コンプレックスを刺激されるようなことだったからこその反応でもあったはずです。

 そういうのは、他者が「我慢すべき」とか言ってもしょうがない。

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