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【新型コロナウイルス】村中璃子氏が明かす「誰でもPCR検査」の弊害

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どんな曲線を描くにしろ、各国は医療キャパシティの限界をにらみながら、流行段階に応じてやることを調整していくことになりますが、流行が年単位になってくればワクチンが開発され、流行はその時点で急激に収束に向かう可能性もあります。

3月17日、WHOはたまたま見つけた感染者を報告するのではなく、「感染を疑う人」をより広く追跡して流行状況を把握するためにも「検査、検査、検査」しろと呼びかけました。

これを「無症状の人もみな検査しろ」と曲解したメディアもありましたが、WHOも翌18日の会見では「検査、隔離、追跡」と言いかえていますので、訂正の報道が必要です。

くりかえしになりますが、医療崩壊を防ぐためのPCR検査です。医療キャパシティの限界を無視し、感染症の疑いのない人まで誰にでもPCR検査を行えと言ったのではありません。

AP

無防備検査による「医療者クラスター」が命とりに

イタリアは、欧州で初めて中国人観光客2人を含む3人の感染が確認された1月31日、「欧州一厳しい監視体制を取る」として、広く浅いPCR検査で徹底した水際対策を行うことを宣言しました。

しかし、新型コロナウイルスはすでにイタリア国内に広がっていたのでしょう。医療者の防護体制を整えず無防備にPCR検査を行った結果、流行初期には多くの「医療者クラスター」が生まれました。

中国でも新型コロナウイルスを診るための施設や診療科ではなく、たとえば感染者の訪れた眼科、感染した妊婦が訪れた産婦人科など、新型コロナウイルス感染に対する備えのなかった医療現場で感染が拡大していったことが報告されています。

最近、日本でも医療関係者の感染が相次いでいることは非常に気がかりです。

3月19日に開かれた専門家委員会では、日本では流行状況に地域差があり、全国にウイルスが蔓延している状態ではないとの評価ですが、クラスターの見えない感染者も増えてきています。

どの診療科の医師も医療スタッフも、患者さんがウイルスを持っているという前提で診療にあたる時期に来ていると言えるでしょう。



「うつらない」よりも「うつさない」で社会を守る

PCR検査と言えばPCR検査、クルーズ船と言えばクルーズ船、屋形船と言えば屋形船というように、その時その時に目につくことだけを追っていくのは決して得策ではありません。

一般の人たちにできることは限られていますが、大切なのは、十分に手を洗う、感染の起きやすい場所に行かないといった、本当にベーシックなことを徹底することです。

アウトブレイク対策の基本は、「できるだけ社会機能を維持しながら」感染拡大を抑制し、段階に応じてやることを変えていくことです。

2週間の自粛要請だけでも、皆さん少し疲れてきましたよね。

でも本番はこれからです。

地域差はあれ、日本全体としてみれば感染は拡大傾向にあります。医療現場では、マスクやフェイスシールド、アルコール消毒などが不足しています。

このまま感染が拡大していけば、医療者クラスターが続出して病床は埋まるなど、日本でも医療崩壊は起こりえます。

いま私たちがやるべきは、PCR検査を1人でも多くの人が受けれられるようにすることではありません。

ひとりひとりにできることを通じて、感染拡大を抑えることです。

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