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スウェーデンの学校ではどのように政治を教えているか?スウェーデンの主権者教育の教材を全訳しました。

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▼目次
1.グレタだけじゃない?政治に参加するスウェーデンの若者
2.社会への影響力を高める学校教育
3.学校で政治を教える?どうやって?
4.「政治について話そう!」が作られたのはなぜ?
5.目次はこのとおり
6.翻訳することになった経緯
7.ダウンロードはこちらから
  1.PDF版をダウンロード
  2.パワーポイント版をダウンロード
8.翻訳完了にいたるまでの過程と注記
9.冊子版を希望しますか?アンケートのお願い

グレタだけじゃない?政治に参加するスウェーデンの若者

スウェーデンは、選挙の投票率が高いことで有名です。2018年の総選挙では、約87%を記録しました。多くの先進国では、若い世代ほど投票率が低くなる傾向にありますが、スウェーデンの若い世代の投票率は約85%と、全世代の投票率とほとんど解離がありません。

また、スウェーデンの若者は、社会への意識や関心が高いことも様々な統計からも明らかになっています。

日本と比較してみましょう。内閣府の子ども・若者白書(平成26年)によると、「社会をよりよくするため、私は社会における問題に関与したい」という質問に対して、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた満13~29歳の若者の割合は、日本は44.3%に対してスウェーデンは52.9%という結果です。最高は調査対象7カ国中でドイツで76.2%で、日本の若者が最低です。


スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥンベリのみならず、多くの若者がこのように社会への高い参画意識を持っています。さらに若い政治家も多く、現政権においては22歳の国会議員が2名もいて、全国会議員の約10%が30歳以下です。

なぜスウェーデンの多くの若者は政治に参加するのでしょうか?
スウェーデンは、なぜ若者が政治に参加する社会なのでしょうか?

社会への影響力を高める学校教育

この問いへの答えを学校教育に求めるのならば、学校における生徒の影響力を高める教育、環境整備があるからといえるでしょう。


スウェーデンの学校においては、以下の4つの機会を通じてこれを可能にしています。

  1. 学級会・生徒会
  2. 給食委員会
  3. テーマ学習
  4. 学校選挙

学校選挙というのは、学校でおこなわれる実際の選挙にあわせて開催される未成年のための模擬選挙です。模擬選挙の投票前には学校で地域の政治家を招いた討論会を開いたり、近くの広場に設置されている「選挙小屋」に出向いて、政党の主義主張をインタビューする宿題を課すなどして、できるだけ実際の選挙に近い学習環境を保障しています。

ある高校の社会科の授業では、党代表者になりきるロールプレイを導入した授業を実施していました。

スウェーデンでは学校内においては、このような機会を通じて、選挙にかんする情報提供を行い、政治や民主主義について学ぶ機会を保障し、さらには学校を越えた実社会への影響力を高める力をつけているのです。

学校で政治を教える?どうやって?

とはいえ、政治や民主主義について教えることは容易ではありません。あなたが政治について教えることになったとき、例えばこんな疑問がすぐに浮かんでくるでしょう。

  • どの様な方法で教えればよいのか?どんな準備が必要で、評価やフォローアップをどのようにすればよいか?
  • そもそも教えたい政治とは?民主主義の価値や、その方法とは何?
  • 特定の政党に偏ることなく中立を保ちながら、どのようにして政治を教えれば良いのか?
  • そもそも中立とはどのような学校教育や民主主義の理念に基づけば判断できることなのか?
  • 政治家を招いた討論会をするにあたって、どんな質問をしたらいいか?
  • どのようにすれば生徒に政治について関心を持ってもらえるか?授業や対話の場で発言がしやすくなるか?

そのような疑問に答えてくれるのが、”Prata Politik” (政治について話そう!) というスウェーデン若者市民社会庁が出版した教材です。この冊子の翻訳が完了し、日本語版をWebにて無料公開することになったので、お知らせします。

「政治について話そう!」が作られたのはなぜ?

「政治について話そう!」は、スウェーデン若者市民社会庁という、スウェーデンの若者政策を担当する省庁が作成した、教員向けの教材です。


スウェーデンの学校には「民主主義を教えるミッション(使命)」があり、教員はその役割を果たす義務があります。しかし昨今では、ソーシャルメディアの利用が若い世代で加速し、フェイクニュースが飛び交い、政治にかんする報道や情報が錯綜しています。また、スウェーデンも多分に洩れず過激な主義主張を掲げる政党が躍進しています。そのような政党が模擬選挙の討論会のために来校した際に、生徒が来校を阻止するといような事件も実際に起きています。

主義主張が極端であるが故に反発する生徒が少なからずいるとはいえ、国会で議席を有している政党であるのも事実です。学校としては、そのような政党を学校に招かないという判断をしていいのか?その様な騒動が起きないように、どうしたらよいのか?起きた場合にどの様な対応をすれば良いのか?そのような過激な「民主主義」ではない、熟議を基盤とした民主主義を教えるにはどうしたらよいのか?

「政治について話そう!」はこの様な疑問に答えるために作成されました。実際のスウェーデン語の最新版の冊子は、以下のページにあるものです。


Prata politik | MUCF
Ett metodmaterial om demokratiska samtal i skolan Prata politik! är ett metodmaterial för dig som arbetar på högstadiet eller gymnasiet. Det är ett stöd för lär...
www.mucf.se

目次はこのとおり

そのような背景がある中で作成された教材ですので、中身はスウェーデンの現場の学校教員に沿ったものとなっています。例えば、目次はこのようになっています。

  • 学校がその基礎におく価値観と「民主主義のミッション」ー政治についての対話に学校で取り組む際の、その基本となる規則とガイドラインについて
  • 実施前:取り組む前に考えることー政党が来校した時の生徒と教職員の対応について
  • 実施:みんなでやってみよう!ーやり方、ヒント、議論で使える生徒・職員への質問
  • 実施後:評価とフォローアップー政党が来校して実施した活動を評価する方法
  • 学習事例

まずはじめに、学校で民主主義を教えることの意義、そもそもスウェーデンの学校において民主主義を教えるとはどのようなことなのか、その際に根拠となる規則などは何か、などを明確に示しています。

次の章からは、さっそく実践編です。実施前の準備段階、実践方法、実施後の評価やフォローアップ、それぞれで具体的に何をしたら良いかを、具体的なアクティビティや、チェックリストで紹介。

そして最後に、紹介した活動の導入事例をインタビュー形式で紹介しています。全体のページ数も80ページほどですし、イラストも多いのでさくっと読めます。

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