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「地球に住めなくなる日」を読んだ


 「地球に住めなくなる日」(デイビッド・ウォレス・ウェルズ著・藤井留美訳・NHK出版・1900円)を読んでみた。新聞広告を見て気になるテーマだったので書店へ行ったら、平台に乗っていた。アメリカでもベストセラーになったらしい。内容は、ごくまっとうな、地球温暖化現象の進行を憂える警告の書だった。

 人類の産業活動によって、地球全体の気候が温暖化に向かっていることは、ほぼ現代の常識になっていると思うが、この本は、この傾向が人類の近未来を決定的に暗くする現実を、さまざまなデータを示しながら教えている。気候は年ごとに変動するものだから、年によって暑かったり寒かったりすることは誰でも知っている。私などは痩せ型で皮下脂肪がないから、自分は熱帯型気候に向いているなどと、勝手に決めつけていた。しかし事態は、意外なほどの速さで、地球温暖化に向けて動き出しているのだった。

 最大の原因は、温暖化ガスの放出が過大になって、自然な吸収と還流を上回っているという単純な関係であり、これはすでに国連でも取り上げて対策を講じているところだ。だがそれは、言うは易くて実行が難しい。石炭・石油の化石燃料を燃やすのをやめて、太陽光などの自然エネルギーのみで暮らせれば、収支のバランスは明日にでも回復する。しかし、消費生活を肥大させた現代の人類は、何倍ものエネルギーの消費なしには、快適に暮らせなくなっているのだ。

 今の予想では、近未来に地球全体の気温は平均で4度C上昇することになる。それくらい大丈夫と思うかもしれないが、極地方の氷が溶け始めたら、海水面は10メートル上昇する。広大な耕作地が失われて、食糧の生産は深刻な打撃を受けるだろう。

 それがわかっているのなら、対策は、今から始めなければならない。人類が地球の主人公のような地位についたのは、せいぜい最近の1万年にも満たない短い時間に過ぎないのだ。知恵があるのなら、宇宙へ飛び出す夢を見るよりも、この地上で長く暮らせる方法を考えた方がよいのではないか。

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