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今、手緩くないか?

欧米の新型コロナウイルスへの感染者数の増加はとどまることを知らない様相だ。イタリアは今チェックした数字では前日比6557人増。スペインもアメリカも3000人を超えている。

一方で日本は39人。この数字は検査数の比較からして額面通りには受け取れない。現場の臨床医の声を身元が比較的確かなFacebookで拾ってみても、やはり相当の暗数がありそうだ。

そこで心配なのが、警戒が弛緩しつつあることと、経済を含めた対策の手ぬるさ。

例えば、まさに近々に室内での大規模格闘技イベントが予定通り開催されるという。現在、感染者が多発しているのは大都市圏内。人が密集し易いのと人口が多いので当然といえば当然だが、だからこそオーバーシュートを防ぐためには大都市圏内での対策が大事。人が密集、室内、声援と三拍子揃う大規模イベントでクラスターが発生しないのか?

COVID-19が怖いのは医療システムを毀損すること。通常の重症肺炎と異なり医療従事者への感染や施設の汚染で医療資源を損なっていくことと、入院期間が長いことの2つの要素により、医療システムの負担を増大させ、徐々に損なっていく。医療従事者の疲弊も経時的に著しくなる。ドイツのメルケル首相が医療システムの維持を強く呼びかけたのは、COVID−19の特徴を正確に理解しているが故のことであった。

少し油断している感のある日本だが、大都市圏は患者数が地道に増えており、感染拡大防止策を緩めることが出来るような状況ではない。

もう一つの手ぬるさは、国の対策にかける資金規模。疾病対策と経済対策双方とも欧米に比較して極めて不十分。

トランプ大統領は、ワクチンを含めた治療法・診断技術の研究に30億ドルつまり3300億円を注ぎ込むことを素早く決定した。これに対して、日本では、幾つかの研究グループがワクチン開発を進めており、スピードにおいてトップに位置する大学の研究者によれば、10億円単位の資金供与があれば複数の手順を並列して進めることができ、実用化をかなりスピードアップ出来るという。また、大量供給のためのイニシャルコストには100億円単位の金額があればよいとのこと。

審査に関する支援もあれば、最短で6ヶ月程度で相当程度のワクチン供給も可能とのことであるが、現在のところ必要な程度の資金援助には至っていないとのこと。流行が収束していけば新型インフルエンザの時のように無駄になる費用かもしれないが、ドイツ、イギリスの首脳が心配するように、疫学的にありうる大流行となる可能性がある今、ナショナルセキュリティの観点からは、必要な投資であることは明らかだろう。

経済対策も同じ。トランプ大統領は、50兆円の現金給付を検討している(NHK)。BBCのニュースでは、イギリスも賃金の80%もの保障をする方針と伝えていた。この辺りの思い切りはトランプ大統領といいジョンソン首相といいさすがだ。サービス業を中心とする大規模な閉店や外出禁止・自粛により収入を丸ごと断たれる自営業者やフリーランスの方を救済するにはそれしかないだろう。

一方で現在の政府の政策は「1万2000円」の現金給付。あるフリーランスの方がSNSに「1日1万2000円じゃないの?このおじさん達なの?」と投稿していたが、本当にそう思う。まさに子ども騙し。

日本維新の会新型コロナウイルス対策本部ではこの点について先週熱心な議論が行われ、年金保険料の支払免除などが議論されたが、私からはそのような対策と並んで思い切った規模での現金給付について検討すべきことを主張させていただいた。通常時であればバラマキは否定されるべきだが、欧米では戦時と比べられるほどの非常事態になりつつある。そんな時にはやはり非常時に即した政策が必要。

いずれの国においてもその財源は赤字国債とならざるを得ないが、逆にいうと日本だけが突出することなく行えるので、常々心配している通貨安の懸念は薄らぐ。

今までの対策は上手く行っていた感のある政府の対応だが、ここで緩んではダメだ。ここからが正念場であると改めて強く警告したい。有効な対策があるのだから、前例に囚われず躊躇無く大胆に取っていくべきだ。

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