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「解散・総選挙」をめぐる夏政局の始まりの前に

ロンドンオリンピックでは、金メダルこそ少ないものの銀、銅と日本選手の活躍が連日伝えられている。つい寝不足になるこの頃だが、こんな時に以後5年、10年の政治の枠組みが決まっていく解散・総選挙をめぐる状況が動いている。

 先週、自民・公明を除く野党7党が「消費税増税法案」の採決前に「野田内閣不信任決議案」を提出することで合意したことから、政治の舞台は一挙に流動化した。当初、「3党合意」があることから、自民・公明は欠席か棄権かとも言われていたが、参議院での「増税法案採決」の直後には「問責決議案」を出すとも伝えられていて、「3党連立未満」の状態を維持するのか、野党として一気に解散に追い込むのか判然としないという批判もあったのだろう。自民党は「反増税」を理由とした7党不信任案とは別に、内閣不信任決議案と問責決議案を明日にも同時に提出すると報道されている。その場合、「増税法案」の成立はならずという場合もあり、「解散・総選挙」を優先しようという方向に舵を切ったようだ。もっとも、内閣不信任決議案とは「本院は野田内閣を信任せず、右決議する」との簡素な文面なので、ふたつの不信任決議案の提案理由が異なるとしても、あまり本質的な問題ではない。オリンピックのさなか、明日から緊迫した場面が始まるのは間違いない。

 いずれにしても、「解散・総選挙」が急速に近づいていると感じる。2009年8月。3年前の夏、衆議院はすでに解散していた。「政権交代選挙」と呼ばれ、長年の自民党を中心とした政治が大きく転換するとの期待があふれた。小選挙区制度は、このような突風を過剰に増幅する。2005年の「小泉郵政解散」とは逆に、「政権交代選挙」はなだれを打って「民主党へ、民主党へ」と勢いづいていく選挙だった。民主党を中心とした政権が発足したのが、2009年9月だった。政権交代の一歩が政治をどのように変えるのか、何を社会にもたらすのかを多くの人々やメディアも刮目した。ところか、3年間という時間は、「政権交代の評価」を定めるには十分すぎる現実を、現在私たちの目の前に見せてくれている。ただ、ここで3年間を振り返るゆとりはない。

  現在、民主党代表は野田佳彦総理大臣である。民主党は、「消費税のみ増税」で自民党・公明党と一致し、衆議院の採決前には民主党内部の激論をへて、ついに小沢一郎氏を中心とするグループを切り、分裂と離党・新党結成に追いこみ、与党勢力の縮小過程をたどった。台風で5日の予定が順延されたが沖縄では「普天間基地へのオスプレイ配備に反対する県民集会」の準備が進んでいる。沖縄のみならず、全国20県をオスプレイが飛び回るという米軍の計画に対して反対の声が広がっている。また、毎週金曜日には官邸をとりまく「再稼働反対」の脱原発デモも急膨張し、国民からの意見聴取でも「原発ゼロ」の声が日増しに高まっている。さらに、現在は表面に出ていないがTPPも山場を迎えつつある。

 これらの懸案について、長いこと政権を担当してきた自民党と民主党の違いは、すでにほとんどないと私には見える。「解散・総選挙」をへて「政権交代」を訴えた3年前の熱気とはうってかわって、「3党合意」は総選挙後の連立政権への布石とも受け取れる与野党の同質化・均質化が透けて見える。たしかに「大連立」は歴史的に見て野党が「政権担当能力」を磨く手段として、ありえないわけではない。ところが、3年も政権を担当していて、痛烈に批判してきた前政権政党と何を始めようとしているのだろうか。

  小選挙区制度は、AとBという二大政党を形成する。そして、有権者の51%を獲得すればいい小選挙区制度は、既得権を持つ多数派の奪い合いとなり、政策の「同一化・均質化」は制度上不可避だとも言われている。従って、現在の国会に「政策論争」が不在で、「政局優先」となるのも制度が生み出しているものだと考える。もし、明日から夏政局でスイッチが入り「解散・総選挙」が行われることになると、AでもなくBでもないCという「第3極」が期待されるという報道がなされているが、制度上優位に立つ大政党の議席が消えるわけではないので、どの勢力とどの勢力が合従連衡するかに焦点が移り、政治の混迷はさらに深くなる可能性もある。

 選挙制度改革が必須のテーマだと思う。現在の選挙制度では、国民の多くが「脱原発」の道をひらいてほしいと願い、行動しようとしていても、その意思は議席比にまるで反映しないということも起きる。現在の小選挙区比例代表並立制よりも、かつての中選挙区制度の方が民意をくみとるという点ですぐれている。

 3年間の民主党政権の半ばに、東日本大震災と福島第一原発事故が起きた。その衝撃はあまりにも大きく、影響は今にいたるまで深い。少なくとも、「エネルギー政策」については、次の選挙で「脱原発の実現」へ向けた決着がつけられるような選択が出来るように、「永田町」に向けて私たちは強く声をあげる必要がある。「にわか脱原発、選挙が終われば現状維持」という旧世代の鉄面皮な政治を延命させない厳しい選択も問われる。これからの展開には、おそらく決められたシナリオはない。脱原発の官邸抗議行動の広がりは、「再稼働決定」をした野田総理にとって、まさに「想定外」だったことだろう。

  国政選挙の場面で民意と接近し、その底流をつかんで、政策化することは、どの政党にとっても重要だ。今回は「マニフェスト不信」「政治言語の暴落」「政治家の言葉は何ひとつ信じられない」という大逆風の中で政策を訴え聞くという場面が近いうちにあるだろう。それでも政策は言葉でしか語れない。「言葉を信じられない」という有権者に対して、その不信と侮蔑のまなざしに耐えて言葉を絞り出してほしい。私も、自治体の現場から提案と発言を続けたい。

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