新型コロナウイルスの影響で、2020年2月の中国人訪日客数はなんと9割減にもなったという。
そのおかげで今、国内旅行地は空いているとの話を聞き、3月に京都と浅草に行ってきた。
中国人が大挙して押し寄せていた時期を直接は知らないものの、話に聞く限りそこと比べるとかなりの空き具合であることに間違いはなさそうだ。
普通に歩ける。 普通に観光できる。
京都は一部有名どころのお寺は驚くほど空いていて、庭園がこんなに静かにゆっくり見れるなんてと感激していたほど空いていた。
しかしどこも空いているかというとさすがは京都。
それなりには混んでいた。
清水寺付近や二年坂、三年坂などは、大混雑ではないがそれなりに多くの観光客が訪れていた。
中国人・韓国人はほとんどおらず、西洋人もまばらで、多くきていたのが若い日本人だった。
学生で春休みだからなのか、海外旅行が行けなくなったからなのか、若い日本人観光客が目立っていた。
浅草も同様だった。
浅草も確かに空いている。
混んでいるけど、なんのストレスもなく普通に歩けるし観光もできる。
でもやはりここでも目立っていたのは若い日本人観光客で、先日訪れた時には平日にもかかわらず人気の買い食い店何軒かは行列ができるほどの混雑ぶりだった。
浅草のカフェの店員がこんな話をしていた。
「たしかに中国人・韓国人は減ったので空いているのは間違いないんですけど、でもそれなりには混んでますよね笑」と。
考えてみれば今までが異常な観光バブルだったのではないか。
大挙して押し寄せる中国人はマナーが悪く、というより正確には価値観や考え方が違うので、迷惑行為が各所であたりまえのように横行していて、観光公害やオーバーツーリズムが大きな問題となっていた。
でも今までが異常なバブルで新型コロナ騒動で激減したというよりは、中国人観光客バブル以前の普通の状態に戻ったのではないか。
京都も浅草もほどよい混雑具合だった。
確かに中国人バブルをあてにしているところは売上激減でつらいだろう。
しかし久しぶりに京都や浅草を訪れて驚いたのは、今までなかった中国人客目当ての買い食い店があまりにも多くできていること。
金沢や大阪なんかでもそうだが、中国人がテイクアウトで店前でなんでも食べるのをいいことに、その地の名産だろうがなかろうが、日本人からみてもかなりのぼったくりな料金でいろんな店が買い食い食品を出している。
それで食い散らかすなど、観光地にたむろして邪魔だの、ゴミをあちこちに散らかすだの、中国人を責める以前に供給側にも問題があったのではないか。
これを機会に儲けられると。
だからなりふりかまわず中国人向け商売が乱立していた状況こそ、観光公害を引き起こす1つの原因になっていたのではないかと。
中国人が来なくてこんなに減っちゃったのではなく、今までが異常すぎたのではないか。
今までがあまりにもぼろ儲けすぎたのではないか。
かつての日本の観光地は、こんな感じではなかった。
でも新型コロナの「おかげ」で、かつての平常な時代に戻っただけではないかと。
もちろんインバウンド戦略は国益にもなる
人口減少する日本にとって、インバウンドの観光産業は数少ない経済成長が見込めるビジネスだ。
ただやはりやりすぎたというか過剰すぎたのではないか。
ブランド力のない観光地は厳しいだろうが、京都や浅草といったブランド力のある観光地は、中国人観光客が激減してもそれなりに日本人はきている。
新型コロナ騒動を機会に、あらためて観光地は観光産業のあり方を見直す絶好の機会ではないか。
中国人仕様になりすぎておもてなしも失い、観光地としての魅力も失い、日本人が寄り付かなくなってしまったが、今あらためて本来の観光地の魅力を見直し日本人にアピールすれば、中国人激減分を日本人でそれなりにうめることはできるはず。
もちろん中国人激減分すべてを埋めることは無理、というよりやらない方がいい。
今までがあまりにバブルすぎて、観光公害問題が大きくなりすぎていたのだから。
今ぐらいが普通と考えて観光地のあり方を見直したい。