新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年 3 月 19 日) を発表しました。
まとめると、
ある程度持ちこたえているが、まだ油断はしてはいけない。それでもおおむね地域ごとに少しづつ様々な制限を解除していこう
と言うことになると思います。前へ少しづつ進みましょう。
また自衛隊中央病院が受け入れ患者104例のまとめをHPに発表されました。本当に素晴らしい報告です。手探りで多方面、他部署と協力し、検査含め自分たちで解決していったこのオペレーションは様々な協力が得られ自己完結できる自衛隊病院だからできたことでしょう。(wifiなどは内部医療者がいくら言ってもセキュリティで入れてくれなかったじゃんと少しツッコミたい部分はあるのですがw)
そして104名を受け入れ、2次感染0、死傷者0は世界に誇れる成果だと思います。(以前の記事またのっけておきます)
中国での報告も総説として論文化されていますが、(Estimating clinical severity of COVID-19 from the transmission dynamics in Wuhan, China)各国、地域においてノイエスを集め比較していくことが今後大切なことだと思っています。
その中で
>当院に搬送された症例は、無症状あるいは軽微な症状を有するPCR陽性者が非常に多かった。軽微な症状を有する者についても、そのほとんどが一般診療の基準に照らし合わせれば、医療機関を受診するような病状ではなかった。
>このことからは、無症状あるいは医療機関を受診しない程度の軽微な症状のSARS-CoV-2感染者は多数存在すると考えられる。
>すなわち、プライマリケアの場において必要とされる症状スクリーニングによる臨床診断の精度向上は、非常に困難である。
これ本当にとても大事なことです。PCR検査自体の精度が患者のスクリーニングとしてはいまひとつ(以前の記事)。(これは検査の特性上全員にやっても不十分、見逃しが存在するということです。)
その上検査をする前に確率を上げようとしても、症状で鑑別することがほとんど不可能のため無症状の人はつかまえられない。
つまり検査で正確な感染患者数(不顕性患者含む)を測定することは不可能
と言うことになります。そうどれだけたくさん検査してもデータは結局不十分なものとなるということです。
また前回のブログでも紹介しましたが、症状ない人でも肺炎があることを考えると、この不顕性患者が他の人に感染を起こす可能性がやはりあるということになります。そうすると健康(に見える)な人がマスクをするこの日本と、あまりマスクをしない諸外国との差がこの日本の感染率の低さを生み出しているのではと想像してしまいました。
インフルエンザでは否定されているますが、コロナでは予防に役立つかもということです。
(非感染者が感染するのを予防するのではなく、感染者が非感染者にうつしにくくなる)
そう強いていえばコロナにおいては、
咳をしていない人の咳エチケット
によって、不顕性感染者からの感染を低下させ、結果この日本の感染率の低さを生んでいるのではと言う仮説です。
なぜ日本の感染が他と比べて低いのか
— 血液内科医 中村 幸嗣 (@yukitsugu1963) March 19, 2020
1 手洗いに適した水がどこにでもある
2 要望という名の指導をしっかり守る国民が多い
3 生活の特性(ハグ、靴を脱ぐなど)
4その他
仮説だが、インフルエンザでは否定されているマスク着用率が不顕性感染からの再感染を防いでいるのでは#新型コロナウイルス
もちろん死亡者が低いということは、この感染者が少ないということだけでなく、国民皆保険の影響、そして献身的な日本の医療者の頑張りがあると思います。
エビデンスは大切です。でもはじめて経験するウイルスに対して強いエビデンスはありません。マスク含めてみんなでしっかり新しいノイエスを形成しながら、死亡者、重症者を減らしている今の日本の方法は決して間違っていないと確信しています。