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政治家のおもちゃにされる教育 - wasting time?

“教育”と聞くと多くの人が思考停止に陥る。あるいは一日教育評論家となって自己の経験に基づいた根拠薄弱な持論を振り回す。もちろん、政治家も同様だ。

先進国のここ100年・200年の発展はたしかに今まで教育が満足に受けられなかった層に対してしっかりと教育が施されたことに大いに原因があると言える。また、逆にいまだに発展できない途上国の多くは教育の重要性が一般に受けいられていないことが原因といえるだろう。

日本でもそうだが、アメリカ・イギリスでももっと教育をと言って、高等教育の安売りが始まっている(続いている)。政治家が人気を取るために“安い値段でより多くの人に高等教育を”という政策を好むのだから仕方ない。そして、教育によってたしかに国家の発展に勢いがついたことを目の当たりにした我々の親くらいの世代はその政策を大いに支持するというわけだ。だが、いつもこのブログで指摘するようにそれはおそらく正しくない。実際に本当は高卒程度の頭脳しかない若者達が大学を出ても就職先はない。むしろ大学4年間をバイトと遊びに費やして時間を無駄に過ごしているだけだ。結果として“大学を出たのに就職できない”という怨嗟が広がり、若者達の貴重な時間を奪い、大学は補助金で儲かるという国家の財政にも生産性向上にもマイナスの事態を引き起こしているだけだ。

さて、イギリスでは大学は基本的に全て国立。そして、社会の流動性を上げるために貧困層の家庭の子供をトップクラスの大学はより多く受け入れるべきだとの政治家からの攻撃がある。

Oxford attacks Vince Cable's state school student target

Vince Cable, the Business Secretary, has told elite universities to increase the number of undergraduates they admit from working class backgrounds or face financial penalties.

ビンス・ケーブル経済相はトップクラスの大学に労働者階級や経済的に困窮した家庭の子供をもっと受け入れるようにと要請した。(テレグラフ紙より)


という。まあ、今に始まったことではなく僕がイギリスに居るときにもよく出ていた話だ。

これに対してオクスフォードをはじめとするイギリスの大学は反対しているという。

日本だとさすがに、奨学金などの援助はすべきだと考える人が多くても、成績が多少悪くても親の年収が少ない家の子供を優先的に入学させるべきだなんていう 人は少ないだろうから、日本はある意味で非常に健全な競争社会であると僕は思っている。(アメリカでも女性や人種で枠があるし。。。。)

大学とは本来、誤解を恐れずに言えば、エリートを養成する期間であるわけだ。高度な研究が行われたり国家の将来を担う人材を教育する。また、彼らが社会に出た後に大いに活かせるような人間関係を構築する場所なのだ。

誰でも彼でも大学に行けばいいという風潮はどう考えても間違えている。まして、能力に劣る子供を大学に無理矢理入れなさいというのは常軌を逸していると考えるのは僕だけではないだろう。

もちろん、低所得層の子供は教育の機会を与えられていないから・・・。という反論はあるだろう。が、それにも反論が成り立つ。みんなが無駄に大学に行くと いう風潮がなくなれば、高卒でも本当に能力とやる気があれば人生で成功するチャンスはより増える。実際問題として、30年50年前は高卒でも大企業の役員 などたくさん居たはずだ。

重要なことはこのテレグラフ紙のコラムにもあるように・・・。

If we force the universities to take more state school pupils, the universities will end up like our state schools

大学で学ぶことが必要ない仕事というのは世の中にたくさんあるということである。なのに無駄に大学に子供たちを行かせることはむしろ彼らの就職する年齢を遅らせてしまうことになる。これは子供たちにとっても国にとってもマイナスだ。また、大学があまりにも大衆化すると優秀な人たちもさらに大学院に行かないといけないという事態になる。(シグナリング効果)そうすると、彼らの就労し始める年齢も遅れるし大学院に行くのには当然もっと金がかかる。

大学の大衆化を防ぎ、真のエリート養成機関とすることが今求められていることだ。政治家達は高等教育をおもちゃにするのは辞めるべきだろう。そして、大学に大量に使われている補助金を全てカットしてしまうことだ。そうしないと、高等教育バブルが今度は先進国をさらに苦しめることになるだろう。

wasting time?のブログ↓
ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ

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